更新日:2022年9月16日
学資保険とは、その名の通り、子どもの学資金(教育資金)を準備するための貯蓄型の保険のことです。毎月決まった額の保険料を払うことで、子どもの成長に合わせた進学準備金や満期学資金を受け取ることができます。
「大切な子どもの将来のために、ぜひとも夢を叶えてあげたい」と願うのは共通の親心。そのために大切なのが教育資金の準備ですが、いざ「学資保険(がくしほけん)」を検討しようとしても、いろいろ種類があってなかなか選びづらいもの。そこで、あなたに合った保険とは?気になる返戻率は?そんな「学資保険」の疑問にわかりやすくお答えします。
待望の子どもが生まれた、もうすぐパパママになる、そんなとき話題にのぼるのが「学資保険(がくしほけん)」。ご両親や先輩パパママからすすめられた方も多いのではないでしょうか。学資保険とは、その名の通り、子どもの学資金(教育資金)を準備するための貯蓄型の保険のことです。毎月決まった額の保険料を払うことで、子どもの成長に合わせた進学準備金や満期学資金を受け取ることができます。
さらに、親(契約者)が亡くなった場合は、それ以降の保険料の払込が免除となり、保障がそのまま継続され学資金を受け取ることができるのも大きな特徴です。
また、学資保険には子どもの医療保障などが付いたタイプもありますが、さまざまな特約を付けると学資金の「返戻率(へんれいりつ)」が100%を下まわる場合もあります。実は、この返戻率は学資保険選びのポイントの1つ。ぜひチェックしたい返戻率については後ほど詳しくご説明します。
学資保険の魅力は、魅力的な貯蓄性にあります。加えて、学資金を受け取るタイミングが設定できるのも、大きな特長と言えるでしょう。たとえば、高額となりがちな大学入学時にまとまった満期学資金を受け取る他にも、子どもが中学校・高校・大学に入学するタイミングで、それぞれ進学準備金や満期学資金を受け取るなど、子どもの成長や家庭の状況に合わせて教育資金を準備することができます。
また、学資保険は保険料の払込免除により万が一の保障も受けられるという点も見逃せません。貯蓄面だけを考えると、株式や投信信託といった選択肢もありますが、多くの人に学資保険が選ばれる理由は、保険としての役割を備えているからと言えます。
そして、実際に万が一のことが起こったとき、児童のいる世帯と、母子家庭の一世帯あたり平均所得金額*を比べた場合、母子家庭は半分以下まで所得が減ってしまいます。学資保険は、万が一、親(契約者)が亡くなり、母子家庭となってしまった場合でも、確実に子どもに教育資金を残すことができるのです。
*厚生労働省「2019年国民生活基礎調査」より
さらに、コツコツ貯蓄するのが苦手なタイプの方にも学資保険はおすすめです。銀行の預金は融通性が良いためについつい使い過ぎてしまう…そんな心配もなく、大切な教育資金を確実に準備することができるからです。
学資保険の特徴はまだまだあります。1つ目は学資保険で受け取ったお金は契約形態によっては一時所得として所得税の対象となりますが※1、受け取った保険金と払った保険料の差額が50万円までは非課税になります。こうした税金面のことも考慮するようにしましょう。
契約者(保険料負担者) | 学資金受取人 | 税金の種類 | |
---|---|---|---|
A | A | 受取時 |
所得税(一時取得)+住民税 ※1※2※2 |
A | B | 贈与税 |
※1 学資保険(無配当)Ⅲ型の場合は、所得税(雑所得)となります。
※2 受取額と既払込保険料合計額との差益が課税対象となります。
2022年12月1日現在の税制の概要についての説明です。詳しくは税理士または所轄の税務署にご確認ください。
学資保険の注意点としては中途解約をしてしまうとその貯蓄性の特長がなくなってしまうことです。解約しても解約返戻金は受け取れますが、払い込んだ保険料を下まわるケースが多いようです。ですから、途中で保険料が負担になって続けられなくなったりしないよう、無理の無いプランニングが重要です。
また、いくら貯蓄性が高いといっても、お子さまが大学に進学するまでは長い期間があります。その間物価が上昇したりすれば、せっかく増えた資金もあまり意味を持たなくなるケースもあります。過信は禁物ということでしょう。
では、学資保険はいつから始めればいいのでしょうか?加入するタイミングは、早ければ早いほど良いと言われています。それは、子どもの年齢が低いうちの方がその分、満期までの期間が長くなり保険料を抑えることができるため、家計の負担を抑えながら教育資金を準備することができるからです。
また、親(契約者)の年齢が高ければ高いほど保険料も高くなります。それは、高年齢の人はリスクが高く、そうした点からも、できるだけ早めに加入することをおすすめします。
学資保険を検討する際は、満期を迎えるまで払い込むことができる金額を考えることが大切です。いくら貯蓄性に優れる学資保険といっても、途中で解約してしまっては意味がありません。家計を圧迫することのないよう、月々の上限を決めるなど継続的に払い込める金額を設定しましょう。
学資保険の保険料の払込には、月払の他にも、年払や半年払、または全期間分をまとめて払い込む方法もあります。一時払(一度に保険料を払い込むこと)の場合は、払込が終わっているため、冒頭で説明した保険料の払込免除は適用されません。したがって、満期までの間に契約者が亡くなっても、それ以降のすでに払込が終わっている保険料が払い戻されることがないので注意が必要です。
