NISAとiDeCoの違いとは?積立投資をする際の制度の選び方も解説
dotL編集担当者B
NISAとiDeCoの違いは、資産形成の目的にあります。NISAは家計のなかでの安定的な資産形成が主な目的です。iDeCoは主に老後資金を準備するのが目的です。それぞれに特徴や注意点があるので、この記事で理解を深めて、自分の目的に合った資産形成を始めてみてはいかがでしょうか?
- 掲載日
- 2024年9年17日(火)
11分
※当記事は、当社から金子CFP®認定者へ執筆を依頼し、原稿を当社で編集したものです。
2024年1月より、新しいNISAが始まりました。新しいNISAは2023年以前のNISAから制度の内容が大幅にブラッシュアップされ、長期で資産形成を考える方にとっては多くの利点があります。
NISAは投資で得られた利益が非課税になる制度ですが、同じように非課税で資産形成ができる制度がiDeCoです。
長期で資産形成を考える方にとっては、NISAとiDeCoにはそれぞれどのような違いがあり、どちらを選ぶべきか気になるのではないでしょうか。
そこで、本記事ではNISAとiDeCoの違いやそれぞれの特徴・注意点のほか、目的に応じた制度の選び方などについて解説します。
NISAとiDeCoの違いは資産形成の目的
NISAとiDeCoの違いは、資産形成の目的にあります。NISAとは「少額投資非課税制度」のことで、家計のなかでの安定的な資産形成が主な目的です。iDeCoは「個人型確定拠出年金」のことで、主に老後資金を準備するのが目的です。
2023年以前のNISAは、「一般NISA」「つみたてNISA」「ジュニアNISA」の3種類がありましたが、それぞれ非課税期間や投資枠が異なっており、併用はできませんでした。
新しいNISAでは、従来の一般NISAと同じ機能を持つ「成長投資枠」と、つみたてNISAと同じ機能の「つみたて投資枠」が併用できるようになりました。さらに、金融商品の保有期間の無期限化や投資枠の拡大といった変更点があります。なお、ジュニアNISAは2023年いっぱいで制度そのものが廃止となりました。
iDeCoは、公的年金に上乗せし、年金を自分で用意できる制度です。2022年10月に、それまで加入できなかった「企業型DC(企業型確定拠出年金)」の加入者も利用できるようになるなどの変更がおこなわれています。
NISAとiDeCoの特徴
NISAとiDeCoは、目的だけでなく制度の利用方法も異なります。NISAはいつでも資産の引出ができますが、iDeCoは原則60歳までできません。
また、NISAは資金を拠出するときには税制優遇がありませんが、iDeCoは掛金がすべて所得控除の対象になり、老齢給付金として受け取る際も「公的年金等控除」や「退職所得控除」の対象になります。
このようにNISAとiDeCoにはさまざまな違いがありますが、金融商品の運用によって得た利益が非課税となる点は同じです。
■NISAとiDeCoの特徴
NISA | iDeCo | |
目的 |
安定的な資産形成 |
老後資金の準備 |
資産の引出 | いつでも可能 | 60歳まで原則不可 |
税制優遇 | ・運用益が非課税 | ・運用益が非課税 ・掛金が所得控除の対象 ・老齢給付金が「公的年金等控除」「退職所得控除」の対象 |
NISAの特徴
NISAにはさまざまな特徴があります。主な特徴は下記のとおりです。
少額から積立投資を始められる
NISAは、つみたて投資枠を活用すると毎月数千円からでも積立投資を開始できます。
積立投資とは、金融商品を一括購入せず、毎月一定額ずつ複数回に分けて購入するというもの。少額から始められるためまとまった資金を用意する必要がなく、購入するタイミングを分けることで、価格変動のリスクを軽減できます。
運用できる金融商品が絞り込まれている
NISAのつみたて投資枠では、運用できる金融商品が絞り込まれています。つみたて投資枠で運用できるのは、金融庁が定めた一定の要件を満たした投資信託のみです。すでに金融商品が絞り込まれているため、投資初心者であっても資産形成をおこないやすいといえるでしょう。
いつでも現金化できる
NISAで運用する金融商品は、途中で売却して現金化することもできます。また、つみたて投資枠で購入した金融商品の売却に回数制限はなく、何回でも引出可能です。
いつでも現金化できることは、資産形成の柔軟性向上につながる、NISAの大きな特徴です。
NISAの注意点
NISAには、特徴だけでなく注意点もあります。主な注意点は下記のとおりです。
元本割れのリスクがある
元本割れのリスクがあることは、iDeCoを含むほかの資産形成の手段と同じく、NISAの注意点です。
基本的に、金融商品は価格が変動します。購入時より価格が上がれば資産が増えることになりますが、価格が下がれば資産が減ることを意味します。NISAにおいても、資産形成をおこなう際は価格変動があるのを前提として取り組むことが大切です。
損益通算ができない
損益通算ができないことも、NISAの注意点です。損益通算とは、同一年分の利益と損失を相殺することを指します。NISA以外の一般口座や特定口座などでは、損益通算をおこなうことで利益と損失を相殺し、税金の負担を軽減することが可能です。
しかし、NISAで得た利益は非課税であるため、一般口座や特定口座などで保有している投資信託などの損失との損益通算ができません。
