※当記事は、ソニー生命から梅井ファイナンシャル・プランニング技能士へ執筆を依頼し、原稿をソニー生命にて編集したものです。
外貨建保険とは、払い込んだ保険料を保険会社が外貨で運用するものです。一般的な円建保険と保険としての基本的な仕組みは同じですが、日本よりも高金利の国の通貨を選択することで、比較的高い予定利率が適用されることが期待できます。
この記事では、外貨建保険に加入する際に気をつけるべきポイントや外貨建保険の上手な選び方を解説します。
外貨建保険に加入する際に気をつけるべきポイントは?
外貨建保険の加入の際に気をつけなければならない理由には、外貨建保険のリスクや仕組みの理解不足などから、思っていたほど保険金を受け取ることができない場合があるからです。
ここでは、外貨建保険への加入前に知っておくべきことを3つ紹介します。
為替変動により元本割れするリスクがある
外貨建保険では、月々の保険料の払い込みや保険金・解約返戻金の受け取りなどが基本的にドルをはじめとした外貨で行われますが、特約を付加することで円での払い込みや受け取りが可能となります。それにより通貨を交換する際に為替変動によって日本円換算での払込保険料の総額よりも、日本円ベースで受け取る保険金額などが下まわる元本割れリスクがある商品です。
例えば、保険料10,000ドルを1ドル=120円のときに払い込んだ場合、10,000ドル×120円=120万円を払い込んだことになります。解約返戻金が同じ10,000ドルと仮定し、1ドル=100円のときに受け取る場合、10,000ドル×100円=100万円となり、20万円分の元本割れが起きたこととなります。
元本割れの可能性を理解しないまま契約すると想定外のリスクを負う可能性があるため、加入前には仕組みを理解しておく必要があります。
外貨建保険には諸費用が発生する
商品によっても異なりますが、一般的には以下のような諸費用が発生します。
費用名称 | 内容 |
保険関係費 | 保険契約の締結や維持、保障などにかかる費用 |
通貨交換費用 | 円から外貨、外貨から円に交換するときにかかる費用 |
解約控除 | 契約日から一定期間内に解約した場合に控除される費用 |
これらの費用が発生することを、理解することも重要です。
外貨建保険に関する苦情や相談が増加していた
外貨建保険をめぐって、苦情や相談が増加傾向にあります。独立行政法人国民生活センターの発表によると、外貨建生命保険に関する相談の件数は2014年度が144件だったのに対し、2019年度は483件と3倍以上になりました。※1
このような事態を受けて生命保険協会は、顧客本位の業務運営の徹底を強化するため、2020年に業界共通の教育制度として「外貨建保険販売資格試験」を追加創設することを発表しました。※2
2022年4月からライセンス化され、販売要件として保険会社による外貨建保険販売資格者登録が必須となっています。この見直しによる効果の検証は今後も随時おこなわれると思われますが、顧客へのリスク等の十分な説明と、トラブルの減少が期待されます 。
そもそも外貨建保険とは
注意すべき点はありますが、仕組みやリスクを正しく理解したうえで目的に合わせて利用すれば、保障の準備や資産形成の一助となります。まずはそもそも外貨建保険とは何かを知っておきましょう。
外貨建保険は、一般的に保険料の払い込み、運用、保険金・解約返戻金などの受け取りが外貨でおこなわれる保険です。ただし、特約を付加することで、円での払い込みや受け取りも可能となります。
保険金や解約返戻金を受け取る際の為替相場によって、円での受取総額が円での払込総額を割り込む(元本割れ)リスクはあるものの、逆をいえばタイミングによっては為替差益が発生する可能性もある保険です。
外貨建保険にも、終身保険・養老保険・個人年金保険といったいくつかの商品があります。
種類や特徴についてもっと知りたい方は以下の記事も確認してみてください。
「外貨建(米ドル建)保険とは?特徴やメリット・デメリットなどを紹介」
外貨建保険の特徴・注意点とは
外貨建保険の特徴は、以下のとおりです。
- 日本よりも高金利の国の通貨を採用することで、一般的に円建の保険に比べて予定利率が高め
- 為替差益が発生することもある
外貨建保険の予定利率は、例えば米ドル建であれば、米国債金利等をもとに各社が算出するケースが多いので、円建保険よりも予定利率が高くなる傾向にあります。予定利率の高さと為替差益の可能性により、円建の同種類の保険と比較し、高い保険金等の受け取りを期待することが外貨建保険の大きな特徴の1つです。
一方、外貨建保険には以下のような注意点も存在します。
- 為替差損が発生することがある
- 金利変動リスクがある
- 為替手数料が発生する
為替差益が期待できるとは、相場の状況によっては為替差損が発生する可能性もあるということです。また、金利変動リスクにより利益が予想より伸びなかったり為替手数料が発生したりすることで、結果的に円換算した場合の保険金等の金額が、想定した金額よりも低くなるケースもあるため注意が必要です。
外貨建保険のメリットやデメリットなどもっと詳しく知りたい方は、以下の記事も参考にしてください。
「外貨建(米ドル建)保険とは?特徴やメリット・デメリットなどを紹介」
外貨建保険の上手な選び方
外貨建保険をうまく活用するためにも商品の内容や仕組みを理解し、自分自身の目的と合致するものを選択する必要があります。
