iDeCoの利回りは?資産形成のシミュレーションも紹介
dotL編集担当者B
老後資金の準備方法としてiDeCo(個人型確定拠出年金)があるのは有名かと思います。老後資金をどれだけ準備したいかにより、目標とする利回りが変わり、目標とする利回りにより選ぶ商品も変わってきます。利回りに関する考え方やシミュレーションを紹介しているので、資産形成の一助にしてみてください。
- 掲載日
- 2024年9年17日(火)
11分
iDeCo(個人型確定拠出年金)は、公的年金に上乗せする形で自分の年金を用意できる制度です。掛金が全額所得控除の対象になるといった税制メリットがありますが、どのように利用すれば効率的に年金を用意できるのかは、多くの方が気になるところではないでしょうか。
その疑問を解くカギになるのが、資産形成を行ううえで重要な「利回り」です。
本記事では、iDeCoの平均利回りやiDeCoを利用した資産形成のシミュレーション、iDeCoを上手に利用するポイントなどについて解説します。
利回りとは投資金額に対して得られる利益の割合のこと
利回りとは、投資した金額に対して得られる収益の割合のことです。利回りは、下記の計算式で算出することができます。
<利回りを算出する計算式>
利回り(%)=(譲渡損益+分配金)÷運用年数÷投資金額×100
「譲渡損益」とは金融商品を売却した際の利益や損失のことです。「分配金」は、投資信託の運用益から投資家に分配・還元されるお金を指します。「投資金額」は投資に使用した金額を指し、具体的には投資元本のことです。
一般的に利回りは、過去1年間の譲渡損益と分配金をもとに計算します。
利回りには「表面利回り」と「実質利回り」があります。
表面利回りの計算では、金融商品の運用コスト(売買手数料、信託報酬など)や税金などは含みません。実質利回りは、そうした費用なども含めて計算します。
そのため、金融商品を選ぶ際に表面利回りだけを見て判断すると、運用中のコストによって最終的な資産額が想定と異なることがあるのです。
将来の資産額は、利回りによって大きく変わる可能性があります。たとえば、iDeCoで月1万円を30年間積み立てた場合、利回り1%(年率)で運用すると約420万円、3%(年率)だと約583万円となり、約163万円の差が出ます。
そのため、iDeCoで金融商品を選ぶときは、目的に合った商品を選ぶことが大切です。
利回りの目標の立て方
利回りは金融商品によって異なります。そのため、利回りの目標次第で購入すべき金融商品も変わると考えてください。
利回りの目標を立てる際は、いつまでにどれくらいの金額を確保したいかがポイントとなります。iDeCoの場合、引出ができるようになるのは原則60歳以降であるため、まずは60歳までにどれくらいの金額を確保しておきたいのかを決めることが大切です。
そのうえで、毎月拠出できる掛金を決め、目標の金額を確保するための利回りを計算してください。
金融庁の「資産運用シミュレーション」を利用すると、毎月の積立金額、想定利回り、積立期間を入力して計算するだけで、最終積立金額を簡単に試算できます。ぜひ、活用してください。
利回りに関するiDeCoの特徴
iDeCoは、税制優遇があることや老後資金を確保できる点がよくクローズアップされますが、利回り面でも特徴の多い制度といえます。iDeCoの利回り面の特徴は下記のとおりです。
なお、iDeCoで購入できる金融商品は金融機関によって異なります。平均利回りも運用実績によって変動するため、金融商品を選ぶ際は過去の運用実績などをよく調べることが大切です。
複利の恩恵を期待できる
複利の恩恵を期待できることも、iDeCoの利回り面での特徴です。複利とは、金融商品の運用で得た利益を元本に組み入れて再投資し、その合計金額をもとに得られる利益を指します。
通常の資産形成では金融商品の運用益に約20%の税金がかかりますが、iDeCoは運用益が非課税となるため、運用益をすべて元本に組み入れ再投資することが可能です。
これにより、複利の恩恵が通常の資産形成よりも高くなることが期待できます。
また、iDeCoは原則60歳まで引出ができないことから長期運用になりやすく、複利の恩恵も大きくなりやすいといえるでしょう。
所得控除で実質利回りが高まる可能性がある
iDeCoを利用すると、所得控除によって実質利回りが高まる可能性があります。所得控除とは、所得税などを計算する際、所得金額から一定の金額を差し引くことです。
iDeCoは、掛金が全額所得控除の対象となるため、掛金が高くなるほど課税所得を抑えられるという特徴があります。結果として、税金を含めて計算する実質利回りが高くなる可能性があります。
iDeCoでの資産形成を運用利回り別にシミュレーション
iDeCoを利用することでどのくらいの資産を確保できるのかを、金融庁の「資産運用シミュレーション」を活用してシミュレーションしました。
会社員で、勤務先に企業年金がない場合、掛金の上限額は2万3,000円です。毎月の掛金を1万円、1万5,000円、2万円、2万3,000円の4パターンとした際の算出結果は下記のとおりです。
なお、合計金額は千の位を四捨五入しており、カッコ内には利益額を記載しました。
掛金を1万円とした場合
想定利回り | 10年 | 15年 | 20年 | 25年 | 30年 |
1%(年率) |
126万円 (6万円) |
194万円 (14万円) |
266万円 (26万円) |
341万円 (41万円) |
420万円 (60万円) |
3%(年率) | 140万円 (20万円) |
227万円 (47万円) |
328万円 (88万円) |
446万円 (146万円) |
583万円 (223万円) |
5%(年率) | 155万円 (35万円) |
267万円 (87万円) |
411万円 (171万円) |
596万円 (296万円) |
832万円 (472万円) |
掛金を1万5,000円とした場合
想定利回り | 10年 | 15年 | 20年 | 25年 |
