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終活ノート(エンディングノート)とは?作り方・書き方のポイントを解説!

dotL編集担当者B

終活ノートとは、残りの人生で成し遂げたいことや理想の過ごし方、希望する医療などを書き留めるノートのことをいいます。書き出すことで自分の気持ちを整理できたり、判断能力を失ったときに家族が参考にすることができるなど、いくつかの特徴があります。詳しく見ていきましょう。

更新日
2025年1年23日(木)
掲載日
2024年8年9日(金)

12分

※当記事は、ソニー生命から柴田ファイナンシャル・プランニング技能士へ執筆を依頼し、原稿をソニー生命にて編集したものです。

人生の最期を迎えるにあたって、終活ノート(エンディングノート)の作成を検討している方もいるのではないでしょうか。終活ノートは、自分の意思を家族に伝えつつ、実際に相続が発生したときにトラブルを防ぐうえで重要な役割を果たしています。
しかし、実際に終活ノートを書こうと思っても、書き方や書くべき内容についてわからないことも多いでしょう。

この記事では、終活ノートが果たす役割や具体的な書き方について解説します。

終活ノート(エンディングノート)とは?

終活ノートとは、残りの人生で成し遂げたいことや理想の過ごし方、希望する医療などを書き留めるノートです。また、現在の財産状況や人生観などを記載することもあります。

終活ノートに法定様式はないため、誰でも気軽に作成できます。市販のノートで作成できるのはもちろん、自治体によってはフォーマットを用意しているため、自分が書きやすい方法で作成しましょう。

終活ノートと遺言書の違いは?

終活ノートと混同されがちなのが、遺言書です。終活ノートと遺言書の違いについてまとめると、以下の表のようになります。

  エンディングノート 遺言書
法的効力 なし あり
法定形式 なし あり
記載できる内容 自由 財産の相続方法
作成費用 数百円 数百円〜数万円
内容の確認 いつでも確認できる  原則として本人の死後に確認できる

エンディングノートは、遺言書よりも気軽に作成できる点が特徴です。

遺言書には次の3種類があります。(※1

  • 自筆証書遺言

  • 公正証書遺言

  • 秘密証書遺言

これらはいずれも法定要件があり、要件を満たしていない場合は無効となります。一方で終活ノートはそもそも法的効力がないため、自由に作成できます。(※2)
記載できる内容に関しても、相続方法のみならず医療や介護の希望や葬式の方法、家族や親しい人へのメッセージなどを記載することが可能です。

※1 参照:日本公証人連合会「遺言」
※2 参照:内閣官房情報通信技術(IT)総合戦略室「エンディングノートのデータ標準α版の提供について」p7

終活ノートの選び方!

終活ノートの書き方は自由で、ノートの選び方は主に以下の3つです。

  • 市販のノートに自筆する
  • WordやGoogleドキュメントで作成する
  • 無料でダウンロードできるフォーマットを使う

多くの店舗で販売されている市販のノートに自筆する方法があります。自由に書きたい場合は、市販のノートのほうが好都合といえるでしょう。
ただし、項目がないため何から書けばよいのか迷ってしまうケースが考えられます。書くべき内容が曖昧な場合は、市販のノートでは向かない可能性があるため注意しましょう。

自筆するのが面倒な場合は、WordやGoogleドキュメントで作成しても問題ありません。書き方は、市販のノートと同様に自由です。
インターネット上には、自治体をはじめ無料でダウンロードできる終活ノートのフォーマットがあります。また、法務省や日本司法書士会連合会が作成したフォーマットがあるため、何を書けばよいのかわからない場合はフォーマットを有効活用しましょう。(※3)

※3 参照:法務省・日本司法書士会連合会「エンディングノート」

終活ノートに書くべき項目を紹介!

