「iDeCo(イデコ)を始めたばかりなんだけど、年末調整に何かする必要はある?」「年末調整を忘れた場合はどうすればいいの?」と悩んでいませんか?
会社員や公務員は原則として確定申告の義務がないため、iDeCoの掛金を所得控除にする手続を忘れがちです。特に加入したばかりで、慣れない年末調整や確定申告に戸惑う人もいるでしょう。
今回は、iDeCoに加入して初めての年末調整や確定申告をする人向けに、年末調整の流れや記入方法、年末調整に間に合わなかった場合の対処法を解説します。
公開日:2023年1月6日
iDeCoは、生命保険や地震保険などと同様に年末調整を行うことが可能です。
iDeCoの仕組みや年末調整で還付される金額について解説します。
iDeCoは、個人型確定拠出年金の愛称です。個人があらかじめ決めた金額を拠出し、投資信託などの商品を選んで運用します。その年に拠出した金額に対して所得控除が受けられる仕組みです。
iDeCoの掛金で受けられる所得控除は、正式には「小規模企業共済等掛金控除」と呼ばれ、年末調整が受けられる所得控除の1つです。
年末調整時に、掛金を拠出した証明書を添付して勤務先に提出すると、iDeCoに拠出した金額が所得から控除されて所得税の還付が受けられます。
年末調整で還付される金額は、年間の掛金×所得税率で計算できます。
また、所得税は「課税される所得金額」に応じて、以下のように税率が定められています。
課税される所得金額 | 税率 | 控除額 |
---|---|---|
1,000円~194万9,000円 | 5% | 0円 |
195万円~329万9,000円 | 10% | 9万7,500円 |
330万円~694万9,000円 | 20% | 42万7,500円 |
695万円~899万9,000円 | 23% | 63万6,000円 |
900万円~1,799万9,000円 | 33% | 153万6,000円 |
1,800万円~3,999万9,000円 | 40% | 279万6,000円 |
4,000万円以上 | 45% | 479万6,000円 |
※復興所得税は考慮しない
例えば、年間所得300万円(所得税率10%)の人が支払う所得税は300万円×10% - 9万7,500円=20万2,500円です(復興所得税は考慮しない)。iDeCoに毎月1万円を拠出する場合、年末調整によって12万円×10%=1万2,000円が還付されます。
このように、税率10%の場合はiDeCoの掛金分の所得控除があることによって、年間1万2,000円所得税の負担を減らすことができます。
iDeCoの年末調整は、単に拠出した金額を記入するだけでは認められません。掛金を拠出した証拠となる書類を添付して勤務先へ提出する必要があります。
年末調整に必要なものは以下のとおりです。
小規模企業共済等掛金払込証明書は、iDeCoの掛金を拠出したことを証明する書類です。国民年金基金連合会から発送されます。
給与所得者の保険料控除申告書は、年末調整時に保険料控除を申告する書類です。勤務先から配布されるのが一般的ですが、国税庁から各年の「給与所得者の保険料控除申告書」をダウンロードすることもできます。
iDeCoの払込証明書(小規模企業共済等掛金払込証明書)は、iDeCoの加入時期や掛金の払込時期によって発送されるタイミングが前後します。
初回の掛金を振り込んだ月に対する払込証明書の送付予定月は以下のとおりです。
給与所得者の保険料控除申告書には、iDeCoの掛金の金額を記載します。民間の生命保険や地震保険などに加入している場合は、その保険料も記載しましょう。勤務先に提出する際は、iDeCoの払込証明書を添付します。
勤務先によっては、11月中に提出期限を設ける場合もあります。必要書類が手元にない人は早めに準備しましょう。
給与所得者の保険料控除申告書は、所得控除の種類によって記入箇所が異なります。iDeCoの掛金は「小規模企業共済等掛金控除」の中にある「確定拠出年金法に規定する個人型年金加入者掛金」の欄に記入します。
記入する金額は1月〜12月の間に拠出した掛金です。記入時点で拠出した掛金ではない点に注意しましょう。
11月以降にiDeCoを開設した場合、iDeCoの払込証明書(小規模企業共済等掛金払込証明書)が年末調整の提出期限までに届かない可能性もあります。
その場合は、これから紹介する対処法を参考にしてください。
年末調整に間に合わない場合は、確定申告が必要です。
確定申告は、毎年1月〜12月の所得について、翌年の2月16日〜3月15日までに所轄の税務署へ所得税の確定申告書を提出して行います。確定申告の内容に従って、所得税の納付または還付が行われます。
