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退職金の平均はいくら?企業規模それぞれの平均額や税金について解説!

dotL編集担当者C

退職金は、企業規模・業界によりさまざまで、また勤続年数や学歴、退職理由によっても変わってきます。さらに計算方法も会社によって異なるので、会社の規定を調べておくことが重要です。退職金の税金に取り扱についても解説するので、詳しく見ていきましょう。

掲載日
2024年10年10日(木)

14分

※当記事は、ソニー生命から山口2級ファイナンシャル・プランニング技能士へ執筆を依頼し、原稿をソニー生命にて編集したものです。

退職金は、老後の生活を支える重要な収入源です。定年が近づくと「自分は退職金をどれくらいもらえるのだろう?」と気になる人は多いでしょう。
しかし、退職金は企業の規模(大企業や中小企業など)や勤続年数(20年や30年など)によって変わります。

この記事では、退職金制度の基本や金額、退職金の平均について調査結果に基づいて詳しく説明します。
平均を知り退職金がどれくらいもらえるか把握をして、老後のライフプランを設計するキッカケ作りにしましょう。

退職金とは

退職金は従業員が定年退職などを迎え、職業生活を引退した後の安定的な生活を保障することを目的に支給されるものです。

退職金制度の仕組み

退職金の制度は主に、次の2つに分けられます。

  • 退職一時金制度
  • 企業年金制度

退職一時金制度は、退職時に会社から一括で退職金が支払われる制度です。支給額は退職金規程に基づき決定。規程が変更されない限り、企業の財務状況に左右されずに支払いが保証されます。

なお退職金を一括で受け取ると「退職所得」に分類され、所得税や住民税が発生します。
退職金を受け取るまでに「退職所得の受給に関する申告書」を勤務先に提出している場合は、源泉徴収されるため、確定申告を行う必要はありません。※1

企業年金制度は、公的年金の上乗せとして支給される私的年金です。これにより、退職後の従業員の生活をさらにサポートします。
厚生年金が年金の「2階部分」にあたるのに対し、企業年金はさらに上の「3階部分」と位置づけられます。

※1 参照:国税庁 「退職金と税」

退職金の種類はどれくらいある?

退職金の種類は3つに分類されます。

①退職一時金

退職一時金とは、企業年金制度から脱退したときに支給される一時金を指します。
受け取れる金額は勤続年数や役職、業績などに応じて金額が決定されるケースが一般的です。
まとまった資金を得られる一方で、一度に支払われるため計画的に資金運用を行わなければなりません

②退職金の年金受取

退職金の年金受取とは、退職時に一括で支払われる一時金ではなく、定期的に年金として支払われる退職金の形態です。
企業によっては「確定給付企業年金(DB)」「企業型確定拠出年金(DC)」という制度を敷いているところもあります。
まとまったお金ではなく、長期的に安定した収入が得られるため、計画的にお金を管理することが可能になります。

③退職金共済

退職金共済制度とは、企業が独立行政法人勤労者退職金共済機構への積立を通じて、退職金の計画的な準備を行う制度です。
中小企業が加入できる退職金制度で、事業主が毎月一定額を掛金として支払い、退職時に掛金に応じた退職金が支払われる仕組みです。

退職金の平均に影響する要因

退職金の平均に影響する要因は次の3つです。

  • 企業規模
  • 業界
  • 勤続年数

それぞれ、退職金額にどのような影響を及ぼすのか解説します。

企業規模の違い

一般的に、企業規模が大きくなるほど退職金額は大きくなります。退職金は福利厚生の一環であり、企業の資金力や財務力に左右されるためです。

企業規模が大きいほど資金力に余裕があるため、従業員に対して手厚い退職金を用意ケースが多いです。一方で、中小企業は大企業ほど資金のリソースに余裕がないことが多い、企業規模が小さくなるほど退職金額も小さくなりやすい点を押さえておきましょう。

業界の違い

企業が属する業界も、退職金の給付水準に影響します。
例えば公定価格が決まっている医療業や福祉業は、退職金の水準が低い傾向にあります。
逆に、企業によって差はあるものの、一般的に金融業、保険業は退職金の水準が高い傾向にあります。※2

※2 参照:東京都産業労働局「中小企業の賃金・退職金事情(令和4年版)」p.1〜7

勤続年数の違い

一般的に、勤続年数が長いほど受け取れる退職金額は大きくなります。退職金は、福利厚生の一環として「長年勤めて会社に貢献したことに対する報酬」という意味合いがあるためです。

そのため、勤続年数が長い従業員の方が企業に貢献したと捉えられます。企業によっては「退職金を支給するのは勤続3年以上ある従業員のみ」という規定を設けているケースもあります。