30年 |
1%(年率) | 189万円 (9万円) |
291万円 (21万円) |
398万円 (38万円) |
511万円 (61万円) |
629万円 (89万円) |
3%(年率) | 210万円 (30万円) |
340万円 (70万円) |
492万円 (132万円) |
669万円 (219万円) |
874万円 (334万円) |
5%(年率) | 233万円 (53万円) |
401万円 (131万円) |
617万円 (257万円) |
893万円 (443万円) |
1,248万円 (708万円) |
掛金を2万円とした場合
想定利回り | 10年後 | 15年後 | 20年後 | 25年後 | 30年後 |
1%(年率) | 252万円 (12万円) |
388万円 (28万円) |
531万円 (51万円) |
681万円 (81万円) |
839万円 (119万円) |
3%(年率) | 279万円 (39万円) |
454万円 (94万円) |
657万円 (177万円) |
887万円 (287万円) |
1,165万円 (445万円) |
5%(年率) | 310万円 (70万円) |
535万円 (175万円) |
822万円 (342万円) |
1,191万円 (591万円) |
1,665万円 (945万円) |
掛金を2万3,000円とした場合
想定利回り | 10年後 | 15年後 | 20年後 | 25年後 | 30年後 |
1%(年率) | 290万円 (14万円) |
446万円 (32万円) |
611万円 (59万円) |
784万円 (94万円) |
965万円 (137万円) |
3%(年率) | 321万円 (45万円) |
522万円 (108万円) |
755万円 (203万円) |
1,026万円 (336万円) |
1,340万円 (512万円) |
5%(年率) | 357万円 (81万円) |
615万円 (201万円) |
945万円 (393万円) |
1,370万円 (680万円) |
1,914万円 (1,086万円) |
シミュレーション結果は参考ですが、毎月の掛金が多いほど最終的な資産額も大きくなる可能性が高まります。iDeCoを始める際の参考にしてください。
※上記の説明におけるシミュレーションのいかなる内容も、将来の運用成果を予測し、保証するものではありません。※市場価格の変動等により損失が生じるおそれがあります。
※上記の説明におけるシミュレーション結果は、手数料、税金等は考慮しておらず、実際の数値とは異なることがあります。
iDeCoを上手に活用する際のポイント
iDeCoを上手に活用するために、押さえておきたいポイントがあります。下記のポイントを参考に、iDeCoを資産形成に役立ててください。
目標利回りは必要な老後資金から考える
目標となる利回りは、老後資金から逆算して考えることが大切です。必要な老後資金の額が大きくなるほど、目標とすべき利回りも高くなります。
利回りが高い金融商品は大きなリターンを見込めます。しかし、一般的にリターンはリスクと比例関係にあり、高いリターンを期待できる商品は価格が下がるリスクも大きいため注意が必要です。
リスク許容度の範囲内で金融商品を選ぶ
リスク許容度の範囲内で金融商品を選ぶことも、iDeCoを上手に活用するポイントです。リスク許容度とは、資産形成をするにあたってどれほどのリスクを許容できるかの度合いを指します。
資産形成のスタイルや選ぶべき金融商品は、リスク許容度によって変わります。リスク許容度を考えずに金融商品を選ぶと、生活の維持が難しくなるほどの損失が発生してしまうかもしれません。
iDeCoで運用する金融商品は、リスク許容度の範囲内で選びましょう。
資産配分を定期的に見直す
iDeCoを上手に活用するには、資産配分を定期的に見直すことも大切です。金融商品は価格が変動するため、資産全体に占める金融商品ごとの割合も常に変化するからです。
なお、保有資産の配分を調整するために金融商品を入れ替えることを「スイッチング」といいます。
また、スイッチングなどによって資産配分のバランスを戻すことを「リバランス」といいます。
スイッチングでリバランスを行うことで、安定的に資産を運用することが可能です。
コストを抑える
手数料を抑えることも、iDeCoを活用する上で欠かせません。
iDeCoで購入できる投資信託などは、運用の過程で「信託報酬」としてコストがかかります。特に信託報酬は、保有しているあいだはずっとかかる手数料なので、慎重に検討しましょう。
各種コストは金融機関によって異なるため、iDeCoを始める際には確認するようにしてください。
老後資金に関する疑問は、保険・金融のプロに聞くのもおすすめ
公的年金に上乗せする形で自分の年金を用意できるiDeCoは、さまざまな税制メリットがある制度です。原則、60歳以降しか引き出せないという特徴があるため、長期の運用で複利の効果を得やすく、効率的に老後資金を確保しやすい制度といえます。
iDeCoで購入できる金融商品は、掛金の全額が所得控除の対象となるため、実質利回りも高まる可能性があります。
iDeCoを上手に活用するためには、確保したい老後資金から目標の利回りを決め、リスク許容度の範囲内で運用することが大切です。また、資産配分を定期的に見直し、各種コストを抑えるといった工夫も欠かせません。本記事を参考に、iDeCoを資産形成に役立ててください。
老後資金に関する疑問は、保険・金融のプロに聞くことをおすすめします。下記をご確認いただき、相談をご検討ください。
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※当資料は、2024年8月現在の税制・税率に基づき作成しております。また、税制・税率は将来変更されることがあります。なお、個別の取扱いにつきましては、お客さまご自身にて所轄の税務署または税理士にご確認ください。