今回の記事では、「つみたてNISAでは分配金を受け取れないの?」「再投資と受取があると聞いたけれど、違いは何? どちらを選んだらいいの?」などのお悩みを解決します。
つみたてNISAには2種類の分配金コースがあるため、どちらを選んだらよいのか迷っている方もいるでしょう。
本記事を読むことで、つみたてNISAの分配金コースの違いやメリット・デメリットについて理解できます。コースの違いを把握した上で、分配金コースを選択できるようになるでしょう。
公開日:2023年2月28日
つみたてNISAとは、年間40万円を上限として、最長20年間非課税で運用できる仕組みのことです。対象商品は、一定の要件を満たす公募株式投資信託とETF(上場株式投資信託)となっています。
NISAに限らず投資信託には「分配金」が発生します。これは、投資信託の運用で発生した運用益を投資家に払い戻すものです。分配金の額は運用成績により変動します。運用成績が良くない場合、分配金は発生しません。
つみたてNISAは、分配金を現金化して受け取る「受取コース」と、受け取らずに再投資に回す「再投資コース」が選択できるものがあります。後述するそれぞれのコースの違いを確認し、自分がどちらのコースを選択するのが良いのか検討しましょう。
参考:金融庁「つみたてNISAとは?|つみたてNISAの概要」
配当金が受け取れるのは「株式投資」の場合です。株式を所有する株主は、会社の利益還元を受け取る権利を持ちます。持ち株数や会社の利益などにより、配当金の額は変わります。
配当金は企業が株主に利益を還元するものです。そのため、株主に配当金を支払っても株式の価値に変化はありません。
一方、投資信託の分配金は投資信託の運用により得られた利益・元金の中から支払われる場合があります。そのため、分配金を支払うと投資信託の資金が目減りする可能性があります。
つみたてNISAの商品の中には、分配金を受け取らずに再投資に回す「再投資コース(無分配)」と、現金化して受け取る「受取コース」の2種類から、コースを選択できるものがあります。
買い付け商品ごとに自由にコースを選択できるため、どちらを選択すればよいか迷う方もいるでしょう。各コースの特徴やメリットとデメリットを見ていきましょう。
再投資コースは、収益等の分配金が出た場合に現金化して受け取らずに、そのお金を再度投資に回すコースです。金融期間によって、名称が異なり、「再投資コース」「再投資型」「分配金再投資コース」「累投型」などと呼ばれています。自身で利用する証券会社のコース名称を確認しておくとよいでしょう。
再投資コースを選択すると、早期にお金を受け取ることはできません。しかし、その分、多くの資金を投資に回すことが可能です。
再投資コースでは、投資に回す資金を増やすことができます。つみたてNISAは最長20年という時間をかけて運用し、複利効果により収益性を高めていく仕組みです。投資額を増やすと、その分多くのリターンを期待することができますが、リスクも同様に高まります。
再投資コースは選択さえしておけば、再投資の手続が不要です。自動で再投資でき、手間がかからないのも特徴の一つです。
一方で、投資商品の価値が下落する場合、損失が発生する可能性があります。
また、つみたてNISAでは、「分配金の再投資」は新規の投資としてみなされます。そのため、分配金の再投資を含めた年間の投資金額が非課税枠である40万円を超えた場合、超えた金額が課税口座での再投資となる点には注意が必要です。
毎月1万円を3%の利回りで20年間積み立てていくと、次のようになります。なお、分配金は年に1度の受取で計算しています。
年 | 年初残高 | 投資額 | 分配金 (運用収益) |
年末残高 | 投資額累計 |
---|---|---|---|---|---|
1 | 0 | 120,000 | 1,664 | 121,664 | 120,000 |
2 | 121,664 | 120,000 | 5,364 | 247,028 | 240,000 |
3 | 247,028 | 120,000 | 9,178 | 376,206 | 360,000 |
4 | 376,206 | 120,000 | 13,106 | 509,312 | 480,000 |
5 | 509,312 | 120,000 | 17,155 | 646,467 | 600,000 |
6 | 646,467 | 120,000 | 21,327 | 787,794 | 720,000 |
7 | 787,794 | 120,000 | 25,625 | 933,419 | 840,000 |
8 | 933,419 | 120,000 | 30,055 | 1,083,474 | 960,000 |
9 | 1,083,474 | 120,000 | 34,619 | 1,238,093 | 1,080,000 |
10 | 1,238,093 | 120,000 | 39,321 | 1,397,414 | 1,200,000 |
11 | 1,397,414 | 120,000 | 44,168 | 1,561,582 | 1,320,000 |
12 | 1,561,582 | 120,000 | 49,161 | 1,730,743 | 1,440,000 |
13 | 1,730,743 | 120,000 | 54,306 | 1,905,049 | 1,560,000 |
14 | 1,905,049 | 120,000 | 59,607 | 2,084,656 | 1,680,000 |
15 | 2,084,656 | 120,000 | 65,071 | 2,269,727 | 1,800,000 |
16 | 2,269,727 | 120,000 | 70,700 | 2,460,427 | 1,920,000 |
17 | 2,460,427 | 120,000 | 76,500 | 2,656,927 | 2,040,000 |
18 | 2,656,927 | 120,000 | 82,476 | 2,859,403 | 2,160,000 |
19 | 2,859,403 | 120,000 | 88,636 | 3,068,039 | 2,280,000 |
