個人向け生命保険の保険料控除の種類と事例ごとの控除対象者、計算方法を解説

「生命保険料控除はどう行えばいいのか」「複数の生命保険に加入しているが、控除額は合計できるのか」などの悩みをお持ちの方もいるのではないでしょうか。

生命保険料の保険料控除には「一般生命保険」「個人年金保険」「介護医療保険」があり、各控除額を合計して控除申請することが可能です。ただし、それぞれ上限額がある点に留意しましょう。

本記事では、個人向け生命保険の保険料控除について事例や計算方法などを分かりやすく解説します。

公開日:2022年10月11日
更新日:2023年04月12日

個人向け生命保険の保険料控除の種類

個人向け生命保険の保険料を払い込んだ場合に受けることができる税制優遇措置は、具体的には、一般生命保険料控除、個人年金保険料控除、介護医療保険料控除です。

このような税制優遇により、生命保険料控除が適用されて、所得税や住民税の支払を軽減できることは1つのメリットといえます。

生命保険の税制優遇措置について、1つずつ見ていきましょう。

※最新の税制については、国税庁のサイトをご参照ください。

参照:国税庁

一般生命保険料控除

一般生命保険料控除とは、死亡保険や学資保険などの保険料を払い込んだ際に受けられる控除のことです。保険金等の受取人は、原則その保険料等の払込をする人またはその配偶者その他の親族とされています。

個人年金保険料控除

個人年金保険とは、老後資金などを目的として加入する保険です。控除対象となる保険は一定の条件を満たさなければなりません。

控除対象となる条件は以下のとおりです。

(イ)年金の受取人は契約者またはその配偶者であること

(ロ)保険料の払い込み期間が10年以上

(ハ)原則として、年金受取人が満60歳以上で10年以上の定期で受け取る、または終身の年金であること。

→「個人年金保険料控除」について詳しく見る

介護医療保険料控除

2012年1月1日以後に締結した以下に掲げる契約または他の保険契約に合わせて以後に締結を行った契約のうち、これらの契約に基づく保険金等の受取人の全てをその保険料等の払込を行う方、または、その配偶者等の親族とするものが、介護医療保険料控除の対象です。

  1. 1. 生命保険会社等と締結した疾病または身体の傷害等により保険金が支払われる保険契約の中で、医療費支払事由に基因して保険金等が支払われる保険契約
  2. 2. 疾病または身体の障害等によって保険金等が支払われる旧簡易生命保険契約または生命共済契約等のうちの一定のものの中で、医療費等支払事由によって保険金等が支払われるもの

※これらの契約であっても、保険期間が5年未満の契約は含まれません。外国生命保険会社等と国外において締結したもの等も該当しません。

保険・資産形成について詳しく知りたい方はこちら

生命保険料控除の対象者

生命保険料控除を受けられるのは、保険料を支払っている人です。一般的には契約者が保険料を支払うことが多く見られます。

しかし、契約者の配偶者が保険料を支払っている場合、支払をしている側が控除対象者となります。具体例を見ていきましょう。

ケース例 保険料控除の対象者
妻が契約者で、夫が生命保険料を支払っている場合
夫が契約者、妻が被保険者の場合で、妻名義の口座から保険料が引き落とされている場合
扶養範囲を超えて働いている妻が契約者で、その妻が自身で保険料を支払っている場合

例で挙げているとおり、原則として、保険料控除対象者は保険料を支払っている人となります。

生命保険料の控除額の計算方法

生命保険料控除には新制度と旧制度があります。

  • 新制度:2012年以降に締結
  • 旧制度:2011年以前に締結

新制度と旧制度、両方の保険に加入している場合、控除額を合算できます。ただし、所得税控除額は12万円、住民税控除額は7万円が限度です。

生命保険料控除の計算方法(新制度)

2012年以降に締結した新制度における生命保険料の控除額の計算方法を見ていきましょう。

新制度のみに加入している場合、一般生命保険料控除・介護医療保険料控除・個人年金保険料控除のそれぞれに所得税4万円、住民税2.8万円を上限に控除の枠が設けられています。

所得税の控除額

新制度においては、所得控除が「一般生命保険料」「個人年金保険料」「介護医療保険料」それぞれに適用され、合計で12万円が限度です。

年間の支払保険料等 控除される額
20,000円以下 支払保険料等の全額
20,000円超 ~ 40,000円以下 支払保険料等 × 1/2 + 10,000円
40,000円超 ~ 80,000円以下 支払保険料等 × 1/4 + 20,000円
80,000円超 一律 40,000円

住民税の控除額

新制度では、「一般生命保険料」「個人年金保険料」「介護医療保険料」のそれぞれの所得控除限度額は2.8万円ですが、合計で8.4万円とはならず、限度額は7万円です。

年間の支払保険料等 控除される額
12,000円以下 支払保険料等の全額
12,000円超 ~ 32,000円以下 支払保険料等 × 1/2 + 6,000円
32,000円超 ~ 56,000円以下 支払保険料等 × 1/4 + 14,000円
56,000円超 一律 28,000円

※支払保険料等とは、その年に支払った金額から、その年に受けた剰余金や割戻金を差し引いた残りの金額を言います。

生命保険料控除の計算方法(旧制度)

2011年12月31日以前に締結した生命保険契約(旧制度)の場合、一般生命保険料控除と個人年金保険料控除の2つが対象です。介護医療保険料控除はありません。

所得税の控除額

旧制度での所得税控除額は各5万円、合計で10万円が限度額です。

所得税(旧契約)
区分 年間の支払保険料等 控除される金額
・一般生命保険料
・個人年金保険料
(個人年金保険料税制適格特約)
25,000円以下 支払保険料等の全額
25,000円超
50,000円以下
(支払保険料等×1/2)
+12,500円
50,000円超
100,000円以下
(支払保険料等×1/4)
+25,000円
100,000円超 一律50,000円

住民税の控除額

旧制度での住民税控除額は各3.5万円、合計で7万円が限度額です。

住民税(旧契約)
区分 年間の支払保険料等 控除される金額
・一般生命保険料
・個人年金保険料
(個人年金保険料税制適格特約)
15,000円以下 支払保険料等の全額
15,000円超
40,000円以下
(支払保険料等×1/2)
+7,500円
40,000円超
70,000円以下
(支払保険料等×1/4)
+17,500円
70,000円超 一律35,000円

※支払保険料等とは、その年に支払った金額から、その年に受けた剰余金や割戻金を差し引いた残りの金額を言います。

個人向け生命保険の保険料控除をしっかり把握しておこう

個人向け生命保険に加入していると、保険料控除が受けられます。控除には「一般生命保険料控除」「個人年金保険料控除」「介護医療保険料控除」があります。

一般的には契約者が保険料を支払うため、契約者が控除を受けることになります。しかし、契約者の配偶者などが保険料を支払っている場合は、原則として、保険料を支払っている側が控除を受ける点に留意しましょう。

保険のご相談はソニー生命へ

ソニー生命では、金融全般に関して豊富な知識を持つプロのライフプランナーが、オーダーメイド設計でお客さまにふさわしい保障プランを提案いたします。

保険や資産運用について少しでもお悩みの方は、まずは無料相談にお申し込みください。オンライン・対面どちらでもご相談を承っております。

最短1分で入力完了!

無料で保険について相談する

当資料は、2023年3月現在の税制・税率に基づき作成しております。制度・税制は将来変更されることがありますので、ご注意ください。また個別の税務に関する取扱については、税理士または所轄の税務署にご確認ください。

SL22-7271-0403

無料で保険について相談する