※当記事は、ソニー生命から永谷ファイナンシャル・プランニング技能士へ執筆を依頼し、原稿をソニー生命にて編集したものです。
終身保険は文字どおり生涯にわたって保障が受けられるもので、安心感を求める人には人気がある一方で、定期保険に比べると保険料が割高で見直しをしにくい側面があります。
この記事では終身保険の特徴や注意点を整理したうえで、おすすめな人・おすすめできない人の特徴も解説しますので、ぜひ参考にしてみてください。
終身保険の特徴
終身保険とは被保険者が死亡、または高度障害状態になると保険金が支払われる生命保険の一つです。解約しない限り、加入後の生涯にわたって保障が続く点が大きな特徴です。
終身保険(有期払込)の仕組み
終身保険は、死亡保険として自分自身の葬儀費用や遺族の生活費を保障するために加入するケースが多いです。また、保険金支払事由以外でも、途中で解約した際にも解約返戻金を受け取れます。保険料は加入時から変わらず、万一の保障を確保しながら、長期での貯蓄機能も併せもっています。
より詳しい特徴を見ていきましょう。
遺族に確実に保険金を残せる
終身保険は生涯にわたって保障が続くため、遺族に確実に保険金を残せる点が大きな特徴です。
被保険者が死亡した場合、葬儀や法要の手配、遺品の整理や相続手続などが多く発生し、心身ともに大きな負担を抱えることも少なくありません。万一の際に生活を立て直すために、終身保険に加入して死亡保険金を確保することも一つの方法です。
解約返戻金がある
終身保険には長期での貯蓄機能も備わっているため、加入期間中に保証が不要となった場合でも、途中解約で解約返戻金を受け取れます。
終身保険の活用方法は人によってさまざまですが、基本は死亡保険として加入し、想定外の事態が発生して緊急で資金が必要となった際には、保険を解約し、解約返戻金を活用することもできます。
税負担軽減、相続対策になる
終身保険の保険料は生命保険料控除の対象で、所得税や住民税の税負担軽減が見込まれます。
また、死亡保険金は、相続税の基礎控除とは別に「相続税における生命保険金等の非課税枠」の対象にもなり、相続対策として終身保険に加入するケースもあります。
相続税における生命保険金等の非課税枠は、500万円×法定相続人の数です。例えば子どもが3人いる場合、500万円×3人=1,500万円までなら受け取った死亡保険金に相続税はかかりません。※1
終身保険については、以下の記事でも解説しているので、ぜひ参考にしてみてください。
「終身保険とは?種類や加入がおすすめな人とは?わかりやすく解説!
終身保険に加入する場合の注意点
終身保険は万一の保障確保に貯蓄性を備えた金融商品として人気ですが、注意点があるのも事実です。詳しく解説します。
解約返戻金が払込保険料の総額を下回る可能性がある
終身保険は途中で解約しても解約返戻金を受け取れますが、加入期間や解約時期によっては、解約返戻金が払込保険料の総額を下回る、元本割れをすることもあります。
一般的に、終身保険は契約期間が長くなるほど解約返戻率が上がるので、長期的な加入が難しい人には、「いらない」と映るかもしれません。
定期保険と比べると保険料が割高になる
終身保険は、加入を継続していればいつかは必ず保険金を受け取ることができるので、定期保険に比べると保険料は割高になる傾向があります。
一方で、掛け捨て型と呼ばれる定期保険は保険期間が定められており、満期保険金はなく、解約返戻金もないか、あってもわずかであることが一般的です。定期保険は、親に万一のことがあった場合の子どもの教育資金への備えなど、必要な保障を必要な期間だけ対策したい人向けといえるでしょう。
ほかにも死亡保障をもつ保険でよく耳にするのが養老保険です。終身保険は生涯保障が続く一方で、養老保険は保険期間が定められており、契約期間が満了となると満期保険金を受け取れます。解約返戻金も受け取れますが、終身保険や定期保険に比べると保険料は割高になります。
保障を見直す機会が少ない
自分自身や家族のライフステージは、状況次第で大きく変化することが珍しくありません。就職、結婚、子育て、転職や退職などにともない、保険で備えるべき内容が変わることもあるでしょう。
この観点では、終身保険は保険期間が一生涯で長期間の加入を前提としているので、保険期間の満了や保障内容の更新がなく、ライフステージごとでの保障の見直しがしにくいです。
