ニュースリリース(2023年度)
ダブルケア(子育てと介護の同時進行)に関する調査2024
注:第9弾ダブルケア実態調査(ソニー生命連携調査)
2024年1月25日
ソニー生命保険株式会社(代表取締役社長 髙橋 薫)は、横浜国立大学 大学院国際社会科学研究院 相馬 直子教授およびブリストル大学(英国) 社会学・政治学・国際学研究科 山下 順子上級講師両名と協同で、2023年10月2日~10月6日の5日間、今回の調査で4回目となる全国規模での「ダブルケア(子育てと介護の同時進行)に関する調査」をインターネットリサーチで実施しました。今回は、ダブルケアに現在直面しているもしくは過去に経験した人1,000名を対象に調査しました。(調査協力会社:ネットエイジア株式会社)
調査結果 概要
- 『ダブルケア』という言葉の認知率は20%
- 「数年先に『ダブルケア』に直面する見込みがある」 男性21% 女性24%
- 「子どもの頃から家族の世話をすることが多かった」ダブルケアラーの42%
- 「子どもの頃から家族の世話をすることで、自身の学業・進学・就職等に影響が出たと感じている」
子どもの頃から家族の世話をすることが多かったダブルケアラーの56% - ダブルケアで負担に感じること 1位「精神的負担」2位「家事の負担」3位「体力的負担」
「家事の負担」「体力的負担」「仕事との両立」は年代が上がるほど高くなる傾向 - ダブルケアに現在直面している人の1日の過ごし方
「育児・介護・介助・世話・見守り」に充てる時間の平均は平日では2.8時間、休日では3.9時間
「休養・くつろぎ」に充てる時間の平均は平日では2.2時間、休日においても3.7時間にとどまる - ダブルケアの“理想”と“現実”
理想では「子ども一人ひとりのケアを最優先したい」が48%
現実では「子ども一人ひとりのケアを最優先している」は39% - 「コロナ禍に子育ての負担が増えた」コロナ禍にダブルケアに直面していた人の31%
- ダブルケアで不安に思っていること 1位「家計・経済状況」2位「子どもへの影響」3位「自身の健康状況」
- 「ダブルケアの経済的負担について、想定外の支出がある(あった)」ダブルケアラーの57%
- 「親のケアと育児とが両立しやすい職場だと思う」ダブルケアに直面している有職者の70%
- ダブルケアと仕事の両立に関する“理想”と“現実”
理想では「子育て+親のケア+仕事をバランスよくしたい」が42%
現実では「子育て+親のケア+仕事をバランスよくしている」は28% - 「親のケアや育児、ダブルケアを理由に、仕事をやめたことがある」ダブルケアラーの29%
- 親のケアや育児、ダブルケアで仕事をやめた理由 1位「職場が両立しにくい環境」、
男性では「学童保育などに入れず両立できない」「介護施設に入れず両立できない」が高い傾向 - 「ダブルケアへの備えを行っていない・行っていなかった」ダブルケアラーの31%
- ダブルケアラーが、ダブルケアの備えとしてやっておいたほうが良かったこと
TOP2は「親族とダブルケアの負担・分担について話し合う」「親が元気なうちに介護について話し合う」 - 「ダブルケア当事者がつながる場を、地域でつくることは必要だ」ダブルケアに直面している人の69%
【『ダブルケア』 認知度調査】
ダブルケアラーの子どもの頃の家族の世話
【ダブルケアラーに聞く『ダブルケア』の実態】
【『ダブルケア』と仕事の両立】
【『ダブルケア』への備え】
【ダブルケア(子育てと介護の同時進行)について】
横浜国立大学 相馬 直子教授 英国ブリストル大学 山下 順子上級講師コメント
ケアなしでは生活や社会が回らないこと。コロナ禍で、私たちは身をもって感じてきました。
「誰かを世話したりケアしたりすること」の社会的なサポートが不足していると、私たちの生活や社会、経済全体が回らなくなるだけではなく、私たちの命に直結することであると、コロナ禍で思い知らされました。たとえば、新型コロナウイルス感染拡大のために保育園が閉鎖され、自分の子どもを預けられないために医療従事者が病院に出勤できず、患者の受け入れを制限する病院もありました。
