「会社員だけど、老後の資金が不安」「会社員もiDeCo(イデコ)を活用できるの?」今回の記事では、このような疑問や不安を解決いたします。
昨今「私的年金」であるiDeCoが注目を集めています。厚生年金がある会社員の方の中にも、老後の資金不足を補いたい、老後ゆとりのある生活をしたい、という思いから、iDeCoに着目している方もいるでしょう。
2022年10月の改正により、これまでiDeCoが利用できなかった会社員もiDeCoが利用できるようになり、より利用しやすい制度となりました。
本記事を読むことで、会社員がiDeCoを利用するときのメリット(控除と老後資金)や注意点を理解できます。また会社員特有の制度「確定拠出年金(企業型DC)」との関連性に関しても把握でき、最適な資産形成を検討できるようになるでしょう。
公開日:2022年6月30日
更新日:2022年12月16日
「自営業者向けであり、確定拠出年金DCに加入している人は対象外」と思われがちなiDeCoですが、実は会社員でも加入可能です。
会社員がiDeCoに加入するメリットは以下の3点です。
iDeCoの利用を検討している会社員、特に資産形成初心者の方にとって、どれも有意義なメリットになりますので、順番に詳しく解説します。
1つ目のメリットは、掛金が全額所得控除になる点です。iDeCoでは掛金の年間合計額が所得控除の対象となり、所得税(当年分)と住民税(翌年分)が軽減されます。
これにより、企業から給与をもらい、所得税や住民税を納める会社員にとっては、大きく所得税、住民税を軽減することが可能です。
ここでの注意点は、住民税は当年ではなく翌年の所得控除となる点です。
具体的な数値で見てみましょう。例えば毎月の掛金を2万円と仮定すると、所得税:10%、住民税:10%の場合、毎月4,000円、年間では4万8,000円の税金が軽減されるのです。月1回、家族で外食できるぐらいの金額と近いかもしれません。
2つ目のメリットは、会社以外の年金を確保できる点です。会社員の場合、退職金制度(退職一時金や企業年金)に縛られて、転職や退職に踏み出せない人がいるかもしれません。そういった方にとっては、iDeCoに加入することで会社以外の年金を確保できるようになります。
注意点として、確定拠出年金のマッチング拠出とiDeCoは併用できない点があります。会社以外で年金を確保したい方は、確定拠出年金のマッチング拠出よりもiDeCoがおすすめです。
3つ目のメリットは、転職しても保有資産を移換できる点です。企業年金は転職する際に年金資産の精算が必要で、転職先にそのまま運用を移管することはできません。転職先の企業年金の種類や規約によっては、移換が不可能なことがあります。
しかし、iDeCoであれば、掛金を払い込んでいる期間中に転職した場合でも、積み立てた資産を転職先の企業がiDeCoの運用を認めていれば運用を継続できるのです。つまり、資産運用が途切れず継続できるため、安定した老後資産を形成できるのがメリットです。
会社員がiDeCoに加入するデメリットは、以下の3点です。
3つとも会社員として、iDeCoに加入する前に充分に理解しておく必要があります。順番に徹底解説します。
1つ目のデメリットは、転職先によってiDeCoの掛金の上限額が変動する可能性がある点です。転職先の企業年金の導入有無によって、拠出額の上限月額が下記の通りとなります。
企業型DCのない企業の会社員 | 月額23,000円 |
---|---|
企業型DCに加入している会社員 (*1) | 月額20,000円 |
企業型DB(確定給付年金)に加入している会社員 (*1) | 月額12,000円 |
(*1)2022年10月以降の法令改正により、企業型DC/DBに加入している会社員含め、全ての会社員がiDeCoに加入できるようになりました。
ポイントは、iDeCoの最大の目的は、定年後の退職金・年金原資であることです。しかし、転職先企業によっては、掛金の上限額が減少し、「年金原資としては心もとない!」といったケースが生じるのです。
2つ目のデメリットは、保有資産を企業型DCに持ち運ぶ場合は一旦資産を売却し、転職先の規定にそって新たに買い直す必要がある点です。
3つ目のデメリットは、受取時にすべての税制優遇を受けられないことがある点です。会社員の場合、退職金や年金を受給することが想定されます。そのため、退職所得控除や公的年金等控除の枠が、iDeCo受取時には残り少なくなっている可能性があるのです。
例えば、会社員は厚生年金も受給するので、iDeCoを年金形式で受給しようとしても、公的年金等控除を限度額いっぱいまで利用できないケースもありえるでしょう。
また、退職金として受け取る場合に関しても、厚生年金や企業型DB/DCで既に退職所得控除の枠を全て使い切ってしまうことがあります。結果として、iDeCoとして退職所得控除は全く使用できないことになるのです。
会社員がiDeCoに加入するための条件を、加入できるケースとできないケースに分けて整理します。現状では、基本的に企業型DCに加入している会社員の方以外は、iDeCoに加入することができます。
2022年10月に行われた法令改正での変更点も踏まえ、徹底解説しますので、ご自身が当てはまるか否か確認してみて下さい。
