少額でもできる代表的な資産運用とは?運用のポイントも解説
dotL編集担当者B
資産運用(資産形成)は、大きな元手がないと始められないと思っている方もいるかもしれませんが、毎月定額の積立投資や、1株から始められる株式投資など、少額から始められる資産運用(資産形成)も多くあります。さまざまな方法を紹介するので、目的や自分の性格に合った手段を見つけてみてはいかがでしょうか。
- 掲載日
- 2024年9年17日(火)
15分
※当記事は、当社から金子CFP®認定者へ執筆を依頼し、原稿を当社で編集したものです。
老後資金の調達などを目的に、資産運用を始める人が増えています。一方で、「資産運用を始めてみたいけれど、何をどのようにすればいいかわからない」といった悩みを抱えている方は多くいるのではないでしょうか。
そこで本記事では、資産運用を始めるにあたって最低限押さえておきたいポイントや、おすすめの運用方法などをご紹介します。資産運用に関する基礎知識を身に付け、未来のための第一歩に役立ててください。
資産運用は少額でも始められる
資産運用とは、株式や投資信託、債券といった金融商品を効率的に運用して資産を増やすことです。
資産運用と聞くと、数千万円から数億円の巨額の資金が必要と考える方もいるかもしれません。しかし、実際には月々少額で投資をできたり、1株から株式購入のできる証券会社があるなど、必ずしも大きな金額が必要ではなくなってきました。
資産運用のひとつである預金は低リスクですが、現在は超低金利といわれていることもあり、貯蓄よりも投資が推奨されています。
資産運用に回せる余裕がある場合は、貯蓄だけでなく投資も視野に入れてみてはいかがでしょうか。
資産運用の基礎知識
資産運用を始めるにあたっては、最低限押さえておきたい基礎知識があります。長期・積立・分散やリスクとリターンの関係など、下記で詳しくご紹介します。
資産運用の王道は長期・積立・分散
資産運用の王道は、長期・積立・分散だといわれています。これに沿って資産運用をおこなうことで、安定的に資産を増やしていけると考えられています。
- 長期
長期とは言葉のとおり、金融商品を短期間で売買することを繰り返すのではなく、長期にわたって保有し続けることです。金融商品の価格は短期間に上昇と下落を繰り返すため、タイミングを計った売買は投機的な側面が強くなります。しかし、長期的に保有することを念頭に置いていれば、一時的に価格が下落したとしても再び上昇することを期待できます。
そのため、長期投資は資産運用における損失のリスクを軽減する効果を見込むことが可能です。詳しくは後述しますが、長期の資産運用は運用で得た利益がさらなる利益を生む「複利」の恩恵も得やすいという利点もあります。
- 積立
積立とは、金融商品を一括で多く購入するのではなく、月に1回購入するなどして、貯めたり増やしたりする資産運用の手法です。購入するタイミングを分けることで、損失のリスクを軽減し、購入価格を平均化できる特徴があります。
- 分散
分散は、複数の投資対象に分散して投資することです。分散投資をおこなうと、1つの投資対象で発生した損失を、ほかの投資対象でカバーできるなどの特徴があります。
資産運用の世界には、「卵は1つのかごに盛るな」という格言があります。卵を1つのかごに盛ると、そのかごを落としたらすべての卵が割れてしまう可能性がありますが、複数のかごに分散して卵を盛っておけば、1つが落ちたとしてもすべての卵が割れてしまうことはありません。資産運用においても、特定の商品だけに集中して投資するのではなく、複数の商品に投資してリスクを分散させるほうが良いと考えられています。
リスクとリターンの関係
資産運用におけるリスクとは収益の変動幅のことで、リターンは運用によって得られる利益のことです。リスクが大きいということは、大きな収益を得られる可能性と大きな損失をこうむる可能性の両方があることを指します。
基本的に、リターンとリスクは比例関係にあります。リスクが大きいほど、見込めるリターンも大きくなるのです。一般的には、リスクが小さくてリターンが大きい金融商品はなく、リスクが大きくてリターンが小さい金融商品もないといえるでしょう。
金融商品の安全性・流動性・収益性
金融商品には、安全性・流動性・収益性という3つの特徴があります。
安全性は、元本が保証されているかどうかの指標です。リスクもリターンも小さい金融商品ほど、安全性が高いといえます。流動性は、換金や中途解約のしやすさのこと。万が一お金が必要になったとき、すぐ引き出せるかどうかを意味します。収益性は言葉のとおり、どの程度の収益を見込めるかの指標です。
これら3つの特徴は、金融商品を選ぶときに意識することが大切です。なお、基本的に収益性と安全性は反比例の関係にあり、収益性が高ければ安全性は低くなります。
複利効果による長期運用の利益
複利は利息の計算方法のひとつで、複利効果を簡単にいうと、「運用で得た利益がさらに利益を生む」ということです。