今回、約5年ぶりのダブルケア実態調査となり、コロナ禍でのケア負担についてうかがいました。現在ダブルケア直面中である方の約3割が、コロナ禍で育児や介護などの負担が増えたと回答されています。コロナ禍では育児の負担が家族に集中しがちであったことが各種調査から示されていましたが、ダブルケアラーにとっても育児と介護と両方の負担が増えたことが裏付けられました。
今回の調査でも、ダブルケア現在直面中の約7割の方々が、「地域でダブルケア当事者がつながることが必要」と回答されています。地域でのダブルケアラー同士のネットワークへのニーズは非常に高いことがわかります。全国各地でダブルケア支援のネットワークも広がり、自治体の取り組みも少しずつ増えてきています。
これに伴い、「ダブルケア」という言葉の認知度も少しずつ上がってきています。今回の調査で、ダブルケアをしている人にしぼってみると、認知度は5割です。逆に5割の人は、「ダブルケア」という言葉を知らずに、ダブルケアをしてきた人だといえます。この調査レポートには、実際にダブルケアをしていて、それをダブルケアと認識している方とそうでない方と、両方含まれています。
しかし、依然としてダブルケアをめぐる課題は山積しており、実態調査も不足しています。今回の調査で私たちが重視した点と、具体的な3つのねらいを、簡潔にまとめたいと思います。
今回の調査でまず重視した点は、ダブルケアの多様性をきちんととらえることです。つまり、育児と親の介護というダブルケアにとどまらず、現代社会における多様な複合ケアの実態をきちんととらえることです。100人いれば100通りのダブルケアがあり、そのケアの重なりは本当に多様です。育児と親の介護というダブルケアだけでなく、配偶者(パートナー)・祖父母・兄弟・親族・障がいをもつ子ども・孫のケア、そして自分自身のケアも必要という、多様な複合ケアの実態もあります。
とはいえ、多様なケアの実態を前にして、アンケート調査を実施するにはある程度の概念を定義したうえで調査しなければなりません。そこで今回の調査では、育児しながら介護という狭義のダブルケアを核にしつつ、それにとどまらない複合ケアの実態をとらえることを、第一のねらいとしました。メインは育児と介護ですが、障がいをもつ子どもの育児と親の介護。障がいをもつ子どもとそのきょうだいの育児と親の介護。配偶者や自分のケアと親の介護。特に障がいをもつ子どもの育児と親の介護が重なるダブルケアラーの負担感が浮き彫りになりました。
そして自由記述からは、「とにかく子育ての負担が母親に偏りすぎな点。支援があるのは良いことだが、内容が不十分であったり、手続きの煩雑さを何とかして欲しい。ただでさえケアが大変なのに余計に労力を強いられる」(自閉スペクトラム症の子ども・実母・配偶者・祖父母の多重ケア)、「ダブルケアの状況に置かれている時点で既に自由な時間がほぼないに等しい。(略)子どもが寝静まった夜中に電話相談できるようなところはどこにもなかった。(略)結局母親の負担ばかりでよく耐えたなと思う」(てんかんをもつ子ども・実父母・義母の多重ケア)、「あっちこっちで手続きして時間がかかる。引き落としなども不便。ネット上でできない。昭和なお役所仕事ばかりで不便。時代錯誤も甚だしい」(子ども・実父母のダブルケア)など、複合ケアをめぐる切実な声が寄せられています。
こうして「育児と介護」だけでは表現できない、多様なダブルケアの実態があります。「ダブルケアを知ること」とは、多様なケアに対する想像力が豊かになることにつながり、ケアに優しい社会をつくるうえでとても大切なことだと考えます。
そして、第二のねらいは、上述したようなコロナ禍でのダブルケア負担や、子どものころのケアの関わり(ヤングケアラーかどうか)をたずねるなど、最新のケア状況に即した実態を明らかにすることです。というのも、ダブルケアラーの方へのインタビューで、「私はもとヤングケアラーなんです」というお話をうかがうことがこれまで頻繁にありました。子どもの頃からのケアへの距離感が、その後、大人になったときのケアの認識や行為にどのような影響を与えるのか。ヤングケアラーとダブルケアラーの関連については、量的・質的にも精査がもっと必要な研究テーマですが、今回の調査はその一歩となります。