現状、自営業者などに限らず会社員や専業主婦など、20歳以上60歳未満(第2号被保険者は60歳未満)の人であれば、ほぼ全員がiDeCoに加入することができます。
2022年10月の改正により「企業型DCに加入している会社員」を含め、国民年金被保険者であれば誰でもiDeCoに加入できるようになりました。ただし、企業型DCの「マッチング拠出(個人も企業の掛金にあわせて上乗せで拠出できる制度)」を利用している場合は、従来どおりiDeCoには加入できないので注意しましょう。
また、企業型DCの事業主掛金とiDeCoの掛金が各月の拠出限度額の範囲内での各月拠出となっていない場合は、iDeCoには加入できません。
ここからは、実際に会社員がiDeCoを始めたい場合、どのような流れで手続を行えばいいのかを解説します。
不備なく口座が開設できたとしても、申込から初回の掛金の引き落としまで大体2ヶ月程度はかかります。下記の流れを参考に、スケジュールに余裕を持って手続を行いましょう。
まずは、自身にiDeCoの加入資格があるかどうかを確認します。
2022年10月に改正により、会社員がiDeCoに加入しやすくなりました。ただし、下記の2つのどちらかに該当する場合はiDeCoが利用できないため、該当していないことを確認してください。
加入資格があることを確認できたら、掛金の上限金額を確認しましょう。会社員の掛金上限金額は下記のとおりです。
加入資格 | 掛金上限金額 |
---|---|
会社に企業年金がない会社員 | 月額2.3万円 |
企業型DCのみに加入している会社員 | 月額2.0万円 |
DBと企業型DCに加入している会社員 | 月額1.2万円 |
DBのみに加入している会社員 | 月額1.2万円 |
掛金は、5,000円以上から1,000円単位で設定できます。掛金を決める際は、60歳までは原則引き出せないことを理解したうえで、無理なく継続できる金額を設定しましょう。
なお、掛金は年に1回だけ変更することが可能です。また、掛金の拠出を止めるのはいつでも受付可能です。
掛金の額が決まったら、運用商品を決めます。運用商品は、大きく分けて「元本確保型商品(生命保険・定期預金)」と「投資信託」に分けられます。
それぞれの特徴は下記のとおりです。
項目 | 元本確保型商品 | 投資信託 |
---|---|---|
リターン | 少ない | 中程度~大きい |
リスク | 低い | 中程度~高い |
運用の特徴 | 元本割れしないような 運用を目指す |
投資先の成績によって 実績が変動する |
運用商品の種類 | 生命保険・預金 など | 債券(国内・外国) 株式(国内・外国)・不動産 など |
専門家のアドバイスを聞いて、自分に合った商品を選択するのもおすすめです。
iDeCoに加入する場合、取扱金融機関を通じて加入の申込を行います。現在約160の金融機関がiDeCoを取り扱っています。加入する金融機関によって扱っている商品が異なるため、比較したうえで選びましょう。
確認するポイントは主に下記3つです。
これらを総合的に比較して取扱金融機関を選びます。
金融機関が決まったら、申込に移ります。手続方法は金融機関によって異なるため、取扱金融機関のホームページを参照してください。
(※なお、ここでは企業型からの移管や他社からの変更などではなく、新規でiDeCoに申込む場合を想定しています。)
iDeCoを申し込む際には、下記の書類の提出が必要となります。
なお、「事業所登録申請書兼第二号加入者に係る事業主の証明書」は、自分で署名した後、会社に提出して記入してもらう書類になります。
これらの書類を記入するため、下記の3つを準備しましょう。
口座開設の流れは下記のようになります。
多くの金融機関が、手続完了まで2ヶ月程度を要します。不備が発生しないよう、書類は見直してから提出しましょう。
口座が開設できたら、設定した口座から掛金の引き落としが行われます。口座振替が始まるのは、申込をしてから2ヶ月後くらいになる金融機関が多いです。
口座が開設できたとしても、掛金が引き落とせないと運用は開始されません。「口座開設のお知らせ」が届いたら、設定した口座に掛金を入金しておくとよいでしょう。
会社員にもiDeCoをおすすめする理由は、掛金が全額所得控除の対象となるからです。拠出額は限られているので、もちろんiDeCoだけを頼りにする訳にはいきませんが、厚生年金や企業型DB/DCを補完する役割は充分に担うことができます。
また、2022年10月の改正で、多くの会社員がiDeCoの加入ができるようになりました。このことから、国としても「iDeCoでの資産形成を更に多くの会社員に促していきたい」という意図を読み取ることができます。
「税制上の優遇措置を存分に活かす」という観点において、iDeCoはつみたてNISAと並ぶ、資産形成手段の候補といえるのではないでしょうか。
ソニー生命では、「個人型DC(iDeCo)」を取り扱っており、加入手続の方法から、掛金設定・運用までサポートします。
生命保険・金融のプロフェッショナルであるライフプランナーが、1対1で徹底的にサポートするので、一人で進めるのが不安という方にもおすすめです。
iDeCoや老後資金、家計・保険について少しでも悩みがある方は、まずは無料相談をお申し込みください。
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