利息の計算方法には単利もありますが、単利が元本に対する利息のみを計算するのに対し、複利は運用で得た利益を元本に組み入れ、その合計金額に基づいて次の期間の利息計算をします。元本に利息がプラスされていくため、長期運用によって大きな利益を得ることが期待できます。
資産運用の特徴
投資による資産運用には、いくつかの特徴があります。押さえておきたい主な特徴は、下記のとおりです。
預貯金よりも高いリターンを期待できる
資産運用の大きな特徴は、預貯金よりも資産を効率的に増やせる可能性があることです。
資産運用の目的で購入する金融商品は基本的には値上がりしていくため、資産価格の上昇が期待できます。また、前述した複利の恩恵を受けることで利益がさらに利益を生む循環を生み出すことも可能です。
将来のお金の不安が少なくなる
前述のとおり、現在は超低金利といわれており、銀行預金とその利息によって資産形成をすることは必ずしも効率的とはいえない状況にあります。老後を含む将来のお金に対する不安の高まりを受け、資産運用をあと押しする動きは大きくなっています。こうした流れのなか、投資によって資産運用を図ることは、将来のお金の不安を少なくすることにつながるでしょう。
経済や金融の知識が身に付く
資産運用を始めると、金融商品や為替相場の動きを意識するようになり、経済や金融の知識が身につきます。場合によってはみずから確定申告をおこなうケースもあるかもしれません。そのような経験は、税金に関する知識を身に付けるよい機会にもなります。身に付けた知識は、自身の生活や仕事に役立てることも可能です。
資産運用の注意点
資産運用には複数の注意点も存在します。資産運用を始める場合には、注意点についてもしっかり押さえておきましょう。
元本割れのリスクがある
資産運用をおこなう注意点は、元本割れを起こす可能性があることです。購入する金融商品は基本的に、価格が上がったり下がったりします。そのため、購入したときよりも価格が下がってしまったら、その分、元手の資産が減ってしまうことになるのです。
資産運用をおこなう際には、このような元本割れのリスクがあることを十分に理解してください。
一定の手数料がかかる
金融商品の購入と運用には、一定の手数料がかかります。株式の場合には購入時と売却時に売買手数料がかかり、投資信託の場合は売買手数料のほかに信託報酬という運用の手数料が必要です。
手数料は証券会社や金融商品などによって変わりますが、資産運用をする際には、こうしたお金がかかることを常に念頭に置いておく必要があります。
短期的な成果は見込めない
資産運用を長期・積立・分散で考える場合、当然ながらすぐにまとまった利益を得ることはできません。長期・積立・分散による資産運用は元本割れのリスクを軽減するためにも重要であるため、短期的な利益の追求には向かない手法といえます。利益が出るには時間がかかることを十分に理解し、腰を据えて取り組むことが大切です。
少額でも始められる代表的な資産運用
一口に資産運用といっても、購入する金融商品によって特徴が異なったり、利用する制度によって享受できる特徴が変わったりします。ここでは、代表的な資産運用をピックアップしてご紹介します。
株式
株式とは、株式会社が出資者に対し発行する証券のことです。株式による資産運用は、証券取引所に上場されている株式を購入して行います。株式は、株価が安いときに購入し、値上がりしたあとに売却すれば、その差額が利益(値上がり益)となります。また、会社が利益を出した際に株主にその利益の一部を分配する「配当金」や、自社製品や優待券などの「株主優待」を受け取ったりすることができます。
前述の通り、1株から購入ができる証券会社も増えてきており、少額でも十分に始められます。
投資信託
投資信託とは、投資家から集めた資金を使って、ファンドマネージャーと呼ばれる運用のプロが代わりに投資をおこなう商品のことです。運用によって利益が出た場合には、投資家に対し投資額に応じた「分配金」が支払われる商品もあります。投資信託は、さまざまな投資対象に分散して投資が行われているのが基本であるため、1つ購入することによって分散の効果が得られます。
毎月といった定期的に一定の金額で購入のできる、いわゆる積立投資も選択ができ、少額でも十分に始めることができます。
ETF(上場投資信託)
ETF(上場投資信託)とは、証券取引所に上場している投資信託のことです。ETFの特徴は、日経平均株価やTOPIX(東証株価指数)といった指数に連動するように設計されていることです。
日経平均株価やTOPIXなどと連動するということは、平均的な投資成績を継続して期待できることを意味します。
REIT(不動産投資信託)
REIT(不動産投資信託)とは、投資家から集めた資金を使って複数の不動産に分散投資をおこなう金融商品です。仕組み自体は投資信託と同様ですが、投資対象は不動産に限定されます。REITを保有すると、間接的に不動産オーナーとして利益を得ることができます。
債券
