「iDeCoって老後資金を形成するだけでなく、税制上で利点があるって本当?」「iDeCoの税制上の利点って何?」
今回は、iDeCoにはどのような税制上の利点があるのかを知りたい方の疑問を解決します。
老後資金に対する不安などから、「私的年金」であるiDeCoが注目を集めています。iDeCoは掛金も運用商品も自分で決められるため、運用結果は自分次第(定期預金も選択可能)です。また、iDeCoの掛金は全額所得控除の対象となり、税制上の利点があります。
本記事を通じて、iDeCoの税制上の利点を理解し、老後資金の形成にiDeCoを組み込むことを検討してみてください。
iDeCo(イデコ)で受けられる税制上の利点
iDeCoで受けられる税制上の利点は以下の3点です。
- 掛金が全額所得控除となる
- 運用益が非課税となる
- 受取時に税制優遇が受けられる
掛金が全額所得控除となる
1つ目の利点は、掛金が全額所得控除の対象となり、所得税(当年分)と住民税(翌年分)が軽減される点です。具体的には、職業により下記の仕組みで減税されます。
- 自営業者:確定申告
- 会社員:年末調整
具体的に1年間でどの程度所得税と住民税が軽減されるか確認します。
ケース1:年収400万円、月々の掛金5,000円の場合
1年間で5,000×12=6万円の拠出【所得控除】になります。
所得税は5%、所得税軽減額は6万円×0.05=3,000円
住民税は10%、住民税軽減額は6万円×0.1=6,000円
iDeCoによる税制優遇額は合計3,000円+6,000円で9,000円になります。
ケース2:年収500万円、月々の掛金1万円の場合
1年間で1万円×12=12万円の拠出【所得控除】になります。
所得税は10%、所得税軽減額は12万円×0.1=12,000円
住民税は10%、住民税軽減額は12万円×0.1=12,000円
iDeCoによる税制優遇額は合計12,000円+12,000円=24,000円になります。
運用益が非課税となる
2つ目の利点は、運用益が非課税となる点です。金融商品を運用すると、源泉分離課税の場合、運用益に対して20.315%課税されますが、iDeCoであれば非課税で再投資されます。
iDeCoは老後に向けた資産形成が主目的であるため、長期運用となることが多く、運用益非課税による効果が大きくなります。
受取時に税制優遇が受けられる
3つ目の利点は、受取時に税制優遇が受けられる点です。受取時は一時金として受け取るか、年金として受け取るかを選択できます。一時金として受け取る場合は退職所得控除、年金として受け取る場合は公的年金等控除の税制優遇があります。
例えば、下記のような3つの受取りパターンがあります。
- パターン1:60歳時点で退職金の代わりに一括で受け取る場合
→一時金で一括受取りするため、退職所得控除の対象 - パターン2:60歳で退職。65歳の公的年金支給開始まで、iDeCoで年金受取りして、無収入の期間の生活資金とする場合
→年金での受取りとなるため、公的年金等控除の対象 - パターン3:60歳時点で一部を退職金としてまとまった金額を受取り、残りは年金として分割で受け取る
→退職金プラス年金での受取りとなるため、退職所得控除と公的年金等控除の両方の対象
iDeCo(イデコ)により軽減される税額をシミュレーション
iDeCoにより軽減される税額をシミュレーションしてみましょう。下記の3つの視点から確認します。
- 課税所得ごとの場合
- 給与所得者と自営業者の場合(年間の掛金上限額とあわせて確認)
- 専業主婦(主夫)の場合
(配偶者の扶養に入っており、直接所得税・住民税を支払っていないケース)
課税所得ごとの場合
課税所得ごとの所得税・住民税の負担軽減額を確認しましょう。所得税は累進課税で、一方で住民税は一律10%となります。詳細な説明は、下記の表のとおりです。
課税所得金額 | 税率 | 所得税・住民税の負担軽減額 | |||
所得税 | 住民税 | 月額掛金 5,000円 (年間6万円) |
月額掛金 1万円 (年間12万円) |
月額掛金 2万円円 (年間24万円) |
|
195万円以下 | 5% | 一律 10% | 9,000円 | 18,000円 | 36,000円 |
195万円超~ 330万円以下 |
10% | 12,000円 | 24,000円 | 48,000円 | |
330万円超~ 695万円以下 |
20% | 18,000円 | 36,000円 | 72,000円 | |
695万円超~ 900万円以下 |
23% | 19,800円 | 39,600円 | 79,200円 | |
900万円超~ 1800万円以下 |
33% | 25,800円 | 51,600円 | 103,200円 | |
1800万円超~ 4000万円以下 |
40% | 30,000円 | 60,000円 | 120,000円 | |
4000万円超 | 45% | 33,000円 | 66,000円 | 132,000円 |
給与所得者と自営業者の場合
給与所得者と自営業者で、税制上の利点は異なるのでしょうか?
