妊娠したら考えたいお金と保険|必要額と公的支援などを徹底解説

公開日:2024年2月29日

更新日:2024年9月9日

妊娠している妻と夫が座っている様子

初めての出産はなにかと不安が多いもの。とくにお金に関しては、いくらかかるのか、そして自分たちでいくら用意しなければならないのか気になりますよね。そこで、この記事では妊娠中に知っておきたいお金の知識として、妊娠・出産にかかるお金と、公的支援にあたる補助金など、もらえるお金についてまとめました。また合わせて、妊娠中に検討しておきたい、保険についても解説しています。ぜひ、ご夫婦でお金のことを話し合う際の参考にしてみてください。

※当記事は、ソニー生命から1級ファイナンシャル・プランニング技能士である山内 真由美氏へ執筆を依頼し、 執筆いただいたものを編集しています。

妊娠・出産にかかるお金

妊娠や出産は病気ではないため、原則、公的医療保険の適用外となります。そのため、費用は全額自己負担ですが、一部公費で負担してもらえるものもあります。具体的な内容と必要な金額を確認してみましょう。

妊婦健診費用

妊娠中に必要な検査は、標準的な出産で14回あります。お住まいの自治体に妊娠届を提出すると、母子健康手帳と一緒に「妊婦健康診査受診票」が交付されるため、標準的な検査は無料で受診できます。ただし、公費負担対象外の検査は、自己負担が発生します。

検査内容によって費用はさまざまですが、1回の検診につき3,000円から5,000円程度を想定しておくとよいでしょう。また、超音波(エコー)検査などの費用も発生します。自治体によって、公費負担の対象範囲や助成費の上限に違いがありますので、詳細は各自治体のWEBサイトなどでご確認ください。

参考:東京都保健局「妊娠がわかったら」

入院・出産(分娩)費用

入院および分娩費用は、正常分娩の場合で全国平均482,294円(令和4年度)となっています。産院のタイプによって平均金額に違いがあり、公的病院で約46.3万円、私的病院で約50.6万円、診療所(助産院を含む)約47.9万円です。

全国で一番高額な地域は東京都の約56.2万円、一番安価な地域は鳥取県の約35.9万円と、地域による差もあります。なお、帝王切開による出産は、公的医療保険の対象となります。ただし入院期間が正常分娩と比較して数日増えるため、正常分娩と同じくらいの費用となることが多いようです。

参考:厚生労働省「出産費用の見える化等について」
https://www.mhlw.go.jp/content/12401000/001143706.pdf

そのほかの費用

マタニティ用品や新生児用の下着や衣類、哺乳瓶など、退院後すぐに必要となるベビー用品を購入する費用が必要です。また、分娩方法のうち「無痛分娩」を選択した場合は、通常の費用に10万円から20万円程度の加算があります。

出産する病院によっては、マタニティヨガや立ち合い出産専用の個室代、特別な料理の提供など、さまざまなオプションを選ぶことが可能です。それぞれ別途費用が発生しますので、事前に夫婦でよく話し合ってから決めましょう。またベビー用品はおさがりやレンタル品を使うことで、費用を抑えることも可能です。

妊娠・出産でもらえるお金

出産後に、赤ちゃんを抱く母親

次に妊娠・出産でもらえるお金について解説します。もらい忘れや遅れがないよう、内容をしっかり事前にチェックしておきましょう。

出産育児一時金(家族出産育児一時金)

出産をしたら50万円(1児あたり)が、加入する健康保険または国民健康保険から支給されます。出産する本人が被保険者の場合は「出産育児一時金」、被扶養者の場合は「家族出産育児一時金」です。なお、「出産育児一時金の直接支払制度」を利用して、健康保険などから直接医療機関に支払ってもらうことも可能です。

その場合、窓口の支払いは一時金の50万円を超えた場合だけとなります。詳しくは加入している健康保険などの担当者やHPで確認しましょう。

参考:厚生労働省「出産育児一時金の支給額・支払方法について」
https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/kenkou_iryou/iryouhoken/shussan/index.html

国の出産・子育て応援交付金など

国からの予算を基に、お住まいの自治体において子育てクーポン券などを配布して、出産・子育ての経済的な支援をしています。さらに独自に子育て給付金などを配布しているところも。詳細は自治体のHPなどを確認しておきましょう。

クーポン券などは使えるお店や対象商品、そして利用できるサービスの内容が、自治体ごとに違います。また、有効期限が設定されている場合もあります。妊娠中など落ち着いた時期に、内容を調べてしっかり活用するのがおすすめです。