ここからは、外貨建保険の上手な選び方をみていきましょう。
保障内容で選ぶ
外貨建保険を選ぶときは、保障内容を詳しく確認しましょう。
予定利率の高さや為替差益などに目がいきがちですが、円建の生命保険と同様に保険本来の目的である「保障」内容が、自身が求めている保障とマッチしているか明確にしたうえで商品を選びましょう。
例えば、自身に万一のことが起きた際の遺族の生活費が目的であれば、死亡保障を手厚くすることが必要となります。また、死亡保障以外にも必要性を感じているのであれば、例えば三大疾病や所定の障害になった際の保障を充実させ、治療費に充てられることも視野に入れるべきでしょう。
商品によっては、契約者の希望に合わせて特約を付加できるものもあります。保険会社が定める状態になった場合にその後の保険料払込が免除される特約などがあるため、契約前に確認しましょう。
保障を受けられる期間で選ぶ
外貨建保険も一般的な円建保険と同じように複数種類の保険が存在し、保障期間もさまざまです。保険の種類や保障期間を確認したうえで選ぶ必要があります。
例えば、終身保険は保障が一生涯続く商品であり、主な目的は死亡保障です。特定の相続人のみが多額の死亡保険金を受け取ると認められない可能性もありますが、基本的に死亡保険金は受取人固有の財産となるため、配偶者や子どもなど自分自身が定める相手に確実に渡したい人に向いています。自身の死後に家族へお金を渡したいと考えているのであれば、確実に死亡保障が受けられる終身保険を利用するのがいいでしょう。
養老保険も死亡や所定の高度障害状態になった場合に保険金が受け取れますが、終身保険と異なり保険期間が設定されています。満期まで生存していた場合は、満期保険金を受け取って契約が終了するため、死亡保障に限らず貯蓄目的でも用いることが可能です。老後を迎える60歳などに満期を設定することで老後資金として活用することも可能です。
為替相場から通貨を選ぶ
外貨建保険で取り扱っている通貨は、米ドルやユーロなどさまざまです。どの通貨にすればいいか迷ったら、為替相場を確認しましょう。
為替相場は世界情勢によって変動します。保険料払込時の為替相場を考えて通貨を選んでも、保険金などを受け取る際に自分にとって有利な相場になっているとは限りません。為替相場を完全に予測するのは難しいので、保障内容や期間なども考慮したうえで納得できる商品を選ぶ必要があります。
また、通貨ごとに為替手数料が異なるため、通貨選択の一つの指標にしてもいいでしょう。
外貨建保険がおすすめな人
外貨建保険は円よりも金利の高い通貨を選択することで、円建保険よりも高い予定利率の適用を期待する方におすすめです。為替リスクをよく理解したうえで契約するのであれば、資産の分散効果も期待できます。
また、海外への移住や留学などで将来的に外貨を使う予定がある方は、外貨で受け取ることも可能な外貨建保険が選択肢の一つになるかもしれません。
外貨建保険がおすすめできない人
為替リスクなどによって元本割れする可能性があるため、為替リスクを許容できない方には、外貨建保険はおすすめできません。
また、子どもの大学入学資金といった教育資金として満期保険金を活用したいが、そのタイミングで為替リスクなどを負いたくないという人にもあまりおすすめできません。
まとめ
為替リスクによる元本割れの可能性や円建保険とは異なる手数料といった理由から、外貨建保険は為替リスクがあり、注意が必要となります。しかし日本よりも高い金利の通貨を選択することで、円建の保険よりも高い予定利率が適用される可能性もあり、また保険本来の目的である保障の準備もできます。
外貨建保険を選ぶときは、リスクをしっかりと把握したうえで、商品の種類や保障期間、外貨の種類といった観点から商品を選びましょう。どのような外貨建保険が自分にあっているのか分からず商品を選べない場合は、ソニー生命のライフプランナーにご相談ください。
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執筆者:梅井 さやか(2級ファイナンシャル・プランニング技能士)
監修者:永谷 洋平(2級ファイナンシャル・プランニング技能士)
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外貨建保険契約に関する重要な事項について
外貨建保険をご検討の方へ ご契約者にご負担いただく諸費用のうち主なものは以下のとおりです。
※諸費用の合計額は上記を足し合わせた金額となります。保険契約にかかる費用 ご契約時の初期費用や、保険期間中、年金受取期間中の費用等、新契約の締結・成立・維持・管理に必要な経費です。 米ドルの取扱にかかる費用 お払い込み時やお受け取り時に発生する費用です。
※ご負担いただく諸費用やその料率は、商品によって異なりますので、詳しくは商品ごとのパンフレット、契約締結前交付書面、ご契約のしおり・約款等でご確認ください。外貨建保険商品には商品の種類によって次のようなリスクがあります。リスクの内容は商品によって異なりますので、詳しくは、商品ごとのパンフレット、契約締結前交付書面、ご契約のしおり・約款等でご確認ください。
この保険は為替レートの変動により、お受取になる円換算後の保険金額がご契約時における円換算後の保険金額を下回ることや、お受取になる円換算後の保険金額が、既払込保険料を下回ることがあり、損失を生ずるおそれがあります。