老後に必要な資金の平均額は? 老後資金が不足しないための対応策をご紹介

「安定した老後を過ごすために、老後資金にいくら必要なのか」「老後資金が不足しないためにどのような準備をしておけばよいのだろう」という悩みを抱えている方は多いでしょう。

老後資金が不足すると、「住居の修繕ができない」「冠婚葬祭費の捻出に苦労する」などの困りごとが生じる可能性があります。

本記事では、安定した老後生活を送るための必要資金、実際の60代の平均貯蓄額、老後資金が不足しないための対応策などについて解説します。老後資金の準備について気になっている方は、参考にしてください。

公開日:2022年08月10日
更新日:2023年04月12日

安心して老後生活を送るために必要な資金の平均は?

老後のライフプランを考えるうえで、老後に必要な資金の算出は重要です。退職・引退後の生活に必要な金額は、自分や家族が将来どのような生活を送りたいかで大きく変わります。

多くの方にとって、老後生活の支えの基本は年金でしょう。老後資金の必要額は、実際に受け取れる年金額に対し、将来かかる生活費はいくらか、足りない場合はいくら必要か知ることで計算できます。

それでは、試算の目安として、老後の生活費や生活費以外にどのくらいの資金が必要かご紹介します。

  • 60代一人暮らしの場合
  • 60代夫婦の場合
  • 生活費以外にかかる費用

それぞれ詳しく見ていきましょう。

60代一人暮らしの場合

総務省統計局の「家計調査報告〔家計収支編〕2021年(令和3年)平均結果の概要」によると、65歳以上の単身無職世帯の家計支出の平均は、主に日常生活を営むに当たって必要な消費支出が13万2,476円、税金や社会保険料を合わせた非消費支出が1万2,271円、合計で月々14万4,747円でした。

生活費としてはおおよそ15万円が必要と考えられますが、実収入は13万5,345円となっており、1カ月あたり9,402円の赤字です。

年金受給額は個人差があり、支出額も世帯によって異なります。しかし「公的年金の収入のみで老後の生活を支えるのは難しい」という方も多いのではないでしょうか。

→「老後の一人暮らし」について詳しく見る

60代夫婦の場合

60代夫婦の場合、「家計調査報告〔家計収支編〕2021年(令和3年)平均結果の概要」のデータ上では65歳以上の夫婦のみの無職世帯の支出額の平均は、消費支出が22万4,436円、非消費支出が3万664円で、合計25万5,100円です。実収入は23万6,576円ありますが、家計収支としては月ごとに18,524円の赤字ですので、収支の見直しや貯蓄について考える必要があるのではないでしょうか。

2020年においては、全世界的に流行した感染症の影響によって消費支出が前年に比べて実質5.3%減少しています。しかし、2021年は0.7%の実質増加となっていることから、あくまでも目安として、月々25万〜27万円程度の生活費を見込んでおくべきでしょう。

生活費以外にかかる費用

年を取るにつれ、病気やケガをするリスクが高まります。一度入院すると、体力・免疫機能の衰えにより日数が長引く傾向があり、治療や入院にかかる金額も増えるでしょう。

病気やケガの後遺症として体に障害が残ったり、介護状態になったりすると、介護保険制度を利用する可能性も否定できません。利用できる介護サービスは、要介護・要支援状態によって異なります。

さらに、病気やケガの重度によっては、死亡のリスクもあります。生命保険文化センターの「生活基盤の安定を図る生活設計」によると、2022年の葬儀費用の総額は約111万円です。

内訳は、葬儀費用に約68万円、飲食費に約20万円、返礼品に約23万円となっています。残された遺族のためには、不測の事態への対応準備金が必要です。

参照:総務省統計局「家計調査報告〔家計収支編〕2021年(令和3年)平均結果の概要」
参照:公益財団法人生命保険文化センター「ひと目でわかる生活設計情報|生活基盤の安定を図る生活設計」

老後への資産形成について詳しく知りたい方はこちら

60代の平均貯蓄額・年金の平均支給額の現状は?

