プロフェッショナル魂 (第11回)
ソニー生命で働く「人」にスポットをあて、仕事にかける“思い”などについて語ってもらう連載企画「プロフェッショナル魂」。今回はエグゼクティブ ライフプランナーの松澤敏夫が登場。「ソニー生命ボランティア有志の会」の会長でもある松澤が、仕事にもボランティア活動にも精力的に向き合える原動力は何か。自称「おせっかいなおじさん」に話を聞きました。
阪神・淡路大震災の被災者支援から始まったボランティア活動
仕事の傍ら、「ソニー生命ボランティア有志の会」の会長もされていますね。
松澤:そうなんです。入社3年目の1995年の1月に阪神・淡路大震災が起き、それをきっかけに「ソニー生命ボランティア有志の会」(以下 「有志の会」)ができてから、ライフプランナーの仕事と並行して「有志の会」のボランティア活動も始めました。この会は有志社員の呼びかけでできたもので、今では社員の3人に2人が会員になるほど大きな活動です。
私は2012年4月から、三代目の会長になりまして、全体の運営に関わっています。会員として各地でボランティア活動をしながら、会長としては毎月の東京での会議のほか、東京、大阪、福岡の「有志の会」事務局とテレビ会議で情報交換をしたり、様々なイベントに参加したりするなど、忙しくしています。
そもそも、なぜボランティア活動をするようになったのですか?
松澤:もともと親族に障がいをもっている者がいることもあり、私は障がい者を身近に見てきたんです。彼らは周りの人に支えてもらっているけれど、私は彼らの代わりにその支えてくれた人たちに対して直接何かお礼やお返しができるわけではありません。でも別のところで、目の前に困っている人がいたら、その人の役に立つことはできます。だから中高生のころから養護施設のイベントの手伝いなど、ボランティア活動をしていました。
世の中は持ちつ持たれつ、お互い様。自分だって、いつそういう立場になるかわからない。そんな気持ちがボランティア活動に向かうのでしょうか。私は埼玉県に住んでいますが、地元のボランティア団体での活動は、もうかれこれ30年以上になります。
また、ライフプランナーの仕事は外に出ることが多いのですが、街でも白杖をついている人や盲導犬と歩いている人を見ると、つい歩く先に障害物がないようにしたり、声をかけたり……。自分を「おせっかいなおじさんだな」と思いながらもやっちゃうんです(笑)。
「有志の会」ではどんな活動を?
松澤:1995年の発足当時は、全国の社員の募金で、神戸の被災地での炊き出しなどの活動をしていました。大きな鍋を持って日帰りの強行スケジュールですが、毎週末、大阪はもちろん、東京からも福岡からも、誰かしら有志社員が来ていて心強かったですね。私もそうでしたが、みな何かに突き動かされて活動していたのではないですか。あれから20年経った今でも、大阪事務局を中心に、被災者への支援は継続しています。東日本大震災の発生直後には、「復興支援の会」が発足されて、被災地でのボランティア活動もしています。
ほかにもさまざまな活動を行っています。日常的には、養護施設にいる子どもたちを遊びに連れて行くツアーを行ったり、麻薬撲滅運動や川崎病患者支援活動のボランティアをしたり。大きなイベントとしては、「スペシャルオリンピックス」という知的発達障がいのある方々の自立と地域社会参加を応援する活動の全国大会に毎回多くの社員がボランティア参加しています。また、毎年「リレー・フォー・ライフ(命のリレー)」という、ガン撲滅を訴える世界的なチャリティー運動があり、その日本でのイベントに参加しています。近年では2,000名近くの社員が参加していて、とても誇らしいことだと思っています。
ボランティア活動をしていなかったら、逆に「心が折れちゃう」とさえ思う
仕事とボランティア活動の両立の秘訣は?