一方、まとめて払う方法には一時払の他にも、(保険料をあらかじめ保険会社に預けておくような)全期前納というものがあります。この場合、保険会社に預けられた状態である払込期月の到来していない未経過の保険料は返還されます。
学資保険には配当金があるタイプと配当金がないタイプがあります。配当金とは、保険会社が預かったお金の運用がうまくいった場合に、その利益の一部を加入者に還元するというものです。配当タイプの保険は一般的に、配当部分があるために、無配当タイプの保険と比較して保険料が高くなっていると言えます。
当たり前のことですが、子どもを育てるにはお金が必要です。食費や衣類などかかる費用はたくさんありますが、その中でも最も大きなウェイトを占めるのが教育費と言えるでしょう。幼稚園、小学校、中学校、高校、そして大学。実際にどれくらいかかるのかを見ていきましょう。
教育費とひと言で言っても、学校でかかる授業料だけに終わりません。学校給食費や学習塾といった習い事、部活などの学校外活動費も頭に入れておく必要があります。実際の教育費の相場を見ると、幼稚園(3歳)から高校卒業まで15年間、すべて公立に通った場合は約543万円、すべて私立なら約1,830万円もかかり、公立と私立の差は約3.37倍にもなります。また、大学全入時代と言われる今、子どもを大学に送り出すための学資金も親としてはぜひ準備しておきたいもの。大学の場合は、国立や私立、文系や理系でも学費が大きく変わりますが、1年間の学費※の相場は国立で63万7,700円、公立で66万6,700円、私立で137万3,900円。これに初年度は入学金が必要となりますし、1人暮らしとなるとさらに費用がかさみます。幼稚園(3歳)から大学卒業までの19年間、すべて私立に通ったとすると教育費はなんと約2,400万円。大きな数字のため、あまり実感がわかないかもしれませんが、年単位で考えると年間約125万円、月単位にすると毎月約10万円もの教育資金を準備する必要が出てくるのです。
※学費:授業料、その他の学校納付金、修学費、課外活動費、通学費の合計。
区分 | 公立 | 私立 |
---|---|---|
幼稚園 | 22万3,647円/年 | 52万7,916円/年 |
小学校 | 32万1,281円/年 | 159万8,691円/年 |
中学校 | 48万8,397円/年 | 140万6,433円/年 |
高校 | 45万7,380円/年 | 96万9,911円/年 |
高校卒業まで合計 | 543万5,958円 | 1,830万4,926円 |
区分 | 授業料、その他の学校納付金 | 修学費、課外活動費、通学費 | 合計 | ||
---|---|---|---|---|---|
大学 | 昼間部 | 国立 | 49万7,900円/年 | 13万9,800円/年 | 63万7,700円/年 |
公立 | 53万8,000円/年 | 12万8,700円/年 | 66万6,700円/年 | ||
私立 | 122万3,800円/年 | 15万100円/年 | 137万3,900円/年 |
上記のように、子どもの教育資金は事前の準備と貯蓄が重要となってきます。
2022年1月に当社で実施したアンケート調査* では、「子どもの進学のための教育資金の準備方法」は銀行預金に次いで、学資保険が高い割合となっており、その他には財形貯蓄等で準備されているという回答が多い結果となりました。
*子どもの教育資金に関する調査2022より(ソニー生命調べ)
学資保険選びのポイントには、「返戻率(へんれいりつ)」というものがあります。返戻率とは、学資保険に加入して払い込む保険料の総額に対して、将来受け取れるお金(進学準備金や満期学資金)の総額がどれくらいあるかを表した数字で、通常はその割合をパーセントで示します。返戻率の計算式は以下となります。
返戻率=(満期学資金+進学準備金)÷払込保険料総額×100
返戻率が100%を超えていれば、払い込んだ保険料より多くの学資金を受け取ることができます。
たとえば、払い込んだ保険料総額が100万円で、満期で受け取った満期学資金が110万円の場合、その返戻率は110%となります。
払込期間が選べるのも学資保険の特徴ですが、同じ保障内容であれば、早く払込を満了する方が、払込保険料が抑えられ、返戻率が高くなります。たとえば、0歳から契約して18年ずっと払い続けるより、子どもに比較的お金のかからない10歳までに集中して払い込む方が返戻率も高くなるので検討してみてはいかがでしょうか。
上記の払込期間ほど差は出ませんが、月払を年払や半年払にすることでも、払込保険料が抑えられ、返戻率が高くなります。資金計画に余裕のある方は注目です。
以上、早足でご紹介してきた「5分でわかる!学資保険とは?」ですが、いかがでしたか?学資保険を検討する際、まずは教育資金の準備に有利な「返戻率」に注目しましょう。と同時に、子どもの将来のために「いくら準備するか?」「受け取るタイミングはどうするか?」「どのように払い込むか?」を今のうちから考えることが大切です。とはいえ、将来のことを想像するのは難しいうえ、子どもの教育資金は現在の収入や将来のプランによっても大きく変動します。あなたに一番合った学資保険を選ぶためにも、保険のプロであるライフプランナーに相談してみてはいかがでしょうか?
監修者:ソニー生命保険株式会社 デジタルマーケティング企画課
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