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iDeCoの始め方とは?注意点や確認事項、具体的な手順を解説

dotL編集担当者B

iDeCoは「個人型確定拠出年金」のことで、公的年金とは別に老後の資産を確保するための手段として注目されており、税制上のメリットを享受できるという特長があります。 加入条件や制度の詳細を確認するとともに、年金の受給時期や手数料など、見逃しがちな注意点も併せて確認しておきましょう。

更新日
2025年1年23日(木)
掲載日
2024年6年6日(木)

14分

iDeCoは「個人型確定拠出年金」のことで、「individual-type Defined Contribution pension plan」から文字を取った愛称です。公的年金とは別に、老後の資産を確保するための手段として注目されています。ただ、いざ始めたいと思っても、どのように始めればいいのか、金融商品は何を選べばいいのかといったことがわからない方もいるでしょう。

そこでこの記事では、iDeCoを始める前に確認しておきたいことや注意点を踏まえ、始め方や税制優遇を受ける方法のほか、iDeCoの年金受給方法について解説します。

iDeCoは年金を自分で用意するための制度

iDeCoは、公的年金に上乗せして年金を自分で用意する制度です。基本的に定年までのあいだ、自分で選んだ金融商品を毎月決まった金額で購入して運用し、60歳以降になったら年金として受け取ることができます。
同じ確定拠出年金に「企業型確定拠出年金(企業型DC)」がありますが、これは導入企業に勤務している従業員のみ加入可能です。なお、2022年10月より企業型DCとiDeCoは、併用できるようになりました。

iDeCoの大きな特長は、3つの税制メリットを受けられる点です。
1つ目は、運用期間中に金融商品の購入にあてた費用の全額が所得控除の対象となり、所得税や住民税が軽減されるというもの。
2つ目は、通常、金融商品を運用すると運用益に約20%課税されますが、iDeCoは非課税で再投資されること。
そして3つ目は、年金、もしくは一時金として受け取るときにも「公的年金等控除」や「退職所得控除」の対象になることです。

iDeCoを始める前に確認しておくこと

iDeCoを始めるにあたって、事前に確認しておくべきことがあります。主な確認事項は、下記のとおりです。

加入条件に該当しているか

iDeCoに加入できるのは、下記の加入対象に該当する方です。iDeCoへの加入を検討する際には、しっかり確認しておきましょう。

iDeCoの加入対象者

加入区分 加入対象となる方 加入対象とならない方
国民年金保険の第1号被保険者 ・20歳以上60歳未満の自営業者(フリーランス)とその家族、学生など ・農業者年金の被保険者
・国民年金の保険料納付を(一部)免除されている方(ただし、障害基礎年金を受給されている方などは加入できる)
国民年金保険の第2号被保険者 ・会社員や公務員など厚生年金の被保険者 ・勤務先が企業型DCに加入しており、その事業主掛金が各月拠出となっていない方
・企業型DCにおいて、企業が拠出する掛金に加入者(従業員)が掛金を上乗せして運用できる制度「マッチング拠出」を選択した方
国民年金保険の第3号被保険者 ・厚生年金の被保険者に扶養されている20歳以上60歳未満の配偶者 -
国民年金の任意加入被保険者 ・国民年金に任意で加入した方 -

掛金の上限額(拠出限度額)はいくらか 

iDeCoの掛金の上限額(拠出限度額)は、加入区分に応じて異なります。各加入区分の拠出限度額は、下記のとおりです。

加入区分ごとの拠出限度額

加入区分 拠出限度額
第1号被保険者・任意加入被保険者 月額6万8,000円(国民年金基金・国民年金付加保険料との合算)
第2号被保険者 会社に企業年金がない会社員 月額2万3,000円
企業型DCのみに加入している会社員 月額5万5,000円-企業型DCの事業主掛金(ただし上限2万円)
DB(確定給付企業年金、厚生年金基金、石炭鉱業年金基金、私立学校教職員共済)と企業型DCに加入している会社員 月額2万7,500円-企業型DCの事業主掛金(ただし上限1万2,000円)
DBのみに加入している会社員 月額1万2,000円
公務員
第3号被保険者 月額2万3,000円

加入に必要なものはそろっているか

iDeCoへの加入を検討する場合は、加入に際し必要な書類などがそろっているかどうかを確認することも大切です。下記にてご紹介しますので、事前に確認しましょう。

・個人型年金加入申出書

個人型年金加入申出書は、iDeCoに加入するために国民年金基金連合会に提出する申出書です。iDeCoへの加入申込をおこなう金融機関から入手します。氏名や住所、基礎年金番号、掛金の引き落とし口座の情報などを記載して提出します。