退職金の平均はいくら?【企業規模別】

退職金は、企業規模などよって左右されます。
ここからは、大企業・中小企業ごとの退職金平均を解説します。

大企業の退職金の平均

厚生労働省の「令和3年賃金事情等総合調査」によると、大企業における男性定年退職者の退職金の平均額(満勤勤続)は以下のとおりでした。※3

学歴 退職金の平均
大学卒 2,230万4,000円
高校卒 2,017万6,000円

学歴に依らず2,000万円を超えています。大企業は資金力が豊富にあり財務的なリソースもあることが、データ上からも見て取れます。

※3 参照:厚生労働省「令和3年退職金、年金及び定年制事情調査〔調査結果の概要〕」p.6

中小企業の退職金の平均

東京都産業労働局によると、東京都内の中小企業のモデル退職金は以下のとおりでした。※4
モデル退職金とは、卒業後すぐに入社し、同じ企業に定年まで勤務した場合を想定しています。

学歴 モデル退職金
大学卒 1,091万8,000円
高校卒 994万円

あくまでも平均値で比較した場合ですが、大企業と中小企業では受け取れる退職金額に約2倍の差がついていることが分かります。

※4参照:東京都産業労働局「中小企業の賃金・退職金事情(令和4年版)」p.1

退職金の平均はいくら?【業界別】

業種別に退職金の平均を表にまとめると、以下のとおりです。※5

業種 高校卒 大学卒
建設業 1,133万4,000円 1,220万3,000円
製造業 999万6,000円 1,068万5,000円
情報通信業 941万8,000円 1,192万9,000円
運輸業、郵便業 1,142万8,000円 1,332万3,000円
卸売業、小売業 1,036万1,000円 1,132万9,000円
金融業、保険業 1,073万6,000円 1,442万2,000円
不動産業、物品賃貸業 513万6,000円 1,012万8,000円
学術研究、専門・技術サービス業 1,026万1,000円 964万8,000円
宿泊業、飲食サービス業
生活関連サービス業、娯楽業 716万9,000円 846万9,000円
教育、学習支援
(学校教育を除く)
1,244万9,000円
医療業、福祉業 332万3,000円 342万4,000円
サービス業
(他に分類されないもの)
995万8,000円 904万4,000円

高卒では「運輸業、郵便業」が高く、大学卒では「金融業、保険業」が高くなっています。

※5 参照:東京都産業労働局「中小企業の賃金・退職金事情(令和4年版)」p.1〜7

退職金の平均はいくら?【勤続年数別】

退職金の平均について、大学卒を前提として勤続年数別に紹介します。なお、平均は全て東京都産業労働局が公開している「中小企業の賃金・退職金事情(令和4年版)」のモデル退職金(調査産業計)を元としています。

勤続年数3~5年

まず、勤続年数が3~5年の場合、退職金の平均は以下のとおりです。※6

勤続年数、年齢 自己都合退職 会社都合退職
勤続年数3年、25歳 23.8万円 33.8万円
勤続年数5年、27歳 47万円 64.1万円

このデータを見る限りは、勤続年数が3~5年の場合、20万~70万円程度が目安といえるでしょう。

※6 参照:東京都産業労働局「中小企業の賃金・退職金事情(令和4年版)」p.124

勤続年数10~20年

続いて、勤続年数が10~20年の場合における退職金の平均を解説します。※7

勤続年数、年齢 自己都合退職 会社都合退職
勤続年数10年、32歳 112.1万円 149.8万円
勤続年数20年、42歳 343.1万円 414.7万円

このデータを見る限りは、勤続年数が10年以上だと、退職金はおおむね100万円を超えると考えられます。

※7 参照:東京都産業労働局「中小企業の賃金・退職金事情(令和4年版)」p.124

勤続年数30年

勤続年数30年の退職金の目安は以下のとおりです。※8

勤続年数、年齢 自己都合退職 会社都合退職
勤続年数30年、
52歳
653.6万円 754.2万円

このデータを見る限りは、勤続年数が30年の場合、自己都合退職でも600万円を超える水準となっていることが分かります。

※8 参照:東京都産業労働局「中小企業の賃金・退職金事情(令和4年版)」p.124

退職金額に影響する要因

退職金額に影響する要因は、主に次の2つです。

  • 勤続年数や学歴
  • 退職理由

それぞれ、どのように影響するのか詳しく解説します。

勤続年数や学歴

前述した表のように、勤続年数や学歴によって退職金の金額は変わります

退職金の性格として、長年にわたる会社への貢献度を評価する側面があります。そのため、勤続年数が長いほど退職金額も多くなるのが一般的です。
また、大学卒以上の方は一般的に給与水準が高い傾向があります。基本給をベースにして退職金を計算する場合、高校卒よりも大学卒の方が受け取れる退職金が高くなりやすいでしょう。

退職理由

退職金の金額は、自己都合か会社都合かによって変わります。一般的に、会社都合の方が受け取れる退職金額は多い傾向です。

会社の経営状況や事業の縮小・廃止などにより、会社都合の場合は通常よりも高い退職金が支払われることが多く見られます。会社としては、円滑な人員整理と対象者の生活保障を図れるためです。

また、就業規則で定められた定年年齢に達したときも高額な退職金が支給される場合があります。

一方で、自己都合で退職した場合は退職金が低額になりやすく、懲戒解雇の場合はまったく支給されないケースもあります。

退職金の計算方法を紹介!