第三のねらいは、ダブルケアと仕事のバランスや優先順位について、ダブルケアラーが考える理想と実態、その葛藤をしっかり把握することです。そうすることで、人間らしく働きながらダブルケアする社会への課題発信や政策提言につなげていく点があります。
そこで今回は、ダブルケアと仕事のバランス、さらに複合ケアをめぐる優先順位についてうかがいました。まず、複合ケアの中で、誰のケアを優先したいか(したかったか)、実際には誰が優先されていたか、理想と現実についてたずねました。理想としては子どもを優先したい、しかし実際には、親や義理親の介護が優先されています。また、有職者に対し、ダブルケアと仕事のバランスについて聞いたところ、「子育て・親のケア・仕事をバランスよく」を理想と考える方が最も多かったです。一方で現実はどうでしょうか。「子育てと仕事が中心」、「親のケアと仕事が中心」、もしくは、「仕事が中心」と回答する方が増えていました。このことは、ダブルケアと仕事をバランスよくするのが理想と思う方が多い一方で、現実には育児と介護のどちらかと仕事、あるいは仕事をやむなく選択している方が多いことを示唆しています。どちらの問いからも、ダブルケアをめぐる理想と現実の乖離が浮かび上がってきました。
2016年に内閣府がダブルケア実態調査をはじめて実施しましたが、それ以降、継続調査は行われていません。また、政府の統計ではケアが重なっている実態を十分に把握することはできません。しっかりとしたケア統計は、当事者のニーズを反映したケア政策の構築へとつながります。本調査が、日本のケア統計や対策の発展に寄与することを願っています。
あらためて、今回の調査にご協力くださった皆様に心から感謝いたします。
2024年1月25日
山下順子・相馬直子
補遺:
この「ダブルケアに関する調査2024」は、これまで実施したダブルケア実態調査の第9弾として位置づけられる。
・第1弾(横浜市内の地域子育て支援拠点3カ所で質問紙調査)
・第2弾調査(横浜、静岡、京都、香川、福岡で子育てメールマガジン登録者対象に携帯・Web調査)
・第3弾調査(横浜、京都の一時保育、学童、子育て支援センターで質問紙調査)
・第4弾調査(ダブルケア研究HP(https://double-care.com/project)からのWeb調査)
・第5弾調査(ソニー生命連携調査(ダブルケアに関する調査2015 https://www.sonylife.co.jp/company/news/27/nr_151222.html):全国初の全国規模のWeb調査
・第6弾調査(神奈川ワーカーズコレクティブ連合会(https://wco-kanagawa.gr.jp/)・横浜国立大学アジア経済社会研究センター連携調査(https://www.econ.ynu.ac.jp/cessa/))
・第7弾調査(ソニー生命連携調査(ダブルケアに関する調査2017))
・第8弾調査(ソニー生命連携調査(ダブルケアに関する調査2018))
・第9弾調査(ソニー生命連携調査(ダブルケアに関する調査2024・本レポート))
相馬 直子教授プロフィール
横浜国立大学大学院国際社会科学研究院教授(社会政策学・福祉社会学)。
日韓を中心とした東アジアの家族政策比較研究に従事。主な著作に『ひとりでやらない 育児・介護のダブルケア』(2020年、山下順子と共著、ポプラ社)、「東アジアにおける社会的リスクとしてのダブルケア」『大原社会問題研究所雑誌』No.736(2020年、韓松花らと共著)など。
山下 順子上級講師プロフィール
英国ブリストル大学 社会学・政治学・国際学学科 講師。博士(社会政策学)。
専門は比較社会政策とジェンダー。主な著作に、Liu and Yamashita (eds.) (2020) ‘Routledge Handbook of East Asian Gender Studies’, London; Routledge, 「なぜダブルケアは困難なのか-社会学的葛藤理論からの考察」『岩波講座社会学 第9巻福祉・社会保障』(近刊、相馬直子と共著、岩波書店)など。