・事業所登録申請書兼第2号加入者に係る事業主の証明書

事業所登録申請書兼第2号加入者に係る事業主の証明書は、勤務先の事業主に記載してもらう書類です。会社員と公務員は、この書類を勤務先に提出して必要事項を記入してもらう必要があります。個人型年金加入申出書と同様、金融機関から入手します。

・本人確認書類の写し

本人確認書類は、運転免許証や健康保険証、パスポート、マイナンバーカードなどです。いずれかのコピーを用意します。

・年金手帳や基礎年金番号通知書

iDeCoに加入する際に提出する個人型年金加入申出書には、基礎年金番号を記載する必要があります。基礎年金番号がわかる年金手帳や基礎年金番号通知書を用意してください。

・掛金引き落とし口座の情報

個人型年金加入申出書には掛金を引き落とす口座の情報を記入する必要があります。預金通帳やキャッシュカードなどで口座情報を確認してください。

iDeCoを始める際の3つの注意点

iDeCoを始める際には、注意すべき点がいくつかあります。主な注意点を3つご紹介します。

原則60歳まで引き出せない

iDeCoは、あくまでも老後に向けた資産形成を目的とした私的年金制度です。そのため、これまで積み立ててきた資産は原則として、60歳までは引き出せない仕組みとなっています。

このように、60歳以降からしか引き出せないと聞くと、デメリットに感じるかもしれません。しかし、60歳以降まで引き出せないからこそ、腰を据えて老後の資金を蓄えることが可能です。貯蓄が苦手な人にとっては、むしろメリットになる可能性があります。

手数料がかかる

iDeCoは、加入時や企業型確定拠出年金からの移換時、掛金の納付時、還付金の還付時などに手数料が差し引かれます。また、iDeCoは証券会社や銀行などを通じて加入するため、金融機関ごとにiDeCoの運営管理手数料がかかります。運営管理手数料は、無料の金融機関もあれば数百円程度の費用が発生する金融機関もあるため、事前の確認が大切です。

マッチング拠出を利用している会社員は加入できない

マッチング拠出を利用している会社員は、iDeCoに加入することができません。マッチング拠出とは、企業型DCにおいて、企業が拠出する掛金に加入者(従業員)が上乗せして運用することができる制度です。
企業型DCに加入している人がiDeCoへの加入を検討する際は、事前にマッチング拠出をしているかどうかを確認しておくことをおすすめします。

iDeCoの始め方

iDeCoの始め方は下記のとおりです。それぞれの段階における主なポイントを解説します。

1. 金融機関を決めて口座を開設する

iDeCoは、証券会社などの金融機関を通じて加入します。前述のとおり、金融機関ごとに運営管理手数料が異なるため、手数料を確認してから金融機関を決めることが重要です。

2. 金融機関から申込書類を取り寄せる

金融機関が決まったら、個人型年金加入申出書などの必要書類を取り寄せます。申込書類は不備があると審査ができないため、間違いなく記入してください。

3. 運用商品を選ぶ

金融機関によっては、iDeCoの申込をする際に運用商品の指定を求められる場合があります。運用商品はそれぞれ特徴が異なりますので、きちんと理解することが重要です。
なお、iDeCoで運用できる商品には、大きく分けて保険や定期預金などの「元本確保商品」と「投資信託」の2種類があります。さらに、投資信託は国内債券型、外国債券型、国内株式型、外国株式型など複数の種類に分かれていて、リスクとリターンの大きさが異なります。
運用商品ごとのリスクとリターンの関係は下記の図を参考にしてください。

運用商品のリスクとリターンの関係

運用商品のリスクとリターンの関係

運用商品におけるリスクとは「価格の振れ幅」のことです。リスクが大きい商品の場合、大きな収益が得られるかもしれないし、大きく損失が出るかもしれません。基本的に、リターンとリスクは比例関係であり、リスクが大きいほどリターンも大きくなると考えておきましょう

4. 申込書類や事業主証明書など一式を返送する

必要書類への記入が完了したら、金融機関に返送します。その後、1~2ヵ月程の審査期間を経て、加入確認通知書や金融機関の加入者サイトにログインするためのID・パスワードなどが送られてきます。

5. 初期設定をして運用を始める

iDeCoの加入者サイトにログインすると、運用状況を確認可能です。金融機関によっては、ログイン後に運用商品と配分を決めることがあります。
指定の銀行口座から掛金が引き落とされたら、iDeCoの運用が始まります。

iDeCoで税制優遇を受ける方法

iDeCoで所得控除を受けるには、年末調整や確定申告の際に「小規模企業共済等掛金控除の適用」の申告が必要です。iDeCoに加入すると、国民年金基金連合会から「小規模企業共済等掛金払込証明書」が送られてくるため、大切に保管しておきましょう。
そのうえで、会社員であれば年末調整の申告の際に「給与所得者の保険料控除申告書」に必要事項を記入し、小規模企業共済等掛金払込証明書を添付して勤務先に提出します。