終活ノートに書くべき内容は決まっていませんが、最低限書いておいたほうがよいのは以下の項目です。

  1. 個人情報
  2. 資産・財産について
  3. 家族や友人へのメッセージ
  4. ペットについて
  5. 葬儀・お墓について
  6. 医療・介護の要望
  7. 保険情報

①個人情報

個人情報とは、主に以下の情報です。

  • 氏名
  • 生年月日
  • 現住所
  • 本籍地
  • 血液型
  • 身分証明書の保管場所

ほかにも、自分の趣味や交友関係を書くケースもあります。要介護状態になり判断能力が衰えたあとでも、介護者が終活ノートを参考にして趣味を把握することもあるため、詳細に書くとよいでしょう。

②資産・財産について

預貯金や有価証券、自分名義の不動産などの相続財産を記載します。相続が発生したあとに相続人が困らないようにする目的もありますが、判断能力を有している内に資産を把握する意味でも有意義です。

生命保険に加入している場合は、契約している生命保険会社や保険金受取人なども記載するとよいでしょう。

③家族や友人へのメッセージ

家族や友人に対して感謝を伝えるメッセージを書きます。口頭でも言いづらいような謝意も、ノートであれば表明しやすいことは往々にしてあります。

感謝の気持ちだけでなく、思い出や自分の死後に残しておきたいメッセージを書いても問題ありません。判断能力を喪失すると、直接感謝の気持ちを伝える機会が失われてしまうため、心を込めて書くとよいでしょう。

④ペットについて

ペットを飼育している方であれば、ペットの名前や年齢などの情報を記載しましょう。

性格や好きなペットフード、自分の死後にペットを引き取ってほしい人や団体を記載するケースもあります。

⑤葬儀・お墓について

亡くなったあとにどのような葬儀、お墓の建立を希望するか記載します。葬儀に関しては宗教や菩提寺の有無などが関係するため、葬儀に関連する方法を細かく書きましょう。

また、自分が亡くなったことを知らせてほしい人をリストアップし、連絡先を書けば遺族がスムーズに手続を進められます。
ほかにも、お墓の場所や希望するお墓の種類、納骨方法があれば記載しましょう。

⑥医療・介護の要望

長期入院を強いられたときや要介護状態になったときに備えて、医療・介護に関する要望を記載します。

アレルギーや持病の有無、常用薬などの情報があれば医療関係者としては助かります。また、危篤状態になったときに延命治療を希望するかどうかも記載しておくとよいでしょう。
判断能力を喪失してしまったときに備えるため、希望する介護方針や介護施設について書くことも有意義です。

⑦保険情報

自分が亡くなったら、遺族は年金の支給停止や健康保険証の返納などを行う必要があります。保険証や年金手帳の保管場所、基礎年金番号をはじめとした基本情報を書いておきましょう。

公的保険だけでなく、加入している民間保険があれば保険会社名や保険証券の場所、証券番号などを書くことをおすすめします。

終活ノートを作成することの利点

終活ノートを作成すると、自分の考えをまとめられるだけでなく家族の事務的負担を軽減できる利点があります。

以下で、具体的な利点について解説するので参考にしてみてください。

現状を把握できる

終活ノートを作成することで、現在の資産状況だけでなく現段階における自分の考えを把握できます。

特に、遺言書とあわせて終活ノートを残しておけば、相続で家族がもめるリスクを軽減できます。法的な効力を持つ遺言書を作成したうえで、自分の気持ちを表明する終活ノートがあれば、スムーズに相続が進む可能性が高まるでしょう。

また、死後の手続に必要となる情報を集約した資料を残すことで、遺族の事務的負担を軽減できます。遺族は官公署でさまざまな手続を行う必要があるので、「何がどこにあるのか」「どの手続が必要なのか」を把握するうえで、終活ノートは役立つでしょう。

不安要素を解消できる

終活ノートを書くことは、最期を意識していることに他なりません。最期を意識するにあたって「危篤状態になったらどうしよう」「判断能力を喪失したらどうしよう」「家族がもめたらどうしよう」など、さまざまな不安を感じるものです。