【「ダブルケア(子育てと介護の同時進行)に関する調査」の背景 ソニー生命】
ダブルケアは社会問題として顕在化し、実際に経験される方も増加すると予測されます。当社は、ダブルケアが起こりうる可能性や、直面する前の対策・備えの大切さを考えていただく活動に取り組んでおり、この活動の一環として、2015年度よりダブルケアに関する調査を実施しています。
当社として第4回目の調査となる「ダブルケア(子育てと介護の同時進行)に関する調査2024」では、ダブルケアに現在直面しているもしくは過去に経験した人を調査対象としました。ダブルケアの実態を一層明らかにすることで、より具体的なダブルケア支援の一助になればと考えています。
また、ダブルケア当事者は、精神的、肉体的、経済的といった負担を複合的に抱えており、特に経済的な負担はダブルケアに直面した後では対処が難しいこともあります。この調査を通じて、多くの方にダブルケアを知っていただくことで、ダブルケアの事前対策促進にお役に立てれば幸いです。
ダブルケア(子育てと介護の同時進行)に関する調査2024 事前調査結果
- 『ダブルケア』という言葉の認知率は20%
”子育て”と“親(または義親)の介護”が同時期に発生する状況を『ダブルケア』といいます。まず、今回の調査対象であるダブルケアラー(ダブルケアに現在直面しているもしくは過去に経験した人)を抽出するために、全国の大学生以下の子ども(自身が世話をしている子どもを含む)を持つ30歳~59歳の男女16,926名に、『ダブルケア』について認知状況を聞きました。
大学生以下の子どもを持つ30歳~59歳の男女(16,926名)に、『ダブルケア』という言葉を聞いたことがあるかどうか聞いたところ、「ある」が20.2%、「ない」が79.8%となりました。(図1)
(図1)
ダブルケアという言葉を聞いたことがある人の割合は、男性19.2%、女性21.1%で、男女・年代別にみると50代女性(21.9%)が最も高くなり、男性(30代21.6%、40代19.0%、50代17.0%)では年代が上がるにつれて低くなる傾向がみられました。
ここで、過去の調査結果(※)と比較すると、全体では、2017年12.7%→2018年17.5%→2023年20.2%と上昇傾向が明らかになりました。40代男性では5.2ポイント上昇(2018年13.8%→2023年19.0%)しました。(図2)
※ダブルケアに関する調査2017 https://www.sonylife.co.jp/company/news/28/nr_170317.html
※ダブルケアに関する調査2018 https://www.sonylife.co.jp/company/news/30/nr_180718.html
(2017年の調査では調査対象に20代が含まれていましたが、20代の回答者を除いて再集計し、比較しました。)
(図2)
- 「数年先に『ダブルケア』に直面する見込みがある」 男性21% 女性24%
また、大学生以下の子どもを持つ30歳~59歳の男女(16,926名)に、『ダブルケアとは、子育てと親・義理の親のケア(見守り・世話・援助・介護・介助)が同時期に発生する状況』と説明し、数年先にダブルケアに直面する見込みがあるかどうか聞いたところ、ダブルケアに直面する見込みがある人の割合は、全体では22.5%となりました。
男女別にみると、男性では21.4%、女性では23.5%となり、男性について年代別にみると、30代男性22.6%、40代男性22.1%、50代男性19.2%と、30代男性と40代男性が50代男性より高い結果となりました。(図3)
(図3)
- 「子どもの頃から家族の世話をすることが多かった」ダブルケアラーの42%
- 「子どもの頃から家族の世話をすることで、自身の学業・進学・就職等に影響が出たと感じている」
子どもの頃から家族の世話をすることが多かったダブルケアラーの56%
ダブルケアに現在直面しているもしくは過去に経験した全国の30歳~59歳の男女1,000名(全回答者)に、子どもの頃から家族(兄弟姉妹・親・祖父母等)の世話をすることが多かったか聞いたところ、「多かった」は41.5%、「多くはなかった」は58.5%となりました。