答えは、職業というよりも掛金の大きさによります。課税所得が同じであれば、年間の掛金が大きいほど、税制上の利点も大きいです。
つまり年間の掛金上限額は、給与所得者よりも自営業者の方が大きいので、自営業者の方は税制上の利点が大きいといえます。退職金のない自営業者にiDeCoの積極利用を推奨するのも、このためです。
職業ごとのiDeCoの月々の上限額は下記の表のとおりです。
職業 | 上限額 |
自営業者 | 月68,000円(年間816,000円) |
専業主婦(専業主夫) | 月23,000円(年間276,000円) |
会社員(勤務先に企業年金(DB/DC)がない) | 月23,000円(年間276,000円) |
会社員(勤務先に企業年金があるがDCのみ加入) | 月20,000円(年間240,000円) |
会社員(勤務先に企業年金がDB/DC両方加入、もしくはDBのみ加入) | 月12,000円(年間144,000円) |
公務員 | 月12,000円(年間144,000円) |
専業主婦(主夫)の場合
所得税・住民税を払っていない専業主婦(主夫)の方は、所得控除の恩恵は受けられません。ただし、運用益は非課税になりますし、退職金がないので、iDeCo受取時に退職所得控除が全額利用できる可能性が高いのが利点です。
また、iDeCoを活用すれば、専業主婦の方も、自分名義の退職金(老後資金)を準備できます。つまり、iDeCoは専業主婦の方にとって有効な老後のための資産形成手段といえます。
専業主婦の方に関して、iDeCoの税制上の優遇をまとめると下記の表のとおりとなります。
項目 | 対象適否 |
掛金が全額所得控除となる | ×(対象外) |
運用益が非課税となる | 〇(対象) |
受取時に税制優遇が受けられる | 〇(対象) |
税制上の利点を意識している方へのiDeCo(イデコ)の注意点
iDeCoの受取り方によっては、税制上の利点が薄くなってしまう場合があるので、注意が必要です。
具体的には、主婦で配偶者の扶養に入っている方は、毎年の所得控除の恩恵を受けられません。一方で、会社員や公務員の方のなかで退職金を多く受給される方は、満額の1,500万円(勤続30年のケース)の退職所得控除をすでに使用している方もいます。そういった方は、iDeCoとしては退職所得控除を利用できないので、注意が必要です。
また、運用結果によっては、マイナスの額の方が税制上の利点以上に大きくなる可能性もありえるので、注意が必要です。iDeCoはあくまで老後の退職金・年金を目的とした運用商品であり、税制上の利点を得ることを目的とした商品ではありません。この点は充分に理解しておく必要があります。
なお、運用商品によっては元本割れのリスクがあり、加入時や個々の手続きに手数料がかかりますのでその点もご注意ください。
iDeCo(イデコ)を活用して老後資金を形成しよう
本記事を通じて、iDeCoの税制上の利点を説明しました。あらためてまとめると、下記になります。
- 掛金が全額所得控除となる
- 運用益が非課税となる
- 受取時に税制優遇が受けられる
老後の備えとして運用商品を検討している人は、まずは税制上の利点が大きいiDeCoに取り組んでみてはいかがでしょうか。
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当資料は、2024年5月現在の税制・税率に基づき作成しております。また、税制・税率は将来変更されることがあります。なお、個別の取扱につきましては、お客さまご自身にて所轄の税務署または税理士にご確認ください。