債券は、国や地方自治体、企業などが資金を調達するために発行する有価証券です。債券には利払い日と償還日が定められており、償還日が来ると満期になって元本に利子が加えられて額面金額を受け取ることができます。株式や投資信託などに比べて、安全性の高い金融商品といわれています。
債券により異なりますが、1万円単位・10万円単位・100万円単位などで購入ができるので、資産運用の1つの選択肢となるでしょう。
NISA
NISAとは「少額投資非課税制度」のことで、通常だと投資によって得た利益にかかる約20%の税金が非課税となる制度です。現行のNISAは、主に「つみたて投資枠」と「成長投資枠」があり、購入できる金融商品に下記のような違いがあります。
新NISAの概要
つみたて投資枠 | 成長投資枠 | |
非課税期間 | 無期限 | |
年間の非課税投資枠 | 120万円 |
240万円 |
購入できる金融商品 |
長期・積立・分散に適した、金融庁が厳選した 投資信託 |
上場株式、ETF、REITなど |
購入方法 | 積立のみ | 一括、積立 |
※金融庁「NISAを知る」
iDeCo
iDeCoとは「個人型確定拠出年金」のことで、公的年金とは別に老後の資金を準備する私的年金制度のひとつです。自分で選んだ金融商品を毎月決まった金額で購入し、60歳以降になると年金として受け取ることができます。
iDeCoを利用すると、3つの恩恵を受けることができます。1つ目は、金融商品の購入にあてた費用の全額が所得控除の対象となり、所得税や住民税が軽減されることです。2つ目は、NISAと同様、運用によって得た利益が非課税となること。そして3つ目は、年金として受け取るときにも「公的年金等控除」や「退職所得控除」の対象となるため、節税効果を得られることです。
効率的に資産を増やす4つのポイント
最後に、資産運用を通して効率的に資産を増やすポイントを4つご紹介します。これから資産運用を始める際には、ぜひ参考にしてください。
許容できるリスクの範囲内で始める
効率的に資産を増やすには、許容できるリスク内で資産運用をすることが大切です。許容できるリスクを超えた資産運用をすると、大きな損失によって資産が減ってしまう可能性があります。
自分にとってのリスク許容度は、下記の要素から考えましょう。
リスク許容度を考える要素
要素 | リスク許容度 |
年齢(時間) | 資産運用中に損失が出たとしても、回復までの期間を長く持てる(年齢が若い)ほうが、リスク許容度は大きい。 |
家族構成 | 独身の方は、結婚して子供がいる方と比べて、教育費や住宅ローンなどの出費も少ない傾向があることから、リスク許容度は大きい。 |
資産 | 現在、資産規模が大きいほうが、損失をカバーしやすいことから、リスク許容度は大きい。 |
年収 | 年収が多いほうが損失をカバーしやすいことから、リスク許容度は大きい。 |
性格 | 資産が少しでも目減りすることに抵抗がある方は、リスク許容度は小さい。 |
リスクを分散させる
前述のとおり、資産運用では長期・積立・分散が鉄則です。資金を全額使って1つの金融商品に投資した場合、その商品の価格が下落すれば大きな損失が出てしまいます。
そのような事態を避け、効率的に資産を増やすためには、複数の金融商品に投資するなどしてリスクを分散させることが大切です。
長期的に取り組む
一般的に、資産を効率的に増やすには時間がかかります。分散投資すれば、1つの投資商品から得られる利益はそれほど大きくはならず、短期間で一定の成果が現れるケースは少ないからです。最初のうちは、損失が出る可能性もあります。
しかし、そうした短期的な結果に一喜一憂することなく、コツコツと長期的に取り組む姿勢が大切です。
手数料を抑える
金融商品は、売買の際や運用の過程などで手数料も発生します。例えば、投資信託の運用にかかる信託報酬は継続的に支払う必要があるため、長期で資産運用をすると大きなコストになります。長期で取り組むからこそ、できるだけ手数料の低い金融商品を選択することが大切です。
資産形成の疑問は「保険・金融のプロ」ライフプランナーに聞いてみよう
資産運用は、少額でも始めることが可能です。株式や投資信託など、おすすめできる金融商品の選択肢は幅広いですが、それぞれに特徴と注意点があるため、よく確認してから購入することをおすすめします。迷った場合は、「保険・金融のプロ」であるライフプランナーに相談するといいでしょう。
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ライフプランナーに
資産形成について相談する
監修者:金子 賢司(CFP®認定者)
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※当資料は、2024年8月現在の税制・税率に基づき作成しております。また、税制・税率は将来変更されることがあります。なお、個別の取扱いにつきましては、お客さまご自身にて所轄の税務署または税理士にご確認ください。