退職金の計算方法は、主に以下の4種類です。

  • 基本給
  • 定額制
  • 別テーブル制
  • ポイント制

以下で、具体的な計算方法を解説します。

①:基本給

基本給をベースに退職金を計算する方法があります。基本給と連動し、退職時の基本給と勤続年数を基に退職金を算出する方式です。

一般的に、退職金の計算は基本給に勤続年数に応じた係数を乗じて行います。自己都合で退職する場合、支給額が減るケースもあります。

②:定額制

定額制とは、勤務年数に基づいて支給額を定める制度です。

従業員の業績や給与の高低に関係なく、同じ勤務年数の従業員には同じ額の支給が行われます。

③:別テーブル制

別テーブル制では、勤続年数、役職係数、退職理由などさまざまな要素を含む表を用いて退職金を算出します。

この方法では、勤続年数や役職に基づいて退職金の額が定められます。さまざまな要素を退職金額に反映する点が特徴です。

④:ポイント制

ポイント制は基本給や勤続年数、役職、退職理由など、退職金額に影響を与える要素をポイントで評価します。退職時における総ポイント数に基づいて、退職金を決定する方法です。

勤続年数だけでなく複数の要因を考慮する点が特徴で、多くの企業で採用される傾向にあります。

退職金に関連したよくある質問

最後に、退職金に関連したよくある質問について回答します。

退職金にかかる税金とは?

退職金を受け取った場合、次の3つの税金が発生します。

  • 所得税
  • 住民税
  • 復興特別所得税

退職金を一時金で受け取った場合は「退職所得」、年金で受け取ると「雑所得」になりますが、いずれの受け取り方でも上記3つの税金が発生します。

退職金で税負担軽減はできる?

退職金を一時金で受け取る場合は、下表の「退職所得控除額」が適用され、課税対象が圧縮されます。

勤続年数 退職所得控除額
20年以下 40万円×勤続年数
20年超 800万円+70万円×(勤続年数-20年)

退職金を運用できる金融商品は何がある?

退職金を原資に投資をするとき、以下のようにさまざまな金融商品が購入候補に挙げられます。

  • 個人向け国債
  • 投資信託
  • 株式投資
  • 貯蓄型保険
  • 定期預金
  • 不動産投資

大切なことは、自分のリスク許容度に応じて最適な金融商品を購入することです。退職金は老後生活を支える貴重な原資なので、「リスクを避けたい」「リスクを負ってでもふやしたい」といったはっきりとした自分の考えのもと、選択をすることが重要です。

退職世代が資産寿命を伸ばす方法!

定年退職を控えている世代の人は、老後の経済的な不安を軽減するためにも、資産寿命を延ばすための工夫を行いましょう。例えば、以下のような工夫が挙げられます。

  • 支出を見直して健全な家計運営を行う
  • 退職金の一部を資産運用に回す
  • 年金制度を理解して自分の受給額を把握する
  • 可能な範囲で就労して勤労収入を得る

特に、退職金は老後の生活を支えるための貴重な資金です。リスクを負いすぎることなく、適度な金額を資産運用に回せば資産寿命を延ばせるでしょう。

退職する時期が近くなってきたら、早い段階で自分が受け取れる退職金額を把握し、どのように活用すべきかシミュレーションすることをおすすめします。

まとめ

退職金は、企業規模や退職時の給与、離職理由などさまざまな要素が複雑に絡み合って決まります。老後生活を支える大切な資金となるため、自分がいくら受け取れるのかシミュレーションしておくとよいでしょう。

現在は「人生100年時代」と呼ばれ、退職金をただ貯蓄するだけでは将来への不安を感じる人も多いかもしれません。

どの商品にすればよいか迷っていたり、将来資金の準備の仕方に迷ってる方は、ソニー生命のライフプランナーにご相談ください。

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執筆者:山口 貴弘(2級ファイナンシャル・プランニング技能士)
監修者:柴田 充輝(1級ファイナンシャル・プランニング技能士)

※当資料は、2024年9月現在の税制・税率に基づき作成しております。また、税制・税率は将来変更されることがあります。なお、個別の取扱いにつきましては、お客さまご自身にて所轄の税務署または税理士にご確認ください。

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