インフレに弱い
一般的な終身保険は死亡など万一の事態が発生すると、契約時に定めた保険金を受け取れます。途中で解約する際に受け取れる解約返戻金も同様で、契約時に受け取れる金額が決まっています。
契約時に保険金や解約返戻金が決まっていることから、インフレに対応できないです。
例えば、2023年に死亡保険金5,000万円の終身保険に加入した場合、将来、万が一のことが起こった際に受け取る金額も5,000万円です。見た目の数字は変わりませんが、保険金や解約返戻金の受け取り時に契約時よりもインフレが進むと、実質的な価値は目減りしてしまう可能性があります。
インフレを測る重要な指標として総務省が発表している「消費者物価指数」がありますが実際に2022年以降は上昇傾向にあります。※2
終身保険への加入をおすすめできない人とは
終身保険の特徴や注意点を踏まえて、加入をおすすめできない人の特徴を紹介します。
貯金が十分にある
貯金が十分にある場合は、終身保険に加入する必要性が薄い可能性があります。終身保険は、死亡などの万一の事態に備えるための金融商品であり、そもそも万が一の事態に対応できる預貯金やその他の資産があれば保険は不要です。
例えば、万が一の際に家族が安心して生活するために必要なお金が5,000万円の場合、すでに5,000万円以上の資産があるならわざわざ加入する必要性は薄いでしょう。
ただし、相続対策として終身保険に加入する場合はおすすめできる要素もあります。例えば、税負担軽減であったり、特定の人に確実に保険金を届けたいという場合は、加入をおすすめできます。
長期間の払込が難しい
終身保険は、生涯にわたって保障が継続する商品であるため、長期間の加入を前提としています。
収入や預貯金などの資産が少なく、保険料の払込で毎月の家計状態が悪化し、途中で解約する可能性が高い場合は、無理に終身保険へ加入する必要性は薄いでしょう。
終身保険の加入がおすすめな人とは
一方で、どのような場合に終身保険への加入が必要なのでしょうか。ここでは終身保険への加入がおすすめな人の特徴を紹介します。
掛け捨てタイプの保険に抵抗感を感じる
終身保険は、一生涯の保障に長期的な貯蓄機能を併せもつ商品なので、万が一保障が不要となり解約した際にも解約返戻金を受け取れます。この解約返戻金を自分や家族の老後資金や子どもの教育費に充てることもできるので、掛け捨てタイプの商品に抵抗感を感じる人には終身保険が向いているといえるでしょう。
ただし、上述のように、解約のタイミングによっては、解約返戻金が払込保険料の総額を下回る可能性があるので注意が必要です。
自身の葬儀や遺族のお金が心配
終身保険は生涯にわたって保障が続くため、死亡や高度障害状態になった際には保険金が受取人に支払われます。
被保険者が亡くなると、残された家族の経済的な負担が重くなるケースもあります。特に、子どもが幼く多額の教育費が必要になる場合、生活の立て直しも容易ではありません。
終身保険に加入すると、自分の葬儀代だけでなく遺族の生活費の一部を賄えるため、遺族の経済的な負担を軽減できるでしょう。
大切な家族を守るためにも、保障が得られる終身保険は重要な役割を果たしてくれます。
まとめ
今回は終身保険の特徴・注意点やおすすめな人・おすすめできない人について解説しました。あくまで自分自身や家族にとって必要かどうか、万一の際に預貯金などの資産でカバーできるのかなどを総合的に考える必要があります。
今回解説した内容と自分自身の状況を照らし合わせ、終身保険の加入がおすすめな人の特徴に当てはまる場合は、加入を検討してみてください。
終身保険が自分に合っているか知りたい、終身保険についてもっと詳しく知りたい場合は、ソニー生命のライフプランナーにご相談ください。
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執筆者:永谷 洋平(2級ファイナンシャル・プランニング技能士)
監修者:柴田 充輝(1級ファイナンシャル・プランニング技能士)
上記は、2024年1月現在の税制・税率に基づき作成しております。 また、税制・税率は将来変更されることがあります。 なお、個別の取扱につきましては、お客さまご自身にて所轄の税務署または税理士にご確認ください。