今回の記事では、「分散投資って何?」「分散投資でリスクが下がるって本当?」「分散投資ってどんなふうにするの?」などの分散投資に関するお悩みを解決します。
分散投資とは、資産運用のリスクを引き下げる手法の1つで、投資対象・地域・時間などを分散する投資方法です。
分散投資の方法やメリット・デメリットについて解説するので、必要に応じて、様々な形の分散投資が検討できるようになりましょう。
公開日:2023年2月28日
「株価変動リスク」「為替変動リスク」などをはじめ、投資には様々なリスクがあります。
このリスクを軽減させる方法の1つが分散投資です。投資対象・地域・時間などを分散して金融商品を購入します。
1つの銘柄だけに投資を集中させていると、その銘柄が値下がりした場合に資産が目減りします。しかし、複数の銘柄を購入しておくと、特定の銘柄が値下がりしても他の銘柄の値上がりで、損失をカバーできる可能性があります。
「卵は1つのカゴに盛るな」という格言を聞いたことがある方もいるでしょう。投資先を1つに絞らず、複数持つことでリスクが分散できることを意味しています。
リスクの軽減につながる分散投資ですが、着眼点次第で様々な切り口が考えられます。主な分散方法は次の3つです。
それぞれの投資方法について解説します。
資産運用には様々な手段・対象があります。主な投資対象は次のとおりです。
資産運用は、既に持っている資産を用いて、効率的に増やしていく手法です。そのため、株式のみを運用した場合や不動産のみを運用した場合も資産運用といえるでしょう。
対して、投資対象の分散とは、このような投資対象の中から複数を選択し、それぞれに投資を行うことを指します。
例えば、株式投資を選択した場合、その中で複数の会社を選択できます。A社1社に集中して投資するのではなく、例えば「A社・B社・C社・D社」と複数の会社に投資を行うことも分散投資の1つです。
ただ、ここで説明する「投資対象の分散」は、少し異なります。
「投資対象の分散」とは、「株式」「債券」「投資信託」「REIT(不動産投資信託)」など、資産を複数の投資対象に分散して運用することを指します。こうすることで、例えば、万が一株式市場全体が暴落した場合でも、他の対象に投資していた資産によりカバーすることが期待できる、というのが「投資対象の分散」です。
様々な投資対象がありますが、ここでは一例として「株式」「債券」「REIT」の3つを見ていきましょう。
株式の発行は、企業が事業資金を集める手段の1つです。株式を購入すると、株主になれます。株主は、企業に出資すると同時に株主総会での議決権や配当金などを受け取る権利が得られます。
株主が得られる利益は「配当金」や「株主優待」だけではありません。
株式は、株価が低い時に購入し、値上がりしたときに売却すると「値上がり益」を得られます。
債券は、国や地方公共団体、民間企業などが資金調達をする際に発行する有価証券です。なお、現在ではペーパーレス化されており、紙そのものの形では発行されないことも多いです。
債券を購入した投資家は、保有期間中に定期的に利子を受け取れます。さらに、満期時には元本が償還されることが発行元により保証されています。
債券は満期まで保有せずに、途中で売却することも可能です。
REIT(不動産投資信託)とは、専門家が投資者から資金を集め不動産投資を行う仕組みです。投資先の不動産は「住宅」「ホテル」「マンション」「オフィスビル」「商業施設」など多岐にわたります。
投資者には、賃貸料収入や不動産の売却益などが分配されます。一般的な不動産投資は管理の手間がかかり、多くのお金が必要です。REITは手軽に不動産投資を行いたい方に適した投資方法といえるでしょう。
投資先の地域の分散も一つの手です。例えば、円安になって円の価値が落ちた場合でも、海外の通貨を所有していれば、カバーできる場合があります。
地域とは「日本」「海外」の2パターンだけではありません。「ヨーロッパ」「アジア」などのエリア別、「アメリカ」「中国」「インド」などの国別の他、「先進国」「新興国」といった分散方法もあります。
国により、株式の取引ルールや銀行金利などは大きく異なります。
例えば、株式投資の場合、日本株は100株単位での購入が一般的ですが、アメリカ株の場合は1株単位で購入できます。国によって株の売買ルールが異なることもあるため、注意が必要です。
海外の株式は日本の証券会社などの金融機関から購入できます。しかし会社により、取扱地域や国が異なるため、事前の確認は欠かせません。為替手数料も金融機関により異なります。
また、日本以外の地域に投資をする場合、為替の影響を受けることがある点を念頭に置いておきましょう。
株式などの投資で多くの利益を出すためには「安く買って高く売る」とよい、と聞いたことがある方も多いでしょう。しかし、いつが安くていつが高いのか、正確に把握するのは困難です。
投資時期によるリスクを防止するためには、一度にまとめて対象商品を購入するのではなく、時間を分散させて投資を行いましょう。投資時期を分けることで、買い付け価格の平均化が見込めます。
時間・時期の分散投資は、長期的な資産運用において効果が期待できる投資方法です。
株式や投資信託の中には、激しい値動きをしているものも少なくありません。そのため、「安く買って高く売る」ことだけを意識し続けていると、相場を常に見る必要があります。一方、時間・時期の分散による長期投資を行うと決めておくと、日々の多少の値動きを気にすることなく、余裕のある投資ができるようになるでしょう。