つみたて投資枠では短期間で大きな利益を得られない
NISAのつみたて投資枠を活用する場合、短期間で大きな利益を得ることは困難です。短期間で大きな利益を得たいなら、まとまった資金による一括投資などをおこなう必要がありますが、NISAのつみたて投資枠では金融商品を毎月少額ずつ購入する積立投資しかできません。そのため、短期間で大きな利益を上げるのは難しいといえます。
iDeCoの特徴
iDeCoにも、いくつかの特徴があります。主な特徴は下記のとおりです。
掛金が全額所得控除の対象となる
iDeCoでは、掛金が全額所得控除の対象となります。所得控除とは、納税者の生活状況にあわせ、所得金額から一定の金額を差し引くことです。NISAでは金融商品の購入金額が控除の対象となることはありません。掛金が全額控除の対象となり、税負担が軽減されることはiDeCoの特徴です。
老後資金を準備できる
老後資金をきちんと準備できることも、iDeCoの特徴です。iDeCoは公的年金に上乗せする形で自分の年金を用意することを目的としています。そのため、原則60歳になるまで資金の引出はできませんが、老後資金をしっかりと蓄えられる点はiDeCoの特徴といえるでしょう。
iDeCoの注意点
iDeCoには注意点もあります。主な注意点は下記のとおりです。
目的が老後資金の準備に限られる
iDeCoは、老後資金の準備を目的とした私的年金制度です。そのため、住宅資金や子供の教育資金としてまとまったお金が必要なときに活用することはできません。目的が老後資金の準備に限られることは、iDeCoの注意点です。
加入と継続に手数料がかかる
iDeCoに加入する際には、国民年金基金連合会に手数料を支払う必要があります。また、毎月の掛金拠出にも手数料が必要です。
このように、加入と継続に手数料がかかることはiDeCoの注意点といえます。なお、手数料はiDeCoを取り扱う金融機関によって異なるため、加入を検討する際は確認してください。
積立投資をする際、NISAとiDeCoのどちらを選ぶべき?
資産形成のために積立投資をする際、NISAとiDeCoのどちらを選べばいいのでしょうか。目的別に選ぶべき制度を解説していきます。
柔軟性を求めるならNISA
資金を柔軟に活用したいなら、NISAがおすすめです。NISAの主な目的は家計における安定的な資産形成にあり、つみたて投資枠で積立投資をした資金は住宅購入や子供の教育などにも使うことができます。iDeCoの目的は老後資金の準備に限られているため、NISAに比べると柔軟性は低いといえます。
また、新しいNISAはつみたて投資枠と成長投資枠の2つを併用することが可能です。つみたて投資枠では投資信託などの積立投資をおこない、成長投資枠では株式投資をすることもできます。NISAには、資金の用途だけでなく、資産形成のスタイルも利用者が選べる柔軟性があります。
老後資金を準備したいならiDeCo
資産形成の目的が老後資金の準備にあるなら、iDeCoがおすすめです。
iDeCoは原則60歳まで資金の引出ができませんが、コツコツと老後資金を作れるという特徴があります。
また、掛金が全額所得控除の対象となるという税制優遇措置があるため、老後資金を効率的に作ることが可能です。節税効果を得ながら老後資金を確保したい方は、iDeCoを選択しましょう。
余裕があるならNISAとiDeCoの併用もおすすめ
資産形成の資金に余裕があるなら、NISAとiDeCoの併用がおすすめです。
NISAとiDeCoを併用すれば、結婚や出産、子供の教育、住宅購入といったライフイベントにはNISAを活用して備え、老後資金はiDeCoを利用して準備可能です。非課税制度をフル活用して効率的に資産を形成することができます。
会社員や自営業者の場合、まずiDeCoに加入して税制上の利点を得ながら老後資金を準備し、余裕があればNISAでさらに資産形成するという方法があります。
専業主婦(夫)であれば、所得税や住民税を支払う必要がないため、所得控除があるiDeCoよりもNISAを活用するといいかもしれません。
NISAやiDeCoを使った資産形成は保険・金融のプロに相談しよう
NISAとiDeCoの大きな違いは、資産形成に利用する目的です。
NISAは家計のなかで安定的な資産形成をすることを目的とし、住宅購入や子供の教育といった用途で資産を活用できます。iDeCoの目的は老後資金の準備のみですが、掛金が全額所得控除の対象になるという、NISAにはない特徴があります。
資産形成をする際、NISAとiDeCoのどちらを選ぶべきかは目的によって変わりますが、資産形成に回せる資金に余裕があるなら、NISAとiDeCoを併用するのもいいでしょう。
ライフイベントにはNISAで備えて、並行してiDeCoで老後資金を準備するといった使い方も可能ですので、ぜひ検討してみてください。
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※当社は、NISAを取り扱っておりません。
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監修者:金子 賢司(CFP®認定者)
※当資料は、2024年8月現在の税制・税率に基づき作成しております。また、税制・税率は将来変更されることがあります。なお、個別の取扱いにつきましては、お客さまご自身にて所轄の税務署または税理士にご確認ください。