投資信託が初心者でも始めやすい理由とは?運用方法とともに解説
dotL編集担当者C
投資信託は、購入する側は投資信託を選び購入するだけで、購入した際のお金の管理は信託銀行が管理し、運用は運用会社が行うので、初心者にも始めやすい金融商品です。種類はさまざまありますが、元本割れ等のリスクがあるので注意点の理解も必要です。詳しく見ていきましょう。
- 掲載日
- 2024年9年17日(火)
18分
※当記事は、当社から金子CFP®認定者へ執筆を依頼し、原稿を当社で編集したものです。
投資信託は、金融商品の種類のひとつです。投資信託にもいろいろな種類があり、それぞれ異なる特徴があるため、資産形成をする方の経験やリスク許容度に応じて、適した金融商品を選ぶことが大切です。
これから資産形成を始めようという初心者の場合、プロが運用をおこない、自然に分散投資ができる投資信託が選択肢に入ってくるでしょう。投資信託の具体的な特徴や買い方、種類、初心者でも始めやすい理由のほか、覚えておきたい注意点などについて解説します。
投資信託とは投資家から集めた資金を複数の投資先に投資する金融商品
投資信託とは、資産運用のプロである「ファンドマネージャー(運用会社)」が、投資家から集めた資金を複数の投資先に投資する金融商品です。
投資家から集めた資金は、国内外の株式や債券、不動産などに投資して運用されます。運用して利益が出ると、「分配金」「償還金」として投資家に還元される仕組みです。
投資信託の仕組み(イメージ)
投資信託は、運用会社が立ち上げと運用をおこないます。投資信託の一般的な運用の流れは、下記のとおりです。
<投資信託の運用の流れ>
1. 運用会社が、投資信託を立ち上げる
2. 投資家が、証券会社や銀行などを通じて投資信託を購入する
3. 信託銀行が、「2」のお金を管理する
4. 運用会社が、信託銀行に投資の指図をおこなう
5. 「4」の運用の結果、得られた利益が投資家に分配される
投資信託を購入する方がおこなうのは、「購入する投資信託を選んで、証券会社や銀行を通じて購入すること」だけです。それ以降、購入したときのお金は信託銀行が管理し、運用は運用会社がおこないます。
このように、複数の専門機関が関わることで成り立っているのが、投資信託です。
投資家は、投資信託の運用によって得られた利益を分配金という形で受け取れます(分配金の支払いを行わずに再投資する投資信託もあります)。また、投資信託には値動きがあるため、価格が上昇したタイミングで売却して売却益を得ることも可能です。
投資信託の種類
投資信託は、投資対象や購入できるタイミングなどに応じてさまざまな種類に分けられます。運用会社が複数の投資先に分散投資をおこなう投資信託ですが、どのような方針で何に投資をおこなうのかは、事前に決められています。投資信託を購入するときは、投資方針や投資先を確認して、自分の意向に合った商品を選ぶことが大切です。
ここでは、投資信託を投資対象や購入時期などに分類して紹介します。投資信託の購入を検討する際の参考にしてください。
投資対象による分類
投資信託は、投資先が債券か、株式かによって分類することができます。債券とは、国や地方公共団体、会社などが発行するもので、株式は民間企業が発行するものです。
- 公社債投資信託
公社債投資信託は、債券を中心に投資を行って運用されます。公社債投資信託の投資先に株式は含まれません。
債券は、原則として満期時に額面金額の全額が投資家に払い戻されます。元本の保証はありませんが、比較的低リスクであるといわれています。
- 株式投資信託
株式投資信託は、株式を組み入れて運用をおこなう投資信託です。株式のみで運用する投資信託のほか、債券と株式の両方で運用する投資信託も該当します。
株価には値動きがあるため、投資先の株価が上昇すれば大きな利益を見込めますが、下落すると損失につながる可能性があります。その点、株式投資信託は複数の株式に分散投資をおこなうため、リスクも分散できる点が特徴です。
購入時期による分類
投資信託は購入時期によって分類することも可能です。いつでも購入できる追加型と、募集期間中のみ購入できる単位型に分類することができます。
- 追加型
追加型の投資信託は、運用されているあいだであれば好きなタイミングで購入できます。いつでも購入できることから、「オープン型投資信託」とも呼ばれます。
- 単位型