時間分散の投資方法としてよく用いられているのが、ドルコスト平均法です。具体的には、定期的に一定額で同じ商品(投資信託など)を購入し続けていく手法です。
投資信託の金額は変動しているため、値上がりした時期には少ない量、値下がりした時期には多い量の金融商品を購入することになります。結果的に全体の平均購入単価が平準化されます。
ドルコスト平均法は、長期運用に有効な購入方法といえるでしょう。
関連記事:ドルコスト平均法とは?メリット・デメリットと一括投資との比較シミュレーション
ここまで、分散投資の具体的な手法について見てきました。
「卵を複数のかごに分けて盛る」ことを意識した分散投資には、大きく2つのメリットがあります。
以上の項目によって、心や時間に余裕を持った投資が行えるようになるでしょう。それぞれのメリットについて解説します。
資産の運用先を1つに限定すると、値下がりしたときのリスクが大きくなってしまいます。
例えば、株式投資のみを行っていた場合、株価が全体的に下落すると資産が大きく目減りする可能性があります。
しかし、株式投資だけでなく、債券投資やREITを同時に行っていた場合、株式の資産が目減りしても、債券やREITの価格が上がっていれば資産の目減り分をカバーできるでしょう。
地域の分散や時間・時期の分散でも、同様の効果が期待できます。例えば、1つの地域のみに投資を行っていると、その地域で大災害などが生じた場合、資産が大きく目減りする可能性があります。複数の地域に投資しておくと、他の地域の資産で目減り分をカバーすることが期待できるでしょう。
例えば、デイトレードなどの短期的な資産運用では、値動きを常にキャッチして、「安く買って高く売る」ことで利益を上げなければなりません。
常に相場の値動きを見てタイミングをはからなければならないため、全ての方に適した運用方法とはいえません。その日の値動きに一喜一憂することもあるでしょう。
一方、ドルコスト平均法などを用いた、時間・時期の分散投資は長期投資に適した運用方法です。そのため、短期的な価格変動の影響を受けることのない資産運用が可能になります。
デイトレードのように常に相場に張り付いて売却のタイミングを気にし続ける必要がないため、時間的・精神的な余裕を持って投資を行いたい方に適した手法といえるでしょう。
分散投資には多くのメリットがあることを見てきました。投資の手法として興味を持った方も多いでしょう。
一方で、分散投資には次のようなデメリットがある点は把握しておかなければなりません。
それぞれのデメリットについて解説します。
分散投資では、複数の投資を行うこととなります。
例えば、1社の株式投資のみを行う場合は、その1社の動向や情報に集中できるでしょう。しかし、複数の会社に株式投資を行う場合、より多くの情報を集めなければなりません。各社の株価の変動から目が離せなくなることもあるでしょう。
「株式」だけでなく「不動産」や「債券」を購入すると、複数の口座による管理が必要となります。
複数の国に分けて投資を行う場合、1つの会社だけでは希望する国全てに投資を行えないことがあるため、複数の会社で口座を開き管理しなければなりません。
このように、分散投資は管理が複雑になる点がデメリットといえます。
地域の分散を意識して、海外への投資を行う場合は為替変動リスクについて把握しておかなければなりません。
円安・円高といった為替の値動きを読み切ることは困難です。円安になると、同じ金額の海外株を購入するためにより多くのお金が必要になります。
また、海外資産を日本円に変換する時期に円高になると資産が目減りしてしまいます。そのため、海外投資を行う場合は、株式や債券の値動きだけでなく、為替変動との関係も確認しておかなければなりません。
為替変動に一喜一憂しないためには、海外の複数の地域に投資先を分散させる、長期的なスパンで積み立てるなどの工夫をするとよいでしょう。
一般的に投資は、ハイリスク・ハイリターン、ローリスク・ローリターンであることが少なくありません。
リスクを避ける分散投資は、様々な投資先に資産を分けます。そのため、集中投資と比較すると、リターンが減少する傾向にあります。
例えば、A社の株が30%値上がりした例を見てみましょう。A社に100万円、集中投資していると30万円の利益が得られます。しかし、100万円を様々な投資先に分散して、A社には10万円だけ投資していた場合、A社から得られる利益は3万円です(手数料・税金等は考慮しないものとします)。
分散投資は長期での資産運用の中でリスクを抑えることを意識した投資方法です。そのため、特に短期投資で資産を増やすことには向いていません。
分散投資は、長期的な資産運用のリスク軽減につながる投資方法です。
分散の種類には様々なものがあります。本記事では、次の3つを中心に解説してきました。
投資先を1つに集中させずに複数持つことで、運用リスクの軽減が期待できます。一方で、あまりにも多くの分散を行うと管理が複雑になる点は知っておかなければなりません。
長期的な資産運用を行う際は、リスク軽減のために分散投資を検討しましょう。
投資を始めたい方や資産形成にお悩みの方は、分散投資のほかにもドルコスト平均法など様々な投資手法を学び、長期的な視点を持って資産形成を行っていきましょう。
関連記事:ドルコスト平均法とは?メリット・デメリットと一括投資との比較シミュレーション
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