教育資金のおすすめの貯め方は?必要な金額とあわせて解説!

公開日:2024年2月29日

更新日:2024年9月10日

赤ちゃんを抱いた若い夫婦が、ソファに座っている写真

教育資金の貯め方に悩んでいませんか?「子どもの教育資金は、どうやって貯めればいいの?」「そもそも、教育費はいくら必要なの?」など、教育資金の貯め方については、お子さんを持つ多くのご家庭が直面する課題です。そこでこの記事では、お金のプロと呼ばれるファイナンシャルプランナーが、教育資金の貯め方と、それぞれのメリット・デメリットを解説します。ぜひ記事を読んで、あなたのご家庭にあった備え方を検討してみてください。

※当記事は、ソニー生命保険株式会社から1級ファイナンシャル・プランニング技能士である鈴木 靖啓氏に依頼し、 執筆いただいたものを編集しています。

教育資金はいくら必要?

赤ちゃんを抱いた若い夫婦が、ソファに座って悩んでいる写真

まずは、教育資金としてどういった費用がかかり、どの程度の金額が必要になるのか見ていきましょう。

トータルの教育資金はいくら必要?

幼稚園~大学までの教育資金は、すべて公立で1055万円、すべて私立で2660万円必要になります。

幼稚園~大学の教育資金総額(赤字部分が私立)

区分 合計 幼稚園 小学校 中学校 高校 大学 *1
すべて公立 1,055万円 47万円 211万円 162万円 154万円 481万円
大学のみ私立 1,396万円 47万円 211万円 162万円 154万円 822万円
高校から私立 1,558万円 47万円 211万円 162万円 316万円 822万円
中学から私立 1,826万円 47万円 211万円 430万円 316万円 822万円
すべて私立 2,660万円 92万円 1,000万円 430万円 316万円 822万円

教育資金には、学校にかかる費用(入学金、授業料、給食費、教材費、学用品、通学費など)と、学校外費用(学習机・参考書・家庭教師・学習塾・通信教育・そのほかの習い事など)があります。食費や被服費など、生活費は含まれていません。また、大学で自宅外通学する場合は、初期費用39万円程度と、毎年の仕送り96万円程度が必要になります。

教育資金の貯め方

大まかな教育資金目安がわかったところで、ここからは、教育資金の貯め方について見ていきましょう。それぞれのメリット・デメリットを理解し、自分にあった方法や組み合わせで準備していくことが大切です。

児童手当を貯める

児童手当は、中学生までの子どもがいる家庭に対して、国から支給される助成金です。

児童の年齢 児童手当の額
(一人あたり月額)
3歳未満 一律15,000円(第3子以降は30,000円)
3歳以上
高校生年代まで
10,000円
(第3子以降は30,000円)

児童手当の支給額をすべて貯蓄すると、高校を卒業するまでの間に約230万円貯まります。将来の教育資金に備え、生活費用の口座と別口座で貯めるなど、工夫しておきましょう。

児童手当制度は改正が行われる場合はありますので、定期的にこども家庭庁などのホームページで確かめておくと安心です。

なお、令和6年10月から児童手当制度が改正される内容を基に作成しております。

以下、令和6年10月の改正による拡充の内容

  • ・所得制限の撤廃
  • (所得制限限度額および所得上限限度額を超過していた方も支給対象になります。)
  • ・支給期間を中学生までから高校生年代まで(18歳に達する日以後の最初の3月31日まで)延長
  • ・第3子以降の支給額が1万5,000円から3万円に変更
  • ・支払月を年3回から年6回に増加(2月、4月、6月、8月、10月、12月の支払い)

銀行預金で備える

銀行預金(普通預金・定期預金)は、手軽にできる教育資金の貯め方の一つです。通帳やインターネットバンキングなどで残高をすぐに確かめられます。また、現金化する場合も「元本保証」されているため、預けた金額より少なくなることもなく、すぐに引き出せます。

一方で、引き出しやすいため、生活費などに使わないよう注意が必要です。生活費用の口座と別口座にしたり、毎月の自動振替や定期積立などのサービスを使って、先取り貯金したりするのも良いでしょう。ただし、低金利で利息は少ないため、大きく教育資金が増えることは期待できません。

学資保険で備える

教育資金の貯め方の一つとして、学資保険を利用する人も多いです。「貯蓄性」があり「万一の保障」にもなるのがメリットです。学資保険は保険料を払い込み、大学進学時や中学・高校進学時など、契約の際に決めたタイミングで、お金を受けとれます。

毎月・毎年など自動的に保険料が引き落とされるので、計画的に教育資金を貯めることができるでしょう。低金利ではあるものの、返戻率も100%を超える商品が多く、払い込んだ保険料よりも多い金額を受けとれるケースが多いです。また、契約者(親)に万一のことがあった場合は、保険料の払込が免除となり、満期保険金などは予定どおり受けとれます。

一方で、途中解約時には、解約返戻金が元本割れしてしまう点に注意が必要です。無理なく払い込める保険料を設定するよう心がけましょう。

資産運用(株式、投資信託、NISAなど)で備える

株式、投資信託、NISAなどの資産運用も、教育資金の貯め方の一つです。

また、2024年からNISA制度は、非課税限度額が合計1,800万円に増え、非課税期間が無制限になり、より使いやすい制度になりました。

一方で、これらの商品には最低保証はありません。教育資金等の準備を目的とされる場合、お受け取りいただいたタイミングにより金額が変動するため、ご計画された教育資金等に満たないリスクがありますので、十分にご注意ください。