単位型の投資信託は、新たに立ち上がる際の募集期間にだけ購入できる投資信託です。「ユニット型投資信託」ともいわれ、あらかじめ決められた信託期間に応じた運用が行われます。
募集期間終了後の追加購入はできず、信託期間中に売却する投資家が多いと運用途中で繰上償還されることがあります。繰上償還とは、投資信託の運用が途中で終了となり、償還金が払い戻されることです。
投資対象地域による分類
投資対象は、地域によっても分類できます。投資対象地域を基準に投資信託を検討する場合は、これから成長すると思う地域を選ぶといいでしょう。
- 国内
対象が国内である投資信託は、国内の株式や債券、不動産投資信託(REIT)などで運用されます。
- 海外
海外を対象とする投資信託は、外国企業の株式や債券、REITなどで運用が行われます。先進国を対象とするものや新興国を対象とするもののほか、アジアなど地域を対象とするもの、日本以外の全世界を対象とするものもあり、投資先の地域や数は投資信託によってさまざまです。
- 国内外
国内外が対象である投資信託は、国内と海外の両方の資産で運用されます。日本を含む全世界の株式などで構成された投資信託もあります。
そのほかの投資信託
上記の分類にあてはまらない投資信託の種類は、主に下記のとおりです。いずれかに該当する場合、投資信託の説明書の役割を持つ「目論見書」に記載されるため、購入する際の参考にするといいでしょう。
- MMF
MMF(Money Management Fund)は、国債や国内外の公社債などを主な対象とする公社債投資信託です。債券の実績に応じて運用成果が変動し、元本は保証されません。
- MRF
MRF(Money Reserve Fund)は、MMFと同じく公社債で構成される投資信託です。MMFは購入の申込が必要ですが、MRFは証券口座などに資金を入金すると、自動的に運用が行われます。任意で購入するものではありません。
- ETF
ETF(Exchange Traded Funds)とは「上場投資信託」という意味で、株式のように証券取引所に上場している投資信託です。ETFは複数の銘柄で構成されているため、1つのETFを持つことで、個別の株式に投資するよりもリスクを抑えながら分散投資できるメリットがあります。
- インデックス型
インデックス型は、日経平均株価や東証株価指数など、証券取引所全体や特定の銘柄群の株価の動きを表す指数に連動した運用成果を目指す投資信託です。分散投資ができるだけでなく、運用コストが低いなどのメリットがあるため、資産形成を始めた初心者も購入しやすいといわれています。
- 特殊型
特殊型は、通常の投資信託とは異なる特殊な運用をおこなう投資信託です。指数の2倍や3倍などの値動きを目指す投資信託などが該当します。初心者が購入を検討する場合は、仕組みを十分理解できているかどうか慎重に確認してください。
投資信託が初心者でも始めやすい理由
投資信託は、これから資産形成を始める初心者でも購入しやすい金融商品です。投資信託の特徴の中から、初心者が購入しやすい4つの理由を紹介します。
プロが運用してくれる
投資信託は、実際の運用を投資のプロである運用会社がおこないます。投資信託の特徴を知り、意向に合った商品を選ぶ必要はありますが、その後の運用はプロに任せられるため手間がかかりません。個別銘柄の値動きなどに常に目を光らせておく必要はありませんから、投資初心者でも利用しやすいでしょう。
少額から購入できる
投資信託を購入できる最低金額は、証券口座を開設する金融機関によって異なりますが、基本的には100円や1,000円といった少額から購入可能です。無理のない金額で購入できるため、初心者でも始めやすいといえます。
分散投資ができる
投資信託を購入すると、運用会社を通じて複数の投資先に投資することとなります。たとえば、日経平均株価に連動する値動きを目指す投資信託を購入した場合、1つの投資信託を買うだけで、日経平均株価を構成するすべての企業に分散投資しているのと同じ効果を得られます。
投資信託を購入する際に確認する目論見書には、その投資信託がどこに、どのくらいの投資をするのかが明記されています。たとえば、全世界の株式に投資する投資信託でも、すべての国の株式に均等に投資するわけではありません。また、情勢に応じて投資先のバランスを変えるものもあれば、変えないものもあります。