世話をすることが多かったと回答した人の割合は、男性では46.4%と、女性(36.6%)と比べて9.8ポイント高くなり、年代別にみると若い年代ほど高い傾向がみられ、30代では56.6%でした。(図4)
(図4)
子どもの頃から家族(兄弟姉妹・親・祖父母等)の世話をすることが多かったと回答した人(415名)に、子どもの頃から家族の世話をすることで、自身の学業・進学・就職等に影響が出たと感じているか聞いたところ、「感じている」は56.1%、「感じていない」は43.9%となりました。家族の世話のために、学業を計画通り修めることができなかった人や、進学や就職といった機会で進路を自由に選択できなかった人がいるのではないでしょうか。
影響が出たと感じている人の割合は、男性では66.8%と、女性(42.6%)と比べて24.2ポイント高くなり、年代別にみると40代(65.4%)が最も高くなりました。(図5)
(図5)
- ダブルケアで負担に感じること 1位「精神的負担」2位「家事の負担」3位「体力的負担」
「家事の負担」「体力的負担」「仕事との両立」は年代が上がるほど高くなる傾向
全回答者(1,000名)に、子育てと親・義理の親のケア(見守り・世話・援助・介護・介助)とが同時期に重なったとき、負担に感じている(いた)ことを聞いたところ、「精神的負担」(55.2%)が最も高くなり、「家事の負担」(31.4%)、「体力的負担」(30.7%)、「仕事との両立」(29.5%)、「経済的負担」(25.2%)が続きました。
男女別にみると、「精神的負担」(男性49.2%、女性61.2%)や「家事の負担」(男性25.0%、女性37.8%)、「体力的負担」(男性22.8%、女性38.6%)、「子どもの世話を十分にできない」(男性15.0%、女性26.4%)は、男性と比べて女性のほうが10ポイント以上高くなりました。(図6)
年代別にみると、「家事の負担」(30代26.2%、40代31.7%、50代36.2%)や「体力的負担」(30代22.6%、40代29.6%、50代39.8%)、「仕事との両立」(30代20.8%、40代31.4%、50代36.2%)は年代が上がるほど高くなりました。また、「経済的負担」は30代(18.1%)と比べて40代(29.0%)と50代(28.4%)が高くなりました。(図7)
(図6)(図7)
- ダブルケアに現在直面している人の1日の過ごし方
「育児・介護・介助・世話・見守り」に充てる時間の平均は平日では2.8時間、休日では3.9時間
「休養・くつろぎ」に充てる時間の平均は平日では2.2時間、休日においても3.7時間にとどまる
ダブルケアに直面している人(717名)に、典型的な1日(平日と休日)の過ごし方について質問しました。
【睡眠・食事・身支度等】【仕事(通勤時間含む)】【家事など家のこと(育児・介護除く)】【育児・介護・介助・世話・見守り(送迎、見守り、話し相手も含む)】【休養・くつろぎ】について、普段、それぞれどのくらいの時間を割いているか聞きました。
平日では【睡眠・食事・身支度等】が平均7.0時間、【仕事】が平均7.1時間、【家事など家のこと】が平均3.0時間、【育児・介護・介助・世話・見守り】が平均2.8時間、【休養・くつろぎ】が平均2.2時間、【その他】が平均2.0時間でした。
男女別に平均時間をみると、【仕事】(男性8.6時間、女性5.3時間)では男性のほうが3.3時間長くなりました。他方、【家事など家のこと】(男性2.3時間、女性3.7時間)では女性のほうが1.4時間長く、【育児・介護・介助・世話・見守り】(男性2.3時間、女性3.4時間)では女性のほうが1.1時間長くなりました。(図8)
(図8)
休日では【睡眠・食事・身支度等】が平均7.7時間、【仕事】が平均2.5時間、【家事など家のこと】が平均4.0時間、【育児・介護・介助・世話・見守り】が平均3.9時間、【休養・くつろぎ】が平均3.7時間、【その他】が平均2.3時間でした。平日だけでなく、休日においても休養やくつろぎに充てる時間を十分に取れないといった実状がうかがえる結果となりました。(図9)
(図9)
- ダブルケアの“理想”と“現実”