松澤:実は両立しているのか自分でもよくわからないです。正直なところ、ライフプランナーの仕事と「有志の会」の活動の2本立てを「しんどいな」と何度思ったことか……。
それでも、何よりボランティアをやりたい自分がいるのだからやればいい。ボランティア活動には何物にも代えがたい心の充足感があるんです。これがなかったら、仕事が辛いときなんか、簡単に心が折れてしまうと思うほど。一つのボランティアを企画、運営するのは、会議もたくさんあり大変なのですが、準備にかかった時間の長さに比例して、一つの活動が終わったときの充足感も倍増するんですね。自己満足かもしれませんが、それでいい。この充足感が仕事のエネルギーになっていることは確かです。
生命保険はお客さまから保険料をいただき、保障という安心を提供する事業です。でも、それなら保険料をいただいていない人に対しては何の心配りもしなくていいのでしょうか。震災の被害などで困っている人や助けを求めている人に対して、何もしないというのは、「できないのか」それとも「やらないのか」。
生命保険の本質は、まさに「愛と信頼に基づく相互扶助の精神」です。そして「目の前の困っている人を助けたい」という気持ちは、私は人間の本質そのものだと思うのです。であれば、その気持ちを行動に表したほうが良いのではないか。そんなふうに思うのです。
ボランティア活動で学んだことが、仕事の現場で活かされる
松澤流ライフプランニングとは?
松澤:私はライフプランナーとして、お客さまにライフプランを提案するとき、あまり保険そのものや数字の部分だけにとらわれないようにしています。それよりも自分の経験をもとに提案することが多いです。私にはすでに成人になった子どもが3人いますが、実にいろいろなことがありましたから話題はたくさんあります。
子育て中のお客さまには「子どもはどこで何があるかわからないから、親の万が一だけでなく、子どもの万が一も考えませんか」なんて言います。これは子どもが亡くなるということではなく、「子どもは親が考えているシナリオ通りにはならない」ということなんです(笑)。
また老後については、「子どもはいつか離れていくから、そのあと奥さんと2人になったときのことも、少しずつ考えたほうがいいですよ」など、私の体験から失敗したことや後悔したことも交えて話しますが、それが、どこかお客さまの心にひっかかり、身近に感じていただけるのかなと思います。私なんか弱みだらけの人間ですけど、その弱みを見せちゃっているから共感いただいているのかもしれません。
また、ボランティア活動で学んだこともお客さまとの信頼づくりにとても役に立っていることを実感します。
たとえば、お客さまのお子さまが障がいを持っていると、ほとんどの場合「うちの子は障がいがあるので、生命保険にも入れないでしょう」とおっしゃるのですが、そんなときは知的障がいや発達障がいの人でも入れる可能性がある共済があることをお伝えします。それはソニー生命の商品ではありませんが、お客さまにとっては有益な情報になるはずです。このような知識を得ることができたのも、長くボランティア活動に携わってきたからこそ。あらゆる知識や経験を活かして、お客さまといっしょに解決策を考えています。
以前、お客さまから感謝のお手紙をいただいたとき、「これからは我が家の守り神としてよろしくお願いします」と書かれていました。とても嬉しかったのですが、同時に背筋がピンとする思いでした。
ボランティア活動で学んだことが、お客さまとお話するときの自分の引き出しを多くしているのは事実。これからもその引き出しをフル活用しながら、お客さまに共感をもっていただけるようなライフプランを提案していきたいと思います。
今後の目標は?
松澤:ソニー生命は創業以来、「質で日本一の生命保険会社」を目指してきました。私が入社した当時、社内では「ライフプランナーという言葉を広辞苑にのせる」が目標でしたが、私にとっては、それは今も変わらない夢です。ライフプランナーという職業がもっと社会的に知られるようになってほしいし、私もそのためにがんばっていきたいですね。
2014年11月に開催されたスペシャルオリンピックス日本 福岡大会。ハイタッチでアスリートの皆さんを見送ります。
2014年8月、「復興支援の会」による郡山仮設住宅でのボランティア活動。流しそうめんの準備中です。
これまで携わってきた、さまざまなボランティア活動のロゴバッチ付きの帽子。松澤の必須アイテムです。
※文中の所属、役職等の情報は2015年3月11日時点のものです。