どのような方針で、どこに分散投資をするのかは、投資信託の値動きに直結するポイントです。目論見書をよく確認しておきましょう。
さまざまな種類がある
投資信託には、投資先や運用方針に応じた多くの種類があります。購入する際は、資産形成の方針に応じて選ぶことが大切です。
投資信託は少額から購入ができます。そのため、国内の株式投資信託、国内の債券、海外のREITなど、さまざまな商品を選んで少しずつ購入することもできますし、今後成長が見込めると感じた投資先に絞って購入することもできます。種類が多く、少額で購入できるため、資産形成を柔軟に行える点が魅力です。
投資信託の取扱銘柄は、金融機関によって異なります。証券口座などを開設する前に、希望する銘柄を取り扱っているかどうかや、取扱銘柄数がどのくらいあるのかを確認しておくことをおすすめします。
初心者が忘れてはいけない投資信託の注意点
初心者でも始めやすい投資信託ですが、注意点がないわけではありません。投資信託を購入する際には、下記の2点について留意しておきましょう。
元本が保証されない
投資信託は、元本保証の金融商品ではありません。たとえば、1,000円分購入した投資信託の基準価額が800円のときに売却すれば損失が出ます。市場環境によっては元本割れする可能性があることを覚えておいてください。
購入・運用にコストがかかる
投資信託は、購入や運用にコストがかかります。投資信託の主なコストは下記のとおりです。
- 購入手数料
購入手数料は、主に投資信託を購入するときに証券会社や銀行などに支払う手数料です。基本的に金融機関ごとに定められており、無料の場合もあります。
- 信託報酬
信託報酬とは、購入した投資信託の管理・運用をおこなうファンドマネージャーに支払われる費用です。別途支払うものではなく、自動的に差し引かれる仕組みになっています。
- 信託財産留保額
主に投資信託を売却する際にかかるお金を信託財産留保額といいます。信託報酬と同様、売却時に自動的に差し引かれる仕組みです。投資信託によっては、信託財産留保額がかからないこともあります。手数料の総額は、証券口座などを開設する金融機関と、購入する商品によって決まります。金融機関や商品の特徴を比較する際には、手数料もチェックしましょう。
投資信託の購入方法
投資信託は、証券会社や銀行などの金融機関で購入できます。ここでは、投資信託を購入・運用する際の具体的な手順を3ステップで紹介します。投資信託を購入する際の参考にしてください。
1. 口座を開設する
まずは、投資信託を購入したい証券会社や銀行で口座を開設します。銀行の場合、投資信託の口座は通常の預金口座とは異なるため別途開設しなければなりません。
投資信託は、金融機関によって取扱銘柄が異なります。買いたい投資信託が決まっている場合は、取扱のある証券会社や銀行で口座を開設してください。また、投資信託の購入手数料もそれぞれ異なります。金融機関選びは慎重におこないましょう。
取扱銘柄や口座への入金のしやすさ、インターネット上での操作のしやすさ、サポート体制、手数料などをチェックして比較検討するのがおすすめです。
2. 投資信託を選択・購入する
証券会社や銀行で口座を開設したら、投資信託を購入します。具体的な購入手順は金融機関によっても異なりますが、おおよそ下記のとおりです。
<投資信託の一般的な購入手順>
1. 口座に資金を入金する
2. 購入したい投資信託を選ぶ
3. 投資信託を注文する
4. 資金が引き落とされて投資信託が受け渡される
投資信託の注文方法には、1回限りの注文と、定期的に同じ金額を買い続ける積立注文の2種類があります。どちらかを選択して注文してください。
なお、投資信託の注文をする「申込日」と売買が成立する「約定日」、代金を支払う「受渡日」には、それぞれ数日のタイムラグがあります。注文をしたからといって、すぐに保有資産に投資信託が反映されるわけではありません。
3. 分配金を受け取る・換金する
投資信託を保有していると、定期的に分配金を受け取れることがあります。分配金は口座に自動的に入金されるため、受取手続をする必要はありません。
投資信託の中には、分配金を支払わずに再投資して複利効果の向上を狙う商品もあります。このような商品を選択した場合、分配金は支払われません。運用中に定期的に分配金を受け取りたいか、長期的な運用で複利効果を高めたいか、資産形成の目的に応じて選択しましょう。