理想では「子ども一人ひとりのケアを最優先したい」が48%
現実では「子ども一人ひとりのケアを最優先している」は39%
全回答者(1,000名)に、ダブルケアの中で、誰のケア(介護・介助・世話・援助・見守り)を最優先したい(したかった)かという“理想”と誰のケア(介護・介助・世話・援助・見守り)が最優先されている(されていた)かという“現実”を聞きました。
“理想”では「子ども一人ひとり(=子ども全員)」が最も高く48.0%となりました。(図10)
一方、“現実”では「子ども一人ひとり(=子ども全員)」は38.8%と“理想”(48.0%)と比べて9.2ポイント低くなり、「自身の母親」が13.3%と“理想”(8.3%)と比べて5.0ポイント高くなりました。(図11)
(図10)(図11)
- 「コロナ禍に子育ての負担が増えた」コロナ禍にダブルケアに直面していた人の31%
コロナ禍にダブルケアに直面していた人(855名)に、新型コロナウイルス感染拡大前と後を比較すると、子育ての負担は増えたか減ったか聞いたところ、「増えた」は30.6%、「変わらない」は64.8%、「減った」は4.6%となりました。(図12)
(図12)
また、コロナ禍にダブルケアに直面していた人(855名)に、新型コロナウイルス感染拡大前と後を比較すると、子育て以外のケア(介護・介助・世話・援助・見守り)の負担は増えたか減ったか聞いたところ、「増えた」は32.4%、「変わらない」は63.0%、「減った」は4.6%となりました。(図13)
(図13)
- ダブルケアで不安に思っていること 1位「家計・経済状況」2位「子どもへの影響」3位「自身の健康状況」
- 「ダブルケアの経済的負担について、想定外の支出がある(あった)」ダブルケアラーの57%
全回答者(1,000名)に、ダブルケアで、不安(気がかり、心配)に思っていること(思っていたこと)を聞いたところ、1位「家計・経済状況」(49.0%)、2位「子どもへの影響」(47.9%)、3位「自身の健康状況」(40.2%)となりました。
男女別にみると、「自身の健康状況」(男性33.0%、女性47.4%)は男性と比べて女性のほうが10ポイント以上高くなりました。他方、「親・義理の親への影響」(男性24.8%、女性13.0%)は女性と比べて男性のほうが10ポイント以上高くなりました。
年代別にみると、「子どもへの影響」(30代59.0%、40代50.6%、50代34.1%)は若い年代ほど高く、「自身の健康状況」(30代31.0%、40代40.1%、50代49.4%)は年代が上がるほど高くなりました。(図14)
(図14)
全回答者(1,000名)に、ダブルケアの経済的負担について、想定外の支出はあるか(あったか)聞いたところ、「ある(あった)」は56.8%、「ない(なかった)」は43.2%となりました。
「ある(あった)」と回答した人の割合は、男性では60.2%と、女性(53.4%)と比べて6.8ポイント高くなり、年代別にみると30代(58.1%)と40代(57.8%)が50代(54.5%)と比べて高くなりました。(図15)
(図15)
- 「親のケアと育児とが両立しやすい職場だと思う」ダブルケアに直面している有職者の70%
ダブルケアと仕事の両立について質問しました。
まず、ダブルケアに直面している有職者(622名)に、現在の事業所は、親のケアと育児とが両立しやすい職場か聞いたところ、「そう思う」は69.9%、「そう思わない」は30.1%となりました。(図16)
(図16)
現在の事業所が親のケアと育児とが両立しやすい職場だと思う人(435名)に、その理由を聞いたところ、「休みが取りやすい」「勤務の希望が通りやすい」「リモートワークを利用できる」「時短勤務ができる」「残業がない」「職場の理解がある」といった回答がありました。他方、現在の事業所が親のケアと育児とが両立しやすい職場だと思わない人(187名)に、その理由を聞いたところ、「休みが取りづらい」「長期の休みが取りづらい」「時間的な融通が利かない」「サポート体制が整っていない」「介護休業中の給与の補償がない」「職場の理解がない」といった回答がありました。(図17)