「老後2,000万円問題」という言葉を耳にしたことはないでしょうか。

金融庁が2019年に公表した金融審議会の「市場ワーキング・グループ報告書」によると、主な収入を年金とする高齢者夫婦世帯において、収支が月々約5万円の赤字であるというのです。

赤字の累計は20年で約1,300万円、30年で約2,000万円と試算されています。2,000万円の貯蓄が必要とされる現状で、60代は平均してどれくらい貯蓄しているのか、年金の支給額はいくらかをご紹介します。

参照:金融審議会「市場ワーキング・グループ報告書『高齢社会における資産形成・管理』」

60代の平均貯蓄額

2019年発表の厚生労働省「国民生活基礎調査の概況」において、1世帯あたりの平均貯蓄額を見ると、60〜69歳の平均貯蓄額は約1,462万円です。年齢階級別では最も高い金額ですが、貯蓄の増減状況を見ると、前年と比べて「貯蓄が減った」と答えた方は、60歳以上では4割を超えています。貯蓄の減額理由の約7割は「日常の生活費への支出」でした。

年金の平均支給額

厚生労働省が公表した「令和元年度 厚生年金保険・国民年金事業の概況」によると、2021年時点で年金受給権を持つ人の平均年金月額は、厚生年金(老齢基礎年金+老齢厚生年金)は14万6,000円、国民年金(老齢基礎年金)が月々6万3,000円です。

厚生年金は、国民年金の老齢基礎部分に加えて老齢厚生年金部分が支給されるため、比較的多い金額となっています。

参照:厚生労働省「2019年 国民生活基礎調査の概況」
参照:厚生労働省「令和2年度 厚生年金保険・国民年金事業の概況」

老後資金が不足するとどうなる?

実際に老後資金が不足すると、どのような困りごとが生じるのか気になる方もいるでしょう。ここでは、老後にお金が必要になる大きな要因を4つ解説します。

  • 冠婚葬祭などの費用が捻出できない
  • 住居の修繕やリフォームができない
  • 適切な医療が受けられない
  • 自身の介護費が払えない

それぞれ詳しく見ていきましょう。

冠婚葬祭などの費用が捻出できない

老後資金が足りないと、冠婚葬祭をはじめとしたイベント時の費用が払えなくなる可能性があります。

仮に、自身の葬儀代は保険で賄えるとしても、友人の葬儀代が支払えず葬儀に参加できないといった事態が生じる可能性もあるかもしれません。

子どもや孫がいる場合、子どもの結婚式、孫の誕生に関わる費用、お正月のお年玉、孫の進学祝い、子どもの住居購入援助など、子どもや孫のライフイベントに伴うさまざまな費用が必要となる場合があります。

住居の修繕やリフォームができない

20代、30代の頃にマイホームを購入した場合、老後に老朽化が進み、修繕が必要になる可能性が生じます。設備の寿命がきて、ユニットバスやキッチンなどの交換が必要になることもあるでしょう。

また、足腰が弱って階段に手すりを付けたい、車いすになったためバリアフリーにしたいなど、老化に伴い住宅へのリフォームが必要になることも少なくありません。

老後資金に余裕がないと、住んでいる家の修理や改築ができないことがあるため注意が必要です。

適切な医療が受けられない

厚生労働省の簡易生命表(令和3年)によると、日本人の平均寿命は、男性が約81歳、女性が約88歳です。

一方、健康寿命は男性が約72歳、女性が約75歳で、平均寿命に比べて10年程度短くなります。これは、老後に入院費や治療費などの医療費が増加することを示唆しているといえるでしょう。

後期高齢者医療保険や高額医療費制度などの公的保険により、ある程度医療費の出費を抑えることは可能です。しかし、若い頃と比べて病院にかかる頻度が増えるため、老後資金が不足すると、適切な医療が受けられない可能性が生じます。

参照:厚生労働省「簡易生命表簡易生命表(令和3年)1 主な年齢の平均余命」
参照:内閣府「2 健康・福祉|令和4年版高齢社会白書(全体版)」

自身の介護費が払えない

健康寿命が平均寿命より10年程度短いということは、介護費が必要となる可能性があるということです。

日本では介護保険制度があるため、介護費用を全額負担する必要はありません。しかし、介護保険制度では、介護度により支払限度額が設定されます。限度額で賄いきれない分は全額自費で支払わなければなりません。