参考:こども家庭庁「妊婦・子育て家庭への伴走型相談支援と経済的支援の一体的実施(出産・子育て応援交付金)」(参照 令和6年8月1日)

妊娠・出産時の助成や免除

赤ちゃんと電卓の写真

次に、出産や育児で収入が減った場合の助成や免除についてご説明します。さらに帝王切開などで医療費がかさんだときに使える控除などもご紹介します。

出産手当金

出産手当金は勤務先の健康保険に加入している被保険者(本人)が、出産のため会社を休み、事業主から給与が受けられない場合に支給されます。対象の期間は出産日以前42日(双子以上の場合98日)、出産日後56日で、金額は1日単位で計算し、標準報酬日額の3分の2相当額となっています。

育児休業給付金

育児休業給付金は、雇用保険の被保険者が、原則1歳未満の子どもの育児のために休業する期間の手当です。母親だけでなく、父親も対象です。支給額は休業開始時の賃金日額の67%(育児休業開始から181日目以降は50%)となっています。給付条件などが細かく決められているため、事前に制度の内容を確認して、夫婦でどのように休業するか話し合っておきたいですね。

そのほかの助成や免除

つわりや切迫早産などで、一定の期間会社を休んだときは、健康保険などの「傷病手当金」の対象となる場合があります。また、通常の出産は公的医療の対象外ですが、妊娠高血圧の治療や帝王切開などの医療費がかかった場合、一定の条件を満たせば、健康保険などの「高額療養費制度」や、所得税を申告する際の「医療費控除」を適用できる可能性があります。

念のため、領収書などを保管しておきましょう。また産休および育休などの期間中は、健康保険や厚生年金保険の保険料の免除を受けることができます。会社を通じて、健康保険および日本年金機構に免除申請をしましょう。

参考:全国健康保険協会「出産に関する給付」
参考:厚生労働省「育児休業給付について」
https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/0000135090_00001.html

妊娠中に考えたい保険

出産後はなにかと忙しく、ゆっくりと検討する時間がとれなくなるかもしれません。妊娠がわかったら、いま加入中の保険をどうするか、または新たに保険に加入すべきかどうか、夫婦で考えてみることがおすすめです。

妊婦(出産)保険

妊婦の方専用の保険があります。産前産後の入院や手術が保障の対象です。妊娠・出産時、そして産後は体調を崩しがちな時期ですので、必要に応じて加入を検討しましょう。ただし、すでに医療保険に入っている場合は、重複する可能性がありますので、保障内容の確認が必要です。

学資保険

子どもの教育費を準備する目的で加入する「貯蓄性保険」です。子どもの高校や大学進学の時期に合わせて、学資金を受け取るように契約し、基本的には継続して毎月保険料を振り込みます。

「保険料払込免除特約」を付加すると、契約者に万が一のことがあった場合、以降の保険料は不要となります。一般的に、お子さまの年齢が低いほど、返戻率(総振込保険料に対する総受取額の割合)が高くなります。

保護者の死亡保険

子どもが生まれたら、住居費や家族の生活費を確保する必要性が高まります。貯蓄や遺族年金などで足りない分は、死亡保険で準備しておきましょう。子どもの成長や、持ち家か賃貸か、または実家に戻れることができるかなどにより、万が一のときに必要な金額が変わります。定期的に過不足が生じていないか見直すことが大切です。

まとめ

子どもが生まれる前は、あらためて夫婦でお金のことを話し合う絶好のタイミングです。とくに、妊娠前にフルタイムで働いていた場合は、出産および育児期間中に、一時的に収入が減ることも想定されます。また今後の子育てにもお金が必要です。妊娠・出産の費用と助成について調べるとともに、お金を計画的に貯める手段や家族の保障について、夫婦でしっかりと考えていきましょう。

※上記につきましては、2024年8月現在の情報にて記載しています。今後変更になる可能性もありますので、ご注意ください。

writer
FPオフィス ライフ&キャリアデザイン代表山内 真由美

山内 真由美

FPオフィス ライフ&キャリアデザイン代表。CFP®・1級ファイナンシャル・プランニング技能士・国家資格キャリアコンサルタント。大学卒業後、食品メーカーで10年、メガバンク資産運用部門で3年半勤務後、FPとして独立。保有している資格知識を活かし、子育て世帯を中心に家計管理・資産運用・教育資金などの相談に対応。そのほか、自治体や高校の教育費セミナー講師、記事執筆にもあたっている。

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