また、投資信託は基準価額が購入時よりも上がったタイミングで売却し、利益を得ることもできます。いつ売却するかは任意ですから、値動きを見て決めることが大切です。売却する際は、保有している投資信託を指定して売却手続をおこないます。
初心者が上手に投資信託を運用するためのポイント
投資初心者が上手に投資信託を活用していくためのポイントを紹介します。投資信託で資産形成をおこなう際は、ぜひ心掛けてみてください。
積立投資をおこなう
投資信託は、購入するタイミングによって価格が変動します。価格が低いときに購入し、高くなったタイミングで売却すれば利益になりますが、投資初心者が将来の値動きを見極めるのは困難かもしれません。
おすすめの方法は、一定期間ごとに一定額を積立形式で買うことで購入金額を平準化させる「ドル・コスト平均法」です。
ドル・コスト平均法では、投資信託を常に一定の金額で購入するため、価格が低いときには多く購入し、高いときには少なく購入することになります。これにより、全体の平均購入単価が平準化され、投資リスクを抑えることが可能です。
ドル・コスト平均法による購入価格の平準化(イメージ)
※上記の説明は情報提供を目的としたものであり、ドルコスト平均法の成果や万能性を保証するものではありません。※市場価格の変動等により損失が生じるおそれがあります。
資産形成の目的を明確にする
投資信託に限らず、資産形成は目的を明確にして、適した手法でおこなうのが基本です。投資信託は長期的な目線でおこなうのがおすすめですが、同じ長期目線でも「老後資金づくり」や「住宅購入」など目的はさまざまで、目的によって適した取り組み方は異なります。
何のために資産形成をして、いつまでにいくらくらいの資産を作りたいのかを明確にし、適した銘柄や計画を検討してみてください。
余剰資金で購入する
資産形成は、あくまでも余剰資金でおこなうのがおすすめです。生活費や教育資金など、用途の決まっているお金で投資信託を購入してしまうと、そのお金が必要になったタイミングで値下がりしていた場合、損失が出てしまいます。当面使う予定のない余剰資金で購入し、無理なく取り組みましょう。
長期的に取り組む
投資信託は短期で大きな利益を期待することが難しく、長期的な視点で取り組むのに向いています。毎日値動きを見て一喜一憂したり、値下がりしたときに慌てて売却したりするのではなく、長期的に取り組んで資産形成を目指していくのがおすすめです。
NISAを利用する
一部の投資信託は、NISAで購入することができます。NISAとは「少額投資非課税制度」のことで、投資で得た利益が非課税になる制度です。
NISAは2014年に始まりましたが、従来の制度を拡充・恒久化した新しいNISAが2024年1月に始まりました。新NISAには年間120万円まで投資できる「つみたて投資枠」があり、長期の積立と分散投資に適した投資信託の一部が購入可能です。年間240万円まで投資できる「成長投資枠」でも、幅広い投資信託を購入することができます。
投資信託を正しく理解して、賢い資産形成を
投資信託は、資産形成の初心者にも購入しやすい金融商品です。ただし、元本保証はないため損失が出る可能性もあります。また、投資信託は種類も多く、銘柄ごとで特徴が異なります。購入する際は、希望の投資信託を扱っている金融機関で口座を開設し、目論見書を確認することなどが重要です。
投資信託を正しく理解すれば、投資信託のメリットを活かした賢い資産形成がしやすくなります。投資信託に関する正しい知識を身に付け、安定的な資産形成に役立ててください。
資産形成の無料相談は、ソニー生命のライフプランナーへ
※当社は、NISAを取り扱っておりません。
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監修者:金子 賢司(CFP®認定者)
※当記事はお金にまつわる幅広い情報をまとめています。当記事のコンテンツの中には、当社で取り扱いのない商品・サービスを含んでいるものもございます。この点、充分にご留意のうえ、ご覧ください。
※当資料は、2024年8月現在の税制・税率に基づき作成しております。また、税制・税率は将来変更されることがあります。なお、個別の取扱いにつきましては、お客さまご自身にて所轄の税務署または税理士にご確認ください。