20 | 3,068,039 | 120,000 | 94,981 | 3,283,020 | 2,400,000 |
20年間の投資額合計額は240万円、運用収益88万3,020円、投資額と運用収益の合計金額は328万3,020円となります。
受取コースは、分配金が出るたびに指定の口座に分配金が入金されるコースです。証券会社により名称が異なり、「受取型」「受取コース」「分配金受取コース」などと呼ばれています。なお、証券会社によっては、受取コースのある商品を取り扱っていない場合もあるため、受取コースを希望する場合は、事前の確認が欠かせません。
受取コースでは、分配金が出るたびにお金を受け取ることができます。投資の成果を毎回確認できるため、受取を希望する方もいるでしょう。
受取コースでは、分配金を設定したタイミングで受け取ることができるので、お小遣いとして使う・生活費の足しにする・別の投資に回すなど、都度さまざまな使い方ができます。
投資信託の運用状況が悪化すると、分配金が支払われなくなることもありますが、受取コースには運用益を得られるうちに確保できるという特徴もあります。
また、受取コースを選択した場合、再投資コースのように再投資が行われず年間40万円の上限を超えてしまうことがないため、課税口座での再投資を心配しなくてよい点も特徴の一つです。
毎月1万円を3%の利回りで20年間積み立てていくと、次のようになります。なお、分配金は年に1度の受取で計算しています。
年 | 積立金額 | 利息 | 年末残高 | 投資額累計 |
---|---|---|---|---|
1 | 120,000 | 3,600 | 123,600 | 120,000 |
2 | 120,000 | 7,200 | 127,200 | 240,000 |
3 | 120,000 | 10,800 | 130,800 | 360,000 |
4 | 120,000 | 14,400 | 134,400 | 480,000 |
5 | 120,000 | 18,000 | 138,000 | 600,000 |
6 | 120,000 | 21,600 | 141,600 | 720,000 |
7 | 120,000 | 25,200 | 145,200 | 840,000 |
8 | 120,000 | 28,800 | 148,800 | 960,000 |
9 | 120,000 | 32,400 | 152,400 | 1,080,000 |
10 | 120,000 | 36,000 | 156,000 | 1,200,000 |
11 | 120,000 | 39,600 | 159,600 | 1,320,000 |
12 | 120,000 | 43,200 | 163,200 | 1,440,000 |
13 | 120,000 | 46,800 | 166,800 | 1,560,000 |
14 | 120,000 | 50,400 | 170,400 | 1,680,000 |
15 | 120,000 | 54,000 | 174,000 | 1,800,000 |
16 | 120,000 | 57,600 | 177,600 | 1,920,000 |
17 | 120,000 | 61,200 | 181,200 | 2,040,000 |
18 | 120,000 | 64,800 | 184,800 | 2,160,000 |
19 | 120,000 | 68,400 | 188,400 | 2,280,000 |
20 | 120,000 | 72,000 | 192,000 | 2,400,000 |
合計 | 2,400,000 | 756,000 | 3,156,000 | 2,400,000 |
20年間の投資額合計額は240万円、運用収益75万6,000円、投資額と運用収益の合計金額は315万6,000円となります。
分配金の受取を希望している場合は、つみたてNISAを始める前に利用したい証券会社に「受取コース」の選択可能な商品があるかどうか、事前の確認が欠かせないため注意が必要です。
また、つみたてNISAの目的は資産の長期運用です。そのため、「長期・積立・分散投資」に適した投資信託のみから、商品を選択できる仕組みとなっています。
毎月1万円を3%の利回りで20年間積み立てた場合の「再投資コース」と「受取コース」の金額は、次のとおりです。なお、分配金は年に1度発生するものとして計算しています。
項目 | 投資額 | 運用収益 | 投資額・運用収益計 |
---|---|---|---|
再投資コース | 240万円 | 88万3,020円 | 328万3,020円 |
受取コース | 240万円 | 75万6,000円 | 315万6,000円 |
関連記事:つみたてNISAのメリット・デメリットとは?iDeCo(イデコ)との違いも解説!
「受取コース」を選択した場合、つみたてNISAの分配金がどのタイミングで受け取れるのか、気になる方もいるでしょう。
実は、つみたてNISAの商品の中には「毎月分配型」の投資信託は含まれていません。つみたてNISAの目的は「長期投資」です。毎月分配型の投資信託は、その目的に則していないため、取り扱われていないと考えられます。そのため、1年に1度などの長い期間での分配のみとなります。
一般的に投資信託の分配金は、決算日から5営業日以降に受け取れます。ただし、証券会社によって入金のタイミングは異なるため注意が必要です。事前に確認しておきましょう。
つみたてNISAは長期の資産運用を目的とした制度です。
再投資か受取かの2つのコースがあり、コースを選択する際には、それぞれの特徴を理解し、自分のライフプランに合わせたものを選ぶようにしましょう。
つみたてNISAとよく比較される運用方法の一つとしてiDeCo(イデコ)があります。
つみたてNISAやiDeCo(イデコ)などの様々な資産運用について学び、自分に合った方法は何なのかを明確にして資産形成を行っていきましょう。
当資料は、2023年2月現在の情報に基づき作成しております。
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