そのため、老後資金が不足すると、必要な介護費が払えない可能性が生じます。

老後資金が不足しないための対応策

年金があるとはいえ、徐々に貯蓄がなくなり、老後資金が不足する場合があります。現在は人生100年時代といわれています。そのため、老後でもある程度のお金が必要になるでしょう。

体力的に働きにくい老後において、年金だけでは生活費や突然の出費を賄えない可能性があります。そこで、老後資金の不足に向けて、早めに取り組むべき3つの対応策を見ていきましょう。

  • 現役時代に老後資金を形成しておく
  • つみたてNISAやiDeCo(イデコ)を活用する
  • 終身保険や個人年金保険を利用する

それぞれ詳しく見ていきましょう。

現役時代に老後資金を形成しておく

体力的にも余裕があるうちに、老後資金を確保しておくと安心です。特に、40〜50代は一般的に収入が多い世代ですので、老後を迎える前に貯蓄しておくと余裕ができます。

20〜30代で老後に備えて貯蓄を始めるのは早いと感じる方もいるかもしれません。とはいえ、月々の貯蓄額が少なくても、早ければ早いほどある程度の老後資金を形成できます。また、老後でも働けるように、インターネット上で仕事ができるスキルを身につけておくと、体への負担が少ない状態でお金を稼ぐことが可能です。

つみたてNISAやiDeCo(イデコ)を活用する

つみたてNISAとは、年間40万円までの積立投資について、得た利益が非課税になる制度です。ある程度商品性を理解する必要はありますが、金融庁の厳しい基準を満たした商品のみに絞り込まれており、投資初心者でも始めやすいとされています。

→「つみたてNISAのメリット・デメリット」について詳しく見る

iDeCo(イデコ)は個人型確定拠出年金のことで、掛金を自分で運用することで、資産を形成する民間の年金制度です。金融商品の利益には所得税や住民税がかかりますが、つみたてNISAやiDeCoで得た利益は非課税となります。

なお、iDeCoは原則として60歳まで引き出せませんが、つみたてNISAは自由に引き出すことが可能です。

iDeCo(イデコ)のメリット・デメリット」について詳しく見る

終身保険や個人年金保険を利用する

終身保険とは、一般的に一定の死亡保障や高度障害保障が一生涯続く保険です。

終身保険に加入すると、解約しない限りは保障が一生涯続き、解約の際には解約返戻金が支払われるため、「貯蓄性を兼ね備えた保険」といえます。

多くの終身保険は、被保険者が死亡したり高度障害状態に陥ってしまったりした場合に受取人が保険金を受け取れます。

個人年金保険とは、一般的に加入時に決めた年齢まで保険料を払い込み、その後は年金として受け取れる保険です。これは公的年金とは別のものです。

個人年金保険は、公的年金では足りない老後の生活費を補うためや、定年退職を迎え、年金を受け取れるまでの資金として活用されています。

→「個人年金保険」について詳しく見る

老後資金の目安となる平均額を把握し備えておこう

本記事では、老後資金の平均額や不足分を補う対応策を紹介しました。老後は収入の低下により、年々貯蓄が減少しやすい傾向にあります。

年金だけでは不足分を補えない可能性もあるため、早い段階で対応策を取る必要があるでしょう。特に老後資金の確保を目的として保険に加入する場合は、自身に合ったプランを選択する必要があるため、専門家に相談するほうが安心です。

ご相談はソニー生命のライフプランナーへ

ソニー生命では、相談者のライフプランに合った保障プランを提案しています。万が一を想定したシミュレーションも行うため、不安要素をなくすことが可能です。

老後資金の確保はもちろん、保険の見直しを検討している方は、ぜひソニー生命のライフプランナーへご相談ください。

当資料は、2023年1月現在の情報に基づき作成しております。制度・税制は将来変更されることがありますので、ご注意ください。また個別の税務に関する取扱については、税理士または所轄の税務署にご確認ください。

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