(図17)
- ダブルケアと仕事の両立に関する“理想”と“現実”
理想では「子育て+親のケア+仕事をバランスよくしたい」が42%
現実では「子育て+親のケア+仕事をバランスよくしている」は28%
ダブルケアに直面している有職者でケア(介護・介助・世話・援助・見守り)の対象が子どもと親・義理の親のみの人(472名)に、ダブルケアと仕事の両立について、何を優先したいかという“理想”と実際に何が中心になっているかという“現実”を聞きました。
“理想”では、「子育て+親のケア+仕事をバランスよくしたい」が最も高く42.4%となりました。子育て、親のケア、仕事のいずれかを優先させるより全てをバランスよくしたいと考えているダブルケアラーが多いようです。
男女別にみると、「子育て+親のケア+仕事をバランスよくしたい」は男性37.5%、女性50.0%と女性のほうが12.5ポイント高くなりました。(図18)
(図18)
一方、“現実”では、「子育て+親のケア+仕事をバランスよく」は28.0%と“理想”(「子育て+親のケア+仕事をバランスよくしたい」42.4%)と比べると14.4ポイント低くなり、「仕事が中心」が10.6%と“理想”(「仕事を最優先したい」5.1%)と比べると5.5ポイント高くなりました。ダブルケアと仕事の両立に関する“理想”と“現実”にはギャップが存在しているようです。
男女別にみると、男性では「子育て+親のケア+仕事をバランスよく」は26.4%と“理想”(「子育て+親のケア+仕事をバランスよくしたい」37.5%)と比べて11.1ポイント低く、「仕事が中心」が13.9%と“理想”(「仕事を最優先したい」5.9%)と比べて8.0ポイント高くなりました。また、女性では「子育て+親のケア+仕事をバランスよく」は30.4%と“理想”(「子育て+親のケア+仕事をバランスよくしたい」50.0%)と比べて19.6ポイント低く、「子育て+仕事が中心」が27.7%と“理想”(「子育て+仕事の両立を優先したい」18.5%)と比べて9.2ポイント高くなりました。(図19)
(図19)
- 「親のケアや育児、ダブルケアを理由に、仕事をやめたことがある」ダブルケアラーの29%
- 親のケアや育児、ダブルケアで仕事をやめた理由 1位「職場が両立しにくい環境」、
男性では「学童保育などに入れず両立できない」「介護施設に入れず両立できない」が高い傾向
全回答者(1,000名)に、親のケアや育児、ダブルケアを理由に、仕事をやめたことがあるか聞いたところ、「親のケアを理由に仕事をやめた」は6.5%、「子育てを理由に仕事をやめた」は12.4%、「思い返すと、実質的にはダブルケアで(育児と親のケアが重なって)仕事をやめたように感じる」は9.6%で、合計した『やめたことがある(計)』は28.5%となりました。また、「いずれもあてはまらない」は71.5%でした。親のケアや育児、ダブルケアによって退職を余儀なくされた経験のある人は少なくないようです。
『やめたことがある(計)』と回答した人の割合は、男性では30.4%と、女性(26.6%)と比べて3.8ポイント高くなり、男女・年代別にみると30代男性(39.8%)が最も高くなりました。(図20)
(図20)
親のケアや育児、ダブルケアを理由に仕事をやめたことがある人(285名)に、なぜ、親のケアや育児、ダブルケアを理由に、仕事をやめようと思ったか聞いたところ、「職場が両立しにくい環境」(25.6%)が最も高くなり、「学童保育など(放課後の居場所)に入れず両立できない」(25.3%)、「保育園に入れず両立できない」(23.5%)、「介護施設に入れず両立できない」(21.4%)が続きました。
「学童保育など(放課後の居場所)に入れず両立できない」(男性30.9%、女性18.8%)と「介護施設に入れず両立できない」(男性27.6%、女性14.3%)は、女性と比べて男性のほうが10ポイント以上高くなりました。他方、「配偶者(パートナー)の育児、介護あるいは家事参加が不十分」(男性3.9%、女性14.3%)は、男性と比べて女性のほうが10ポイント以上高くなりました。(図21)
(図21)