フリーランスなどの自営業者や年末調整で申告を忘れた方は、自分自身で確定申告をおこないます。確定申告書の「小規模企業共済等掛金控除」の欄に金額を記入し、小規模企業共済等掛金払込証明書を添付して税務署に提出してください。

年金の受け取り方

iDeCoを通じて運用してきた資産の受け取り方は、「年金」「一時金」「年金と一時金の組み合わせ」の3種類があります。それぞれの受け取り方は下記のとおりです。
なお、前提として、年金で受け取る場合は「公的年金等控除」の対象に、一時金で受け取る場合は「退職所得控除」の対象となり、それぞれ税制優遇が受けられます。

年金

iDeCoを年金で受け取る場合、受取期間が5年以上20年以下の「有期年金」となります。受け取りを開始する時期については、75歳になるまでのあいだで選択可能です。

一時金

原則60歳に達したら、一時金として一括で受け取れます。一括で受け取れる期間は75歳までです。

年金と一時金の組み合わせ

年金と一時金を組み合わせで受け取ることも可能です。原則60歳に到達した時点で、一部の資産を一時金として受け取り、残りの資産を年金として受け取ることができます。

iDeCoの始め方に関するよくある質問

iDeCoを始める際は、わからないことも多いはずです。そこで、iDeCoの始め方に関するよくある質問の回答をご紹介します。ぜひ参考にしてみてください。

Q. iDeCoで運用するには、どのような商品を選べばいいですか?

iDeCoで選べる商品は、定期預金や保険などの「元本確保商品」と「投資信託」の2種類です。中でもiDeCoでは、投資信託を選ぶ方が多い傾向です。
元本確保商品も投資信託も複数の商品があります。それぞれ特徴をよく理解したうえで、購入する商品を決めましょう。

Q. iDeCoの掛金は、運用途中でも変更できますか?

iDeCoの掛金は、運用途中でも1年に1回変更可能です。金額を変更するには「加入者掛金額変更届」などの書類を提出する必要がありますので、金融機関で確認してください。

Q. iDeCoの運用中に掛金を支払えなくなった場合、どうしたらいいですか?

失業や病気などでiDeCoの掛金を支払うことが困難になった場合、加入している金融機関の「加入者資格喪失届」を提出することで、支払を一時的に停止できます。
停止をすると、加入者ではなく「運用指図者」となって、今まで積み立てた額の運用を続けることになります。なお、掛金を停止しても、毎月の手数料などは発生するため注意しましょう。

Q. 転職や退職をした場合、iDeCoの資産はどうなりますか?

転職や退職をしても、iDeCoの加入は継続できます。ただし、転職先によって手続が異なります。まず、転職先に企業型DCがある場合、前職でiDeCoに加入していたことを告げると、必要な手続を進めてもらえます。企業型DCに資産を移換するとiDeCoの加入資格を失うことになるため、「加入者資格喪失届」を金融機関に提出することが必要です。
転職先に企業型DCがない場合、iDeCoを継続利用するための手続が必要となります。厚生年金に加入していた方が転職した場合、iDeCoの申込をおこなった金融機関に「加入者登録事業所変更届」と、転職先が記入した「事業所登録申請書兼第2号加入者に係る事業主の証明書」の提出が必要です。

わからないことは、ライフプランナーに相談してみよう

iDeCoを始めたいと思ったら、まずは証券会社などの金融機関で証券口座を開設後、申込書類を取り寄せましょう。
なお、iDeCoで選べる商品は大きく元本確保商品と投資信託の2種類です。元本確保商品は原則として元本が確保されている運用商品ですが、投資信託であれば、投資の原則である「長期・積立・分散」を通じて、価格変動のリスクを抑えながら資産を形成できる可能性があります。
とはいえ、もちろん元本割れのリスクがある商品ですので、自身のリスク許容度などに応じて元本確保商品か投資信託かを判断してください。

もし、iDeCoの始め方や運用商品で迷ったら、「ライフプランナー」に相談してみるのもひとつの方法といえます。
ソニー生命のライフプランナーは、豊かな営業経験と知識を持つ保険・金融のプロフェッショナルです。ライフイベントの洗い出しや収支のシミュレーションなどの相談を無料でおこなっていますので、お気軽にご相談ください。

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当資料は、2024年5月現在の税制・税率に基づき作成しております。また、税制・税率は将来変更されることがあります。なお、個別の取扱につきましては、お客さまご自身にて所轄の税務署または税理士にご確認ください。

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