ふるさと納税をしても税制メリットはない?仕組みやメリット・デメリットも解説!

ふるさと納税は、自分が応援したい自治体に寄附ができる制度です。「ふるさと」納税と呼ばれていますが、寄附先は必ずしも生まれ故郷でなければいけないというわけではありません。そして、「納税」ではなく、本質的には「寄附」です。

ふるさと納税は、寄附を行った自治体から返礼品がもらえる嬉しい制度ですが、制度を理解していないと税制面で負担になる場合もあります。この記事では、その理由を詳しく解説します。

ふるさと納税とは

ふるさと納税とは、応援したいと思った自治体に寄附をすると、お礼の品がもらえる制度です。さらに、ふるさと納税をすることにより、所得税の還付や住民税の控除が受けられます。(寄附金のうち2,000円を超える部分)

お礼の品は、肉、野菜、果物などの食品や、工芸品、宿泊券などバラエティ豊富です。お礼の品を通して寄附をした地域の魅力を感じられるのも、ふるさと納税が注目を集めている理由です。

ふるさと納税は「税金の前払い」

ふるさと納税の大きなポイントは、「税金を前払いしている」ということです。

ふるさと納税は、自治体への寄附額のうち2,000円を超えた部分を、先に納税する制度です。例えば、納税額が20,000円の場合、18,000円の税金を先に納税することとなります。あくまで「寄附」という形で税金を前もって納め、翌年に戻ってくるという制度であることは理解しておきましょう。

また、控除の対象となるふるさと納税の金額には上限があるため、それ以上は控除の対象外となります。

ふるさと納税のメリット

ふるさと納税のメリットは、返礼品が受け取れること、居住地以外の自治体を応援できること、寄附金控除が受けられることです。

返礼品を受け取れる

ふるさと納税の返礼品とは、自治体に寄附した際にお礼として貰えるその自治体の特産品や名産品等のことで、返礼品の金額の上限は、寄附金額の30%です。

ふるさと納税は、自治体にとって地域の特産品等をPRできる場として、大きな注目を集めています。ふるさと納税で受け取ることができる返礼品の内容は、肉・海産物・米・野菜・加工食品・スイーツ・酒・ホテル等の宿泊券等で、バラエティ豊富です。日本の技術が光る工芸品や現地体験可能なものもあります。

ふるさと納税を賢く利用すれば、全国各地の名産物を手に入れることができるでしょう。

地域を応援できる

ふるさと納税先の自治体は、生まれ育った地域・家族ゆかりの地域・思い入れのある地域など、全国約1,600の自治体の中から選べます。

ふるさと納税をすることで、寄附先の自治体や住民を応援することができます。また、自治体は寄附金が税収となるため、寄附金が多く集まるほど、地域課題の解決や活性化などに活用できます。

寄附金控除が受けられる

ふるさと納税は、前述のとおり、あくまで「地方自治体への寄附」です。そのため、寄附金額から2,000円を超えた部分が所得税および住民税から控除されます。

各税金からの控除額(上限あり)は、次のように計算します。

  • 所得税からの控除額(ワンストップ特例制度※を利用しなかった場合)
    =(ふるさと納税額-2,000円)×所得税の税率

  • 住民税からの控除額
    • (1)基本分
       =(ふるさと納税額-2,000円)×10%
    • (2)特例分
      • ①特例分が住民税所得割額の2割を超えない場合
        =(ふるさと納税額-2,000円)×(100%-10%(基本分)-所得税の税率)
      • ②特例分が住民税所得割額の2割を超える場合
        =(住民税所得割額)×20%
  • 住民税からの控除額(ワンストップ特例制度を利用した場合)
    =(ふるさと納税額-2,000円)×所得税の税率

※ワンストップ特例制度:ふるさと納税をした際に、確定申告をせずとも寄附金控除が受けられる仕組みのこと。

ふるさと納税のデメリット

さまざまなメリットがあるふるさと納税ですが、デメリットもあります。メリットだけでなくデメリットもきちんと押さえておきたいところです。

ふるさと納税に関するデメリットは、控除限度額を超過すると自己負担扱いになること、税金控除のための申請が必要であることです。

税制メリットがあるわけではない

前述の通り、ふるさと納税で寄附をしたからといって、税制メリットがあるというわけではありません。

ふるさと納税は、あくまでも寄附を通じた税金の前払いです。そして寄附に対して自治体が用意した返礼品を受け取ることができる制度であることを、十分理解しておきましょう。

控除限度額を超過すると自己負担扱いになる

ふるさと納税を通じて控除を受けることができる金額には、上限があります。控除の対象となるふるさと納税額の上限は、総所得金額等の40%(所得税分)および30%(住民税分)などです。控除額の上限を超えて寄附をした分は、税金の控除対象外となり、自己負担扱いとなります。

ふるさと納税自体の金額には上限がありません。しかし行ったふるさと納税のうち、控除の対象となる金額にはあくまでも上限があり、超えた部分は控除されず、自己負担となります。

控除限度額の上限は、ローンの有無や年収などによって変動します。

税金控除のための申請が必要

ふるさと納税による税控除を受けるためには、確定申告かワンストップ特例制度を利用する必要があります。ワンストップ特例制度とは、ふるさと納税をした後、確定申告を行わなくても寄附金控除が受けられる仕組みのことです。

ただし、給与所得者で住宅ローン控除や医療費控除のために確定申告する場合には、ふるさと納税についても合わせて確定申告が必要です。また、6つ以上の自治体に寄附した場合は、ワンストップ特例制度の利用はできません。

ふるさと納税で所得税・住民税の控除を受ける方法

ふるさと納税の申請方法はワンストップ特例制度を利用するか確定申告を行うかで申請方法が異なります。

ワンストップ特例制度では、申請用紙を納税先の自治体へ送付することになります。一方確定申告では、必要事項を記入して税務署に提出するほか、e-taxによるオンライン申告も可能です。

ワンストップ特例制度を利用する

ワンストップ特例制度では、ふるさと納税をした後に確定申告をしなくても寄附金控除が受けられます

「寄附金税額控除に係る申告特例申請書」に必要事項を記入して、寄附した自治体に送付することになります。寄附金上限額内で寄附したうち2,000円を差し引いた金額が税金から控除してもらえます。

確定申告をする

選んだ自治体にふるさと納税を行うと、確定申告に必要な寄附を証明する書類(受領書)が発行されます。

ふるさと納税の専用の振込用紙や自治体により発行される納入通知書(納付書)でふるさと納税を行ったという場合は、払込票控(振込用紙の半券)が確定申告を行う際の寄附を証明する書類となる場合があるのでご注意ください。

ふるさと納税を行った次の年の3月15日までに、住所地の所轄の税務署に対して確定申告を行います。確定申告を行うと、ふるさと納税を行った年の税金から控除されます。

e-taxによるオンライン申告も可能です。

ふるさと納税の仕組みを理解して、賢く利用しよう

ふるさと納税はあくまで「寄附」であり、税制メリットはありません。ただし、バラエティ豊富な特産品が受け取れるメリットも大いにあります。

デメリットや仕組みをきちんと理解したうえで、ぜひふるさと納税を利用してみましょう。

当資料は、2022年8月現在の情報に基づき作成しております。制度・税制は将来変更されることがありますのでご注意ください。また個別の税務に関する取扱については、税理士または所轄の税務署にご確認ください。

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