教育資金の資金計画ステップ・3つ

赤ちゃんを抱いた若い夫婦が、話し合っている写真

教育資金を貯め方について、資金計画の立て方を3つのステップ別に見ていきましょう。

家族で進路をすり合わせる

まず、ご夫婦で子どもの想定進路についてすり合わせましょう。いつから私立に行かせる想定なのか、医科や歯科への進学や留学などの想定によって、必要な教育資金は大きく変わります。

親は自分が子どものときと同じ進路や、自身が希望していた進路など、自身なりの価値観を持っているケースも多く、夫婦で話してみたらズレがあることも想定されます。子どもが成長する中で、実際の進路は変わってくることもありますが、家族間で考えや想いを共有して将来に備えましょう。

貯める期間と金額を把握する

教育資金を貯める際には、貯蓄する期間が長いほど、毎月積み立てる金額が少なくなります。想定進路をすり合わせたら、なるべく早く貯め始めてみてください。

高校までの教育資金は生活費から出し、大きな金額が必要になる大学の教育資金を事前に準備すると良いでしょう。児童手当を教育資金にあてた場合の、0歳~17歳までの18年間に必要な進路別の積立額は以下のとおりです。

大学別の教育資金必要積立額(積立期間:18年)

教育資金 児童手当から 生活費から *1 必要準備額 積立額
国公立大学 481万円 ▲200万円 ▲216万円 65万円 3000円/月
私立文系 690万円 ▲200万円 ▲216万円 274万円 1万3000円/月
私立理系 822万円 ▲200万円 ▲216万円 406万円 1万8000円/月
+自宅外通学 +422万円 +422万円 +2万円/月
  • *1…公立中学/高校の教育資金を、生活費から拠出していたものと仮定。大学在学中も、同等に拠出できると仮定し、中高のうち、額の高い公立中学の教育資金(年54万円、3年162万円)をもとに、大学在学中に生活費から拠出できる教育資金(年54万円、4年216万円)を算出
  • 日本政策金融公庫「令和3年度 教育費負担の実態調査結果」を参考に筆者が作成

貯蓄可能額を把握する

次に、教育資金のために貯蓄できる金額を把握しましょう。教育資金以外にも、毎月の生活費やイベント費用などの資金が必要になるので、金額を事前に把握し、計画していくことが重要です。

毎月の収入・支出を整理して、自宅や車の購入、旅行などのイベントにかかる費用や、老後資金の貯蓄なども見込んで、教育資金の貯蓄可能額を算出しましょう。

教育資金が足りない場合は

資金計画を立てて準備しても、想定進路が変わったり、予定外の支出が発生してしまったりと、教育資金が足りなくなってしまうこともあるでしょう。ここでは、教育資金不足が起きた場合の対応について解説します。

奨学金を利用する

日本学生支援機構の「令和2年度 学生生活調査」によると、奨学金を受給している学生の割合は、昼間部の大学生で49.6%、昼間部の短期大学生の56.9%でした

子どもにお金を負担させることなく、大学に通わせていあげたいと考える方も多いと思いますが、教育資金の一部を奨学金でまかなえば、子どもの進路の選択肢を広げられるかもしれません。家族で話し合って、利用を検討してみましょう。

子どものアルバイト代で一部をまかなう

子どものアルバイト代から、教育費や生活費の一部を負担してもらうことを相談してみましょう。たとえば、遠方の大学で一人暮らしをする場合、家賃は親が仕送りして、光熱費や食費は子どものアルバイト代から負担してもらうといった方法を相談できるかもしれません。

祖父母に援助を相談する

どうしても教育資金が足りない場合には、ご家庭の事情にもよりますが、祖父母への援助の相談も一つの方法です。祖父母から孫へ教育資金を必要都度贈与する場合、贈与税がかかりません。また、教育資金を一括で贈与する場合、「直系尊属から教育資金の一括贈与を受けた場合の非課税(期限:令和8年3月31日まで)」制度を利用することで、1,500万円までの贈与税が非課税になります。

まとめ

教育資金は、子どもの進路を想定し、どれくらい教育資金が必要になるのか、どのような方法で貯めていくのかを家族で話し合い、なるべく早く計画的に貯めていくことが大切です。各家庭にあった方法で教育資金を準備していきましょう。

※上記は、2024年9月現在の税制・税率に基づき作成しております。また、税制・税率は将来変更されることがあります。なお、個別の取り扱いにつきましては、お客さまご自身にて所轄の税務署または税理にご確認ください。

writer
ファイナンシャルプランナー兼投資家の鈴木 靖啓

鈴木 靖啓

40代でFIREした元金融系システムエンジニア・現資産形成アドバイザー(CFP®認定者、1級ファイナンシャル・プランニング技能士)。中央大学理工学部卒業後、SEとして22年間従事。2000年から株式投資を始め多くの個人金融での失敗・成功を経験しFIRE達成。東京から熊本に生活拠点を移し『知っている人だけが得をするお金の知識』を講演・執筆で発信しています。

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