終活ノートを書くことで、希望している医療や介護サービスを整理できます。また、財産状況を確認して家族間でもめないような分割方法を考えられるでしょう。

このように、今後の人生における不安要素を解消できる点は、終活ノートを作成する利点です。

自身の意志を伝えられる

終活ノートの書き方は完全に自由なので、自分の意志を家族や親しい人に伝えられます。長年連れ添った配偶者や子どもに対するメッセージ、これまでの感謝を伝えることで、残りの人生を豊かに送れるでしょう。

これまでに口頭で感謝の気持ちを伝える機会がなかった方ほど、終活ノートで自分の意志を記す意義は大きいといえます。

終活ノートを作成しなかった場合想定されること

終活ノートを作成しないことで、どのようなことが起こる可能性があるのでしょうか。

以下で、具体的に想定されることを確認します。

身内の負担になる可能性がある

終活ノートがないと、自分の死後に家族が困ってしまう恐れがあります。公的書類の保管場所や財産の内訳を把握できていない状態で、関係各所での手続や遺産分割を行わなければならないためです。

家族にすべての判断を任せる形になるため、終活ノートがなければ家族の負担が大きくなりやすい点に留意すべきです。

特に、葬儀や埋葬方法に関する意思表明がなければ、自分が希望している方法以外で行われる恐れがある点に注意しましょう。

医療や介護の本人の意志が不明

終活ノートがなければ、家族は医療や介護に関する本人の意志を把握できません。終末期医療や介護に関して、自分が生前に考えていた内容とは異なる内容で行われる恐れがあります。

その結果、家族の経済的負担や事務的な負担が重くなってしまう恐れがあるため、注意しましょう。

保有資産の把握が困難

終活ノートがなければ、保有資産の把握が困難になります。死後に家族は遺産分割を行う必要がありますが、保有資産が把握できなければ遺産分割の方法も決まりません。

遺産分割が終了したあとに新たに遺産があることが判明すると、遺産分割は最初からやり直しになります。家族の負担が増えてしまい、いつまでも遺産分割が進まない事態に陥るリスクがあるため、注意しましょう。

終活ノートを書くコツを紹介!

初めて終活ノートを書く場合、具体的な書き方がわからずに困ってしまうこともあるでしょう。

以下で、終活ノートを書く際のコツを解説します。

①きれいに書こうとしない

終活ノートは、きれいに書こうとしなくても大丈夫です。メモ程度に書き始めて、考えがまとまったら改めて整理しても問題ありません。

また、書いたあとに心情の変化が起きたら書き換えることも可能です。何度も書き直すことで気持ちが整理され、自分の希望により近い終活ノートを作成できるでしょう。

②書きやすい項目から書く

終活ノートには、書く順番がありません。書きやすい項目から書けば問題なく、気持ちが整理できていない項目に関しては後回しにしましょう。

また、終活ノートはすべての項目を埋めようとしなくても問題ありません

③身内と相談しながら書く

終活ノートを書く際には、身内と相談しながら書くこともおすすめです。身内と相談しながら書くことで、自分が見落としていた内容に気づける可能性があります。

また、終活ノートを書き終えたら家族に保管場所を伝えます。せっかく書いても死後に見つけてもらえなければ意味がないため、保管場所を家族全員に伝えておきましょう。

まとめ

人生の終盤期を充実した時間にするだけでなく、家族への気持ちを表明するうえで終活ノートが果たす役割は大きいといえます。

終活ノートに法的効力はありませんが、何度も自由に書き直せます。書き直す過程を通じて自分の気持ちを整理できるため、こちらの記事を参考にしながら終活ノートを作成してみてください。

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執筆者:柴田 充輝(1級ファイナンシャル・プランニング技能士)
監修者:山口 貴弘(2級ファイナンシャル・プランニング技能士)

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