- 「ダブルケアへの備えを行っていない・行っていなかった」ダブルケアラーの31%
ダブルケアへの備えについて質問しました。
全回答者(1,000名)に、ダブルケアに対する備えとして行っていること(または、行っていたこと)を聞いたところ、1位「親族(両親や兄弟姉妹など)とダブルケアが起こった場合の負担・分担について話し合う」(24.1%)、2位「親が元気なうちに介護について話し合う」(22.3%)、3位「子育て・介護に関する地域の支援制度を調べる」(21.3%)、4位「誰がいつ要介護になるリスクがあるのか整理する」(19.8%)、5位「子育て・介護に関する経済的な準備をする(貯蓄・保険など)」(17.3%)となりました。また、「特になし」は31.2%でした。ダブルケアに突然直面することになった人は少なくないようです。
「誰がいつ要介護になるリスクがあるのか整理する」は男性では26.8%と、女性(12.8%)と比べて14.0ポイント高くなり、年代別にみると、「特になし」(30代26.5%、40代32.0%、50代35.0%)は年代が上がるにつれて高くなる傾向がみられました。(図22)
(図22)
- ダブルケアラーが、ダブルケアの備えとしてやっておいたほうが良かったこと
TOP2は「親族とダブルケアの負担・分担について話し合う」「親が元気なうちに介護について話し合う」 - 「ダブルケア当事者がつながる場を、地域でつくることは必要だ」ダブルケアに直面している人の69%
次に、ダブルケアに対する備えとしてやっておいたほうが良かったことを聞いたところ、「親族(両親や兄弟姉妹など)とダブルケアが起こった場合の負担・分担について話し合う」(31.6%)と「親が元気なうちに介護について話し合う」(31.6%)が特に高くなりました。親族や親本人と事前に相談しておくことで、ダブルケアに備えられると考える人が多いのではないでしょうか。次いで高くなったのは、「子育て・介護に関する地域の支援制度を調べる」(24.9%)、「子育て・介護に関する経済的な準備をする(貯蓄・保険など)」(22.2%)、「誰がいつ要介護になるリスクがあるのか整理する」(20.0%)でした。
「子育て・介護に関する経済的な準備をする(貯蓄・保険など)」は女性では27.8%と、男性(16.6%)と比べて11.2ポイント高くなり、経済面での備えを重視する女性が少なくないことが明らかになりました。(図23)
(図23)
また、ダブルケアに直面している人(717名)に、ダブルケア当事者がつながる場を、地域でつくることは必要だと思うか、必要だと思わないか聞いたところ、「必要だ」が68.8%、「必要ではない」が31.2%となりました。 (図24
(図24)
注:本調査レポートの百分率表示は小数点第2位で四捨五入の丸め計算を行っているため、合計しても100%とならない場合がございます。
また、属性別集計において抜粋して表示している場合は、n数を合計しても全体と一致しないことがございます。
調査概要
調査タイトル
ダブルケア(子育てと介護の同時進行)に関する調査2024
調査対象
ネットエイジアリサーチのモニター会員を母集団とする
大学生以下の子ども(自身が世話をしている子どもを含む)を持つ
ダブルケアに現在直面しているもしくは過去に経験した30歳~59歳の男女
調査期間
2023年10月2日~10月6日
調査方法
インターネット調査
調査地域
全国
有効回答数
1,000サンプル(男性500サンプル 女性500サンプル)
ダブルケアに 現在直面している人 |
ダブルケアを 過去に経験した人 |
計 |
---|---|---|
717サンプル | 283サンプル | 1000サンプル |
調査協力会社
ネットエイジア株式会社
報道関係の皆さまへ
本ニュースレターの内容の転載にあたりましては、「ソニー生命調べ」と付記のうえご使用いただきますよう、お願い申し上げます。
会社概要
会社名 :ソニー生命保険株式会社
代表者名 :代表取締役社長 髙橋 薫
設立 :1979(昭和54)年8月
所在地 :東京都千代田区大手町1-9-2 大手町フィナンシャルシティ グランキューブ
業務内容 :生命保険業