確定申告の期限が近い3月1日〜15日の税務署は特に混雑します。早めに準備しましょう。 また、確定申告期は別の会場で確定申告を受け付ける税務署も多いため、所轄の税務署がどこで確定申告を受け付けるかを調べることも必要です。
年末調整を受けた人が確定申告をする場合、優先されるのは確定申告の内容です。
ただし、年末調整で記載した内容は確定申告時に引き継がれないため、iDeCo以外の所得控除や勤務先の収入は全て確定申告で記載しなければいけません。
ちなみに、確定申告を行うことについて勤務先への報告は必須ではありません。
確定申告に必要なものは、以下のとおりです。
源泉徴収票は、1年間の収入と納付した所得税額を記載した書類です。勤務先から必ずもらえます。
小規模企業共済等掛金払込証明書は、1年間に拠出したiDeCoの掛金の金額を証明する書類です。国民年金基金連合会から発送されます。
マイナンバーについては、マイナンバーカードがなくても確定申告はできます。通知カードやマイナンバーカードが記載されている住民票があれば問題ありません。
口座情報は、還付金を受け取る際に必要です。通帳やキャッシュカードなど、支店名と口座番号がわかるものを用意しましょう。
確定申告には、e-Taxを使ってインターネットで行う方法と、申告書に記入して提出する方法の2つがあります。なお、2021年分の確定申告までは確定申告書A・Bの2種類にわかれていましたが、2022年分の確定申告から確定申告書Aが廃止され、申告書が一本化されます。
実際に確定申告書を作成する際は、国税庁の「確定申告書等作成コーナー」を利用するのが便利です。
確定申告では、年末調整で記載した所得控除はもちろん、勤務先の収入も含めて全ての収入や控除の記載が必要です。手元に源泉徴収票、小規模企業共済等掛金払込証明書、そのほか保険料の払込証明書※を準備して、画面の指示にしたがって収入や控除額を入力しましょう。
※年末調整で生命保険料控除等を行っている場合、その金額は源泉徴収票に記載されているため、保険料の払込証明書は不要です。源泉徴収票の生命保険料控除の金額を確定申告書に転記しましょう。
副業をしていない会社員や公務員であれば、入力する所得は給与所得のみとなります。
年末調整をしていない所得控除は、払込証明書に記載されている数字を該当箇所に入力します。全ての収入・控除を入力すると、確定申告書が完成します。
e-Taxならそのまま確定申告の手続ができます。スマホで申告する場合、スマホのカメラで源泉徴収票を読み込めば自動入力されます。金額の記載ミスが起きないので、初めて確定申告する人はぜひ活用しましょう。
確定申告書を税務署へ郵送または持参したい人は、確定申告書等作成コーナーで確定申告書を作成後に印刷をすることもできます。
確定申告も忘れた場合は、還付申告を行いましょう。還付申告は、納めすぎた所得税を還付してもらう手続です。確定申告期間に関係なく、iDeCoの掛金を拠出した年の翌年1月1日から5年以内なら申告できます。
確定申告書と同様に、国税庁の「確定申告書等作成コーナー」を使えば還付申告用の書類を作成できます。
できる限り確定申告の期間中に申告するのが望ましいですが、間に合わなかった場合は早めに還付申告を行いましょう。
iDeCoは、所得控除が受けられる私的年金制度の1つです。
年間の税額軽減効果は決して大きな金額ではありませんが、10年・20年と長期に掛金を拠出することで税制メリットも大きくなります。
ただし、税制メリットを受けるには年末調整や確定申告の手続が必要です。できる限り手間のかからない年末調整に間に合うように書類をそろえて、正しく手続をしましょう。
ソニー生命ではiDeCoを取り扱っており、加入手続の方法や資産運用に関するサポートをしています。
生命保険や金融のプロフェッショナルであるライフプランナーが、1対1で徹底的にサポートするので、手続が苦手な人にもおすすめです。
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iDeCo・資産形成の無料相談を申し込む >当資料は、2022年12月現在の税制・税率に基づき作成しております。税制・税率は将来変更されることがありますのでご注意ください。詳細につきましては、税理士または所轄の税務署にご確認ください。
当資料の数値は、所定の条件のもと算出したものですので、あくまでも